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第48話 衝突

「あぁ、そういえばお前ら一つ勘違いしているようだから訂正しておこう。俺様がドラゴン500体を殺しきるのに魔法なんぞ必要ない。この剣一本あれば十分だ」



俺様が当然の事を当然のように言うと、エリシアは驚愕の表情から一転、喜びに溢れるような視線をこちらへと向けてきた。


何ともコロコロと表情の変わる女である。

現世は主人のご機嫌を窺う犬っころかなんかだったのだろうか?

まぁ今はそんなことはどうでもいいが。



再度歩き出して、ルベリ村へと入る俺様にくっついてくるようにエリシアも歩き始めた。



「それではアッシュ様! ドレアスを救っていただけるのですね!」



「何を勘違いしている。俺様がいつこんなクズしかいない国を救うと言った? 俺様がドラゴン500体を倒せると言ったのはただ事実を言っただけだ。俺様の救いの手を振り払ったあの時にお前らの命運は決まった。魔法はおろかミスリルすらロクに揃えられないお前らじゃドラゴン500体なんぞ相手にできん。せいぜい大人しく滅ぼされるんだな。俺様は眠いから飯を食ってさっさと寝る」



なぜそんな話になったのかは分からんが、自分から手を払ったくせに都合の良い事を言い出すエリシアに俺様が言うと、エリシアは見苦しく俺様の腕を掴んできた。



「クズはお兄様と頭のお堅いエンデ様だけです! 私はあの場にいませんでしたし、陛下はアッシュ様の事を認めておられます! それに救えると分かっていて、罪のない1000万のドレアスの民をお見捨てになるのですか!?」



「だが、その陛下とやらはあのクズ2人をあの場で止められなかったよな? あの時、アイツは殺してでもあのクズ2人を止めるべきだった。だというのにアイツは最優先するべき俺様の事を差し置いて、あのクズ2人に無礼を働かせ続けた。弱っちい上にするべきこともせず俺様に責任を押し付けようなどと厚かましいにもほどがある」



俺様がそう言ってエリシアを見下ろすと、エリシアは何か言い返そうとする素振りを見せたが、口を噤んで押し黙った。



「ていうかいつまで腕を掴んでいる、暑苦しいぞ」



「きゃあ」



俺様がいつまでも離さないエリシアの細い腕を強引に振り払うと豪快に後ろへと吹き飛んでいった。

すぐに倒れたエリシアの前に先程、剣を俺様に細切れにされた女騎士が守るように立ちふさがり、他の2人の女騎士は何を考えたのか俺様に剣を向けてきた。



「あぁ? なんのつもりだ? まさかとは思うがこの俺様と戦う気か? 面白い、やってみろ。マグレでも俺に一撃入れる事ができたなら無報酬でドラゴン500体始末してやろう。まぁそんなことができるならわざわざこんな場所まで俺様に頭を下げには来なかっただろうがな」



俺様が剣を構えると女騎士は僅かに後ずさった後、俺様を睨みつけながら威勢のいい声で叫んだ。



「よくもエリシア様を! エリシア様に対する無礼の数々もはや許してはおけん! 覚悟しろ! 外道!」



「やめなさい! カレン! アイル!」



綺麗な衣装がズタボロになりながらもエリシアが女騎士を止めようと叫ぶが、もう遅い。

無礼など何のことか分からんが、こいつらは偉大過ぎる勇者である俺様に自らの意志で剣を向けたのだ。


俺様は剣を構える2人の女騎士へとゆっくりと歩み寄ると、女騎士達がじりじりと後ずさる。



「どうした? 手が震えているぞ。かかってこないのか?」



偉そうなことを言った割には斬りかかってくる勇気もないらしい。

覚悟が出来ていないのは俺様ではなくこの女共だったというわけだ。



俺様が更に女騎士に近づいて行こうとしたその時、なぜかエメルが俺様と女騎士の間に割って入ってきた。



「なんのつもりだ? まさか俺様の邪魔をする気か?」



「こんな所でこの娘達と喧嘩して何になるのよ? 居場所も知られているようだし、ここでこの娘達になんかあったら面倒な事になるわよ?」



「面倒な事? なんだ? ドレアス軍がやってくるとでもいうのか? 3日後にドラゴンの軍勢がやってくるというこの状況でか? それにあんなゴミ共いくらやってきたところで俺様の相手になどなるわけがない。いいからどけ。俺様の邪魔をするな」



「はぁ? どくわけないでしょ? アンタが大丈夫でもルベリ村とケインがどうなるのかを考えないわけ? アンタとドレアスが完全に敵対してしまったらルベリ村は反逆者を匿った村という事になることが分からないの? ケインの家族だってまだ王都にいるのよ?」



確かにエリシア達がここにやってきたことから考えればドレアス側に俺達の居場所は知られているということはグレイスと俺達のつながりは既に知られていると考えるべきだろう。



「それに私とセラはアンタに巻き込まれてここにいるのよ? 少しは私達の意見を尊重できないの? それにアンタ飯食って寝るんでしょ? また寝そびれるわよ?」



エメルに言われて俺様が後ろを見るとセラがケインを撫でまわしながら、こちらを心配そうに眺めていた。

確かにこのままでは王都にいるであろうケインの家族が不味いことになりそうなのは間違いない。

まぁ王都が3日後に滅ぶのならどのみち一緒じゃないかと思わなくもないが。



「ならどうしろというのだ?」



「どうするもないもアンタ飯食うんでしょ? その場で話を聞けばいいじゃない? こんなとこで重要な話するから拗れるのよ」



エメルはそう言うと、エリシアへと厳しい視線を向けた。

かなりヘイト上げまくりなアッシュ君。

王都での出来事はかなり頭に来ていたみたいです。


エメルの介入により一先ず事なきを得ましたが、エリシアにとってはかなり厳しい交渉になりそうです。


あ、あと物語には全く関係ありませんが、先程神ボコ更新しました。

よかったら見てやってくださいね。

一応この作品と同じシリーズです。

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