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第73話 レイの戦い②

「お前達はそのまま待機していなさい。手を出したら殺すわよ」



エルディアは配下であるドラゴン全てにそう宣言した。

そんなこと言われずとも、ドラゴン達がエルディアの戦いに介入などするわけはない。


というよりも、介入する必要性がないというのが正確だ。


介入しようが、しまいが結果は変わらないのだから、手を出すのはただエルディアの機嫌を損ねる結果にしかならないのはこの場に集う全てのドラゴンが理解していた。


エルディアはドラゴン達からレイへと視線を戻す。

振り返っている最中も、エルディアはレイの事など全く警戒はしていなかった。


油断などではない。自らの力に対する絶対的な自信からだ。

これを油断と言うのなら、この1000年のあらゆる時間をエルディアは全て油断しながら過ごしていた事になる。



「さて、始めましょうか。いいわよ、いつかかってきても」



特に明確な合図すらなくエルディアはレイに一方的に攻撃の許可を出す。

まずはカルルを退けたというレイの力がどの程度かエルディアは確認するつもりだった。


仮にエルディアから攻撃を仕掛け、相手の実力を見誤ってでもいれば、すぐに戦いが終わってしまうからだ。

それほどまでにエルディアから見てレイは弱く、実力差が開きすぎていて、正確な実力が見抜けなかった。



「……では!」



レイが早速、エルディアへと向かい、全力で突進した。

とてもではないが、エルディアが手加減などできる相手ではないとレイは理解していた。


一瞬の内に10mほどあった距離が詰まり、レイはエルディアに向けて剣を振りかぶる。



「へぇ、速いわね」



レイの剣が目前まで迫っているというのは、エルディアは飛んで逃げる所か、構える素振りすらなく、ただ棒立ちでレイの迫りくる剣をただ見つめている。


だが、次の瞬間、レイは目の前で起きた光景に衝撃を受けることになる。



「なっ!」



目前まで迫っていたエルディアの前に木の枝のようなものが一瞬の内に生えてきた。

しかもその木の枝は今もすさまじい速度で成長を続け、レイの行方を阻んだ。



「痛っ」



凄まじいスピードに達していたレイだったが、すんでの所で体をひねりつつ、目の前にあった木の枝のようなものとの直撃を回避した。

だが、完全に避けきることができる木の枝に肩を僅かに引っ掛け、痛みで小さく声を上げた。


体勢を崩したレイはそのまま突っ込むようにエルディアの後方へと吹き飛んでいく。



「あら、串刺しになるかもしれないと思ったのだけどうまく避けたわね。すばこっしさだけは認めてあげる」



そう言って笑うエルディアの傍にはエルディアの身長をゆうに超える程に成長した氷でできた木の枝のようなものが立っていた。


レイが切ってしまった肩を確認すると、まるで鋭利な刃物で斬られたように服ごとぱっくりと傷口が広がっていた。

とてもではないが、氷製の細い枝先に引っ掛けただけの傷口には見えない。



「……なんですか? それは?」



「あら、やっぱり知らないのかしら? お前も使っているじゃない? 魔法よ。まぁお前のような不効率な身体強化魔法と違って私の魔法は練度も強度も桁違いなのだけど」



「魔法……」



(アッシュという者が言っていた不思議な力の事か。あのような使い方もできるのか。……あの者も私が魔法を使っていると言っていたが何の事だ? そんなもの私は使った覚えはないのだが)



アッシュが予想していた通り、レイは自身で魔法を使っているという自覚はなかった。

自身が持つ人間ならざる動きは普段の研鑽で得た肉体だけの力だと、レイは本気で信じていた。



「やっぱり分かってないみたいね。まぁ私はどちらでも構わないのだけど。続きいいかしら?」



そう言って、エルディアは自分の周りの空間の無数の氷の槍を瞬時に作り出す。



(……アレはアッシュという者が殿下を攻撃したという魔法か? 只の氷と思いたい所だが、先程の氷の枝の切れ味から考えるとそうではないのだろうな)



レイが予想したことは正解でエルディアが無数に作り出した【アイスランス】は見た目通りの強度ではない。

氷は魔力によって強化され、5cmほどの鉄板でさえも容易に貫通するほど威力を秘めている。



「さーて、行くわよ。いつまで続くかしら?」



エルディアが攻撃の開始を宣言すると無数に浮かぶ【アイスランス】の内の数発がレイ目掛けて凄まじい速度で飛んでくる。



レイはどうにか避けるが、とてもではないがエルディアに近づく余裕などない。

しかも、【アイスランス】はレイに飛んで来た数だけ順次補充されているのか、エルディアの傍に浮いている【アイスランス】はいつまで経ってもその数を減らす事はない。



「くっ」



(……完全に遊ばれている。恐らく彼女が本気になれば無数に浮かぶあの氷の槍を一斉にこちらへ飛ばす事ができるのだろう)



レイが考えた推察はまたも正解だった。


エルディアが本気を出せば、今ある【アイスランス】を全てレイに向けて、撃ち出す事も可能で更に言えば今ある数より多くの【アイスランス】を作り出す事さえできる。


そうすれば今のレイなどひとたまりもないのだが、エルディアはそれをしなかった。

レイが考えているようにエルディアは今、レイで遊んでいるのだ。


カルルを痛みつけたレイを弄ぶその為だけに。



「ちょっと数を増やしましょうか?」



エルディアが小さく呟くと、同時に飛んでくる【アイスランス】の数が少しずつ増えていく。


時間が経つにつれ、レイは疲労と数が増えてくる【アイスランス】に追いつけなくなり、徐々に被弾するようになってきた。

それでもただ掠める程度に抑え、直撃を避けているのはレイの尋常ならずる反応速度と勘の良さが為せる技だろう。


だが、それでもレイの状況は悪くなっていくことはあっても良くなることはない。

ただ疲労と傷だけが増えていく。



(……ダメだ。勝てない。近づけない上に、近づいた所で氷樹に行方を阻まれる)



勝つことが難しい相手だと思ってこそいたが、手加減をされた上でもここまで手も足もでない相手だとはレイも思ってはいなかった。


王国を守るためにエルディアと戦うレイ。

次回も続きます。


あと作品継続のモチベーションに繋がりますので面白そうだったら構わないので評価とかブクマとか頂けると嬉しいです!


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