↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/80

第65話 私達? 

見たことのない巨大な体に全身を覆うトカゲを思わせるような強靭な鱗。

それに加えて、どのような肉食獣でも持ち合わせてはいないような巨大な爪と牙。

このような強靭な肉体を持つ化け物が空を翔け、火を吐くというのです。


そんな化け物500体以上を王国は敵に回してしまったのです。

アッシュはこのような化け物を500体相手にしても容易く倒し尽くすと言いましたが、実物を見た今となってはそれはアッシュの嘘だったのではないかと私は思ってしまいました。


だってそうでしょう。

こんな化け物の大群にたった1人の人間が対等以上に戦う姿など想像できないのですから。



私はアッシュ達の反応が気になって、アッシュとエメルさん達が座っている方へと振り返りました。



「6mくらいか? 2体とも中型サイズだな」



「魔力も思っていた通りくらいだわ。これなら多分問題ないわね」



いやいや、何を平然と観察しているのですか!?

そんな事をしている場合ではないでしょう!

ていうかこれが中型なのですか!?


つまりアッシュが言っている事は本当なのだとしたら2本足で立っている状態で頭の天辺まで6mもあるこのサイズを超える神獣ドラゴンが存在するという事ですか?


アッシュとエメルさんの態度から考えると驚くべきことですが、アッシュはこのドラゴンを相手にしても勝つ自信があるということなのでしょう。

それは頼もしい限りなのですが、でもだとするのならアッシュやエメルさん達は誰も立ち上がろうとしないのでしょうか?


それどころかセラさんに至っては体育座りをしているケインを後ろから抱きつくような体勢で座っています。

とてもではありませんが、戦う姿勢には見えません。



「ほらほら、ケイン君も応援して」



「頑張れー、負けてもきっと師匠が仇を取ってくれると思いますからー」



頑張れ? 何を?

私達に向けて、言っているようにも聞こえますが私達が何を頑張るというのでしょうか?



そんな疑問を感じた所で、後ろから袖を引かれ、私はエミュラ達の方へと振り返りました。

それと同時に神獣ドラゴンが高い所から私達を見下ろしている事に気付きます。


というより、私を——と言った方が正解かもしれません。

遥か上にある2体の神獣ドラゴンのギョロっとした4つの瞳が私を見下ろしています。



「俺達を無視するとはいい度胸だ、人間」



「い、いえ、そういうわけではないのですけれど」



私は顔を引きつらせながらもドラゴンに笑顔を向けました。

神獣ドラゴンに人間の表情を理解できるかは分かりませんが。


というか、良い度胸なのはどちらかというとアッシュ達の方ではないでしょうか?

このような脅威を前にして、ピクニックにでもやってきたかのように座り込んで談笑しているのですから。



「……それでこの村へは何用でしょうか? 見ての通り何もない村なのですが」



私はこの村の事はほとんど知りませんが、恐らくそれほど間違ってはいないでしょう。

アッシュ達が滞在している事を除けば、ドレアス王国によくある村の一つにしか過ぎません。



「それはお前たち自身がよく分かっている事なのではないか? なぜこのような時にこそこそと王都を出る必要があった? レイとか言う小僧を探すにしてもお前らが説明していた方角とは逆方向だろう?」



「……それは」



私は言葉に詰まりました。

これはいわば極秘の任務です。


正直に話すのももちろん問題ですが、かといって滅びを待つだけの王都から逃げ出してきたと言う訳にもいきません。

彼の言う通り、まだ王都の北方面であったならレイを一刻も早く探し出す為の捜索隊と言い訳も可能かもしれませんが、ここは完全に説明していた真逆の王都の南側です。


私がどう答えようか迷っていると、後ろからアッシュの声が聞こえてきました。



「おーい、どうでもいいからさっさと始めろ。そこまで俺様は暇じゃないんだ」



「あぁ? なんだと?」



アッシュの暴言にピクリと反応した神獣ドラゴンが私達の後ろの方を睨みつけています。


お願いですからこれ以上刺激しないでください。


私は目の前の神獣ドラゴンが怖くて後ろを振り返る事ができませんが、発した言葉から察するに、見下したような態度なのでしょう。



「あー、聞こえんかったか。さっさと始めろと言ったのだ」



「……いい度胸だ。人間。この程度の数で我らに勝つ気か? 身の程を教えてやる」



「おいおい、勘違いするな。なぜたったドラゴン2体相手に俺様が出張らにゃならん。お前らの相手はそこの4人だ。その4人に勝てたらそこのちんまい俺の手下が相手をしてやる」



……ちんまい俺の手下とはエメルさんの事でしょうか?


ていうかこの人今なんと言いましたか?


えっ? そこの4人に勝てたら?


……もしかして私達の事ですか?


えっ? 私も数に入ってる?



私の思い違いであればよかったのですが、目の前にいるドラゴンの視線が後ろにいたアッシュから私達の方に移っています。

今にも爆発しそうな怒りの表情で私達を見下ろしています。



「えっ、えっ、冗談ですよね? アッシュ様? 私はそもそも問題外ですが、エミュラ達もドラゴンに勝てるような力はありませんよ!?」



当然の話です。

ドレアス最強の剣士であるレイですら追い払う事がやっとだった相手です。

いくらエミュラ達が王族親衛隊騎士であろうともそんな相手——しかも2体の神獣ドラゴンと戦えるはずなどないのですから。



だというのに、振り返る事すら許されないこの状況でアッシュは無情にも私に告げました。



「何言ってる? 試験と言っただろう。お前らが戦わんでどうする。まぁ安心しろ。さっきも言ったが村はしっかりと守ってやるから存分に戦え」

ようやく試験の意味を理解したエリシア。

次話はとうとうドラゴンとぶつかります。


エリシアは無事、アッシュから課せられた試験を突破することができるのでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。