929:大問題を聞かされよう。
「かさばるのはともかく、この体ですと背中に積むと荷崩れを引き起こす可能性が高くて……」
「あー、歩くだけですっごい揺れるなら、荷物もガッチガチに固定しないと大変かぁ」
そうか、ボックス内みたいに固定されてないから、下手するとそこら中にバラ撒いちゃうのか。
……ボックスは固定されてるって言うのかな?
まぁ崩れたりしないんだし、言い方は何でも良いか。
「そうですね」
おや、口を開いてた手を離して、「少し離れてください」ってジェスチャーだ。
「慣れていないとはいえ、軽く足踏みをするだけで……」
おー、本当だ。
手を腰の横について少し構えたと思ったら、左右に五十センチ近い幅で揺れ始めた。
あぁうんなるほど、構えてないと揺さぶりで、腰とか首とかがえらい事になるんだな。
「この様になりますので」
ピタッと止まって軽く頭を振り、言葉を続けるシャルロットさん。
今の揺れに慣れるって、かなり辛そうだな……
しかも今のは軽く動いただけだから、走るとなるともっと酷いんだろうし。
まぁそこは慣れとあまり揺れない動作の慣れで何とかするのかな。
なんともならないから気合で耐えるって可能性も有るけど。
「確かに今の揺れじゃ、大きい物や壊れ物は危ないねぇ」
「うむ。ところで、今そこに積んでいる物は無事なのか?」
あ、そういえば後ろに箱乗っけてたな。
「あ、それは大丈夫です。あまり重い物は入っていませんし、固定もしてありますから」
「ふむ」
大丈夫だった。
っていうかアリア様は、なんで草を捏ねてリンゴみたいな形を作ってるんだ。
さっきのお姉ちゃんに対抗してるのか。
「あ、そうだ」
お姉ちゃんが何やら閃いたらしい。
「鞄がダメになったんだったら、【アイテムボックス】を取れば良いんじゃない?」
あ、割と普通な解決法だった。
いや、別に普通で何も悪くないんだけどね。
「それも手なのですが……」
「ですが?」
おや、何か問題が有るのか。
「先程の『権利』の話に戻るのですが、更に大きな問題が有りまして」
「え、今度は何?」
鞄も結構酷いけど、更になのか。
まぁこのゲームの開発だし、どんな仕様が有ってもあんまり不思議じゃないもんなぁ。
「えーと、ですね」
おや、可視状態のパネルを開いてこっちに…… ってなんだこれ。
ステータスとかスキルとかの文字が灰色になってるじゃないか。
「見ての通り、殆どの機能がロックされているんです」
「えぇ…… これって、もしかして出来るのはログアウトだけって事?」
「一応、一部の設定なども触る事は出来ますが、基本的にはその認識で間違い無いかと」
シャルロットさんが頷きながらスキルの文字を触ると、パネルに「権限が有りません」って文字が浮かんですぐに消えていった。
持ち主なのに、付け替えどころか確認さえさせてもらえないのか……
「飼い主次第って事だろうな」
「恐らくは」
あぁ、主に全部を委ねちゃうのか……
っていうか飼い主って言い方はどうかと思うよジョージさん。
「もうちょっとこう、主君とか契約者とかの方が良いんじゃ……」
あ、お姉ちゃんがツッコんだ。
同じ所に引っかかったんだな。
「似た様なもんだろ」
「ですね」
「えー……」
シャルロットさんが普通に同意してて、それ以上何も言えなくなってる。
「カッコ良さ」を重視してた割に、夢が無いぞ、夢が。




