怒りまかせの神頼み(2)
体を起こして駆け寄りたいのに、体はまるで言うことをきかない。
「なんでこんなところに東真が……」
「きみが引き合わせてくださいって、神に願ったろ」
たしかに願った。
「それも、そっか。ね、東真。帰ろ」
「帰らない」
「……私たち、本当におしまい?」
にべもなく断られ、むっとした私は結論を急かすようにたずねた。
「罪滅ぼしをしただけで好きだったわけじゃない。全部、偽物だ」
そうもはっきり言われると、さすがに心にくる。
「そんな言い方しなくてもいいじゃん。傷つくよ」
「そんな、か。まるできみは傷つけたことがないような言い草だな」
近づいてきた君に、肩を強くつかまれた。
威圧的な瞳が月明かりに照らされ、私の体は小刻みに震える。震えをおさえるのに精いっぱいで、口が思うように動かない。
「おまえは、いらない」
あの手紙は、嘘ではなかった。手紙では冷静に書いてくれていただけで、やっぱり私を好きではなかったのだ。それを知ることができただけでも来た甲斐があった。
だから好きだと思うのはやめよう、……とは、ならない!
君と話すために、ここへ来た。私から、君といっしょにいない未来を考えてしまったら絶対にだめだ。君のこれまでを無駄にしてしまう。変わると決めたのだ。
ひと呼吸おいてから、私は口を開いた。
「なんで私が傷つけたの? いらないって思う理由は何? あと、その肌のことも全部、話して」
『――逃げろ! それは黒岩東真じゃない!』
君の、声? 目の前の君の口は動いていないのに、なんで?
「不愉快な目つきだ」
蹴り飛ばされた、と気づく頃には起き上がるのが難しいほど痛く、君に髪を引っ張られていた。
こんなの、東真じゃない。
白い光が放たれて何も見えなくなり、意識が遠のくなかで香りがした。それは涙ぐむ君を思い出させる、花の香りだった。
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Day25お題 揺らぐ




