008 これは女の子が乗るモノですか? ~how the ladies ride?~ 2
『●人のチ●コはビール瓶みたいに太くて大きい』
……だなんて戯言を言っていたのは、確か昔観た映画『蒲田行進曲』だったろうか?――オレはふとそんなどーでもいいことを思い出していた。
我がラテアお兄様のアレは、ええそれはもうとても逞しかったのです。
前世のオレのマイサンがフェザー級だとしたら、お兄様のそれはヘビー級と言ってもいい程の『御立派様』だったのです。
いやだけども、それももはや昔の話。
今のオレには本物のマイサンはいないのだから。こんなことで張り合っても無意味なのです……ぐっはっー、やばい! 痛い!! この負け惜しみは自分に突き刺さる! 心が激しく抉られる!!
いかん涙が……く、悔しくなんかないもん。でも……悲しい――っていうか何でオレはさっきから敬語になっているんだよ。
そーいえばラテアもインキュバスだから、それ即ちヤリチンってことなんだろう……そうか、あの御立派様で以って数多の女性たちを日常的に啼かせている訳だな。
……ってそんなことはどーでもいいんだよ!
浴場におけるユニフォームは全裸が正装な訳だけど、一般マナー的には腰にタオルを巻くくらいは普通するもんだろ?……いやいや問題はそこじゃなかった。
アンタなんで堂々とチン……じゃなかった、闖入してるの?――ここ『女湯』だよ!?
チラッとラテアが入って来た方向を確認する。
外の景色が見える全面ガラス張りの壁があった――そこの出入り口用の引き戸から入って来た訳か……しかも野外は露天湯になっていた。で、そこは男湯側からも出入り出来る混浴だったのだ……。
ラテアは手に取った桶に蛇口から湯を水で薄めて注ぐ。その湯を自らに掛けた――所謂、掛け湯を三回繰り返すと、今度は桶の湯をフィリアにも掛けてくれた。
湯が全身に被さり、湯の奔流がなだらかな胸とその間を滝のように真っ直ぐ下に向かって流れ落ちていく。
うおーっ、この適度な熱さ、いや温さ。これは堪らん!
そして、心地のいいその温い湯を三回続けて掛けてくれた後――
ふむ。この後どうなるのか……ここまで来ると流石に察しが付くワケだけども、いやーまさかねぇ?
ひょっとして、ラテアってばフィリアと一緒に風呂に入ろうとしているのか?
「さあ、フィリア入ろうか」
当たってしまったぁーー!……っていうかまたしても、フィリアをお姫様抱っこをするだと? しかも今度はお互い全裸で!
そもそもの話。さっきは動揺していて、単に体が萎縮していただけだと思ったのだが……なんでフィリアってば、何の抵抗をすることなく素直にお姫様抱っこをされるがままになっているんだ?
よく分からんが手続き記憶的な感じの作用で、この体が覚えている日常行為を自然なものとして、オレの意思に反して勝手に受け入れてしまっているのだろうか?
なんて考察は今はいい。
えーと……フィリアのお尻に何か凄く『硬いモノ』が当たっているみたいなのですが?
しかもフィリアの淫魔尾針ことマイサン二世が仔犬がじゃれつくように、それに絡み付いているみたいなんですけど!
あーうん……何が起こっているのかと言えば、要するにだな――
御 立 派 様 が ス タ ン バ っ て ら っ し ゃ る!?
…………。
…………。
…………。
思い返してみればオレが目覚めてから、まだ半時限も経っていない……にもかかわらず、その短い時間の間でオレが経験して来たことはあまりにも刺激的過ぎたのだ。
そして何よりも大きかったのは、膨大で混沌としたフィリアの記憶に触れてしまったことだ。処理能力を超えるその情報の洪水を受けて一度は立ち直れたが、それももはや限界だった。そうオレの自我は既に許容量が決壊寸前だったのだろう……。
これも自己防衛本能の為せる業なのか……最後のアレが引き金となり、オレはついに思考停止して、意識を堕としたのだった――
★★★LAST-PRINCESS or LUST-PRINCESS★★★
再びとある場所にて――
「堕ちたわね」
「堕ちちゃったねー。あのままにしておくのまずくない? どーするの?」
「そうねぇ。気絶したままだとお兄様にも余計な心配を掛けてしまうでしょうし……」
「ってことは?」
「今の私の貧弱な支配領域ではギリギリでしょうけど、ちょっと行ってフォローしてみるわ」
「じゃあその間に、あたしがお兄ちゃんの意識回復作業をしておけばいいいんだね?」
「ええ。それでお願い。あとあの人に送った情報量がちょっと多過ぎたわね……このままだとまたすぐに意識が飛びそうだわ」
「何かたいしょ法はあるの?」
「一旦情報を減らして再調整すれば、もう堕ちないようになる筈よ」
「そんなことできるの?」
「ええ多分。まだ魄と意識の繋がりが不安定な状態だから、今だったら私たちからでも干渉出来ると思うわ。それともう一つ――」
…………。
…………。
…………。
「――って感じにしてくれないかしら?」
「オッケー! なんとかやってみるー」
相談を終えた???たちは、その場から別れて活動を開始したのだった――
★★★LAST-PRINCESS or LUST-PRINCESS★★★
モミモミモミ。
ニギニギニギ。
あーー気持ちいいなぁーー……あくまで湯加減のことだがな!!
あーー極楽極楽……ま、この世界はその逆で、衆合地獄みたいなところだけど、気にしてはいけない。
そんな訳でフィリアは入浴の真っ最中だった。
前世のオレは熱々の湯で肩までどっぷりと浸かって入るのが好みだったが、今のフィリアはまだ確認していないが、ちっぱい……サクランボラインのその下までらしいぞ、湯に浸かっている部分は――ほう、これは半身浴ってやつか。美容的というか健康的で結構なことだな。因みに湯は泡々ではなく、無色透明な普通のだぞ。
モミモミモミ。
ニギニギニギ。
まあ、それはいいとして――オレが気絶してから二刻も経っていたらしい。
オレが気絶する前。フィリアは裸で勃つラテア兄ィの御立派様の上に、じゃなかった両腕に乗せられて――お姫抱っこで浴槽の中へと運び込まれて。
えーと、それから……ってあれっ? なんでオレは気絶していたのにその空白期間が、『二刻』だったって分かってるんだろう? まあいっか。
因みに半身浴は温めの湯で六刻以上掛けて、ゆったりじっくり浸かるのがポイントらしい……であるからして、フィリアたちが湯に浸かっていた二刻という時間など、まだまだ序の口であろう。
モミモミモミ。
ニギニギニギ。
それにしてもホント、湯に浸かるっていうのは気持ちいいものだよなぁ……。
風呂はいいね。風呂は心身を潤してくれる。人類の生み出した文化の極みだよ。
こうしていると、文字通り生き返ったという実感が湧いてくる。死んで転生してから、ついさっき目覚めたばかりのオレが言うのだから間違いない。
熱々なのも良いが、この熱過ぎず温過ぎずの適温っぷりもまたいいものだ。湯に長く入っていられそうなのがいい。
こんな風に風呂に格別の安らぎを覚えてしまうのは、やっぱオレ自身の意識が日本人だからなのだろうか。
あーーホント気持ちいいなぁーー……いや、これはあくまで風呂のことですから!
モミモミモミ。
ニギニギニギ。
そーいえばオレが目覚めてから、妙に頭の中っていうか意識がクリアになっている気がする。
それはまるで、解けなかった難しいテストの問題があっさり解けてスッキリしたように気分が清清しい。
『フィリア、僕と結婚してくれる?』――ってさっきラテア兄ィが宣ったが……そもそもこの国では実の兄妹って結婚できるものなのか?
いや、あらゆる姦淫を是とする快楽の国だから結婚出来ても不思議ではないけど、これについては残念ながらフィリアの記憶の中にその答えは存在しない。
さて現実逃避は止めて、そろそろ今オレが体験しているこの現実を直視しないとな。ホントはしたくないけど……。
モミモミモミ。
ニギニギニギ。
チラッと背後を見る――間近にラテア兄ィの顔があった。
優しい眼差しの実にいい笑顔だった……え? なんでそこにいるのかって?
フィリアはラテア兄ィに背後から抱えられるようにして、ヤツの膝の上で――要するに膝抱っこされた状態で、フィリアは兄ィの逞しい胸郭筋へコテンと頭を凭れ掛かせながら、お互いの肌を密着させて仲良く一緒に入浴していたんだよ!
モミモミモミ。
ニギニギニギ。
んっ……これが例えば小学生の兄妹で狭い家庭風呂であれば、仲のいい兄妹っていう話で済んだことだろう。
だがこう見えてもフィリアは四〇歳手前だし、兄ィは八〇歳過ぎらしいから、年齢的にはセーフなのかも知れない。
そもそもフィリアの記憶でも、こんな風に兄妹仲良くお風呂に入るのは日常的なものなのだ。
それにフィリアは未だに新品の処女であり、この兄妹は一度も一線を超えていないから問題ないのではなかろうか?
あんっ……いや待て実年齢はどーでもいいんだ。そうじゃないだろ。片や見た目が大学生くらいの兄ィと、ギリギリJCっぽい見た目の妹って……やっぱどー見てもこれってアウトだよな?
モミモミモミ。
ニギニギニギ。
いや実はそれすらも大した問題じゃない……っていうかさっきから、この擬音はなんなのか気になるって? もう察しているんだろ?
兄ィがフィリアの胸を揉んでいるの!――ああ、そうだよ。今このフィリア自身が揉まれているんだよ!……言わせんな恥ずかしい。
揉んでいるんだ。ラテアお兄様が、フィリアのちっぱいを!……っていかんいかん、動転して思わずおかしな倒置法になってしまったわ。
状況をより詳しく説明するとだな。
ラテア兄ィに膝抱っこされた状態のフィリアは、羽交い絞めする感じで後ろから脇の下に手を通されて、揉まれているんだよ、両手で、フィリアのちっぱいを、さっきからずっとずーっと!……ってあかんわ、またおかしな倒置法になってしまったぞ。
でさ、フィリアはそんな状態で心では全力で否定しているっていうのに、何故かこの体は為すがまま無抵抗に受け入れているんだよ!
しかも相手はインキュバス――毎日お菓子感覚で女を喰っているだけあってか、フィンガーテクが凄いんだよ。コンチクショーめ!
だがオレは負けな……いぞ、あっ……またそんな、んっ…………!
因みにこのちっぱい揉みはエロ目的ではない。
入浴時での習慣となっているバストアップマッサージのつもり……らしい、ぞ、んっ……。
だがな、だがだが!……これすらも、あっちに比べればまだマシに思えてくるのだ。
んんっ! ちょっ……サクランボをそんなに……こ、これ、いい……。
えっと何の話だっけ?……あ、そうかあっちの件だったな。見たくないし、どうなっているか薄々分かっちゃいるけど……確認しとかないと。恐る恐る目を下に向けると、揉まれ続けている我がちっぱいが見える。
視線をそこより下の腹部へ、さらにさらにその下のフィリアの無毛の荒野が見えて……その股の間から、ニョキっと生えているのはなんとマイサン!……じゃなくてそこに御座しますは●●●様ではありませんか!!
っていうかこれじゃあ膝の上じゃない。御●●●の上に乗っかっている状態と変わらないじゃですかヤダーー!!
そして最後に御●●様の先の方へと視線を進めると、そこにはフィリアの小さな手――今は自分自身の身体となった、その両手があった……はい、●●●様を●っていましたーーーー!!
しかも、しかもだその●●で●●●●して一心不乱に●●●●までしちゃってますよ、この子ってば!……っていうかそれオレ自身のことなんだけど!!
おまけに●だけではなく、我が淫魔尾針までもが御●●●に絡み付いているし……くっこの裏切り者、お前なんかマイサン二世じゃないやい!
あっ、んっ……いや誤解するなよ。頼むから誤解しないでくれ! これはオレ自身の意思でやっていることじゃないんだよ。揉まれるままになっているのと同じように、この体が勝手に動いているのだ。
『男相手にアソコにアレを出し入れされたり、アレを握ったり摩ったり、アレを咥えたり舐めたり、アレを浴びたりゴックンしたり……。うわーーーーっ無理無理無理、絶ッ対無理! 絶対ダメッ!!』
……とかなんとか半時限くらい前に言ったばかりだっていうのに、まさか言った直後にこんな目に遭うなんて……悪夢過ぎる。
悪夢?……そうか悪夢か――まさに夢を見ているような感覚に近いのだ。夢の中で自分の行動を延々と俯瞰視しているような、そんなふわっとした感覚に似ている。
だが残念ながらこれは夢じゃなくて現実だった。それが感覚的にオレにも分かったのは、この体が淫魔だからなのか。
淫魔は夢魔ともいい、夢の中でも精神体で活動出来るのだ。でそれ故に本能的に虚実を区別して感じ取れるものだっていうことは、実際にその感覚はオレが目覚める前にほんのちょっぴり体験済みだった。
モミモミモミ……。
ニギニギニギ……。
んっ……おぞましくも気持ちのいい、この悪夢のような自動行為はいつまで続くのだろうか?
お風呂回、次回で完結!