900:解ってるけどやってみよう。
「……んーむ、どこを支えれば良いんだろう?」
しゃがんだままの若干無理が有る姿勢で、シャルロットさんの蹄の内側をぺたぺた触ってる。
あぁ、確かにけっこうデコボコしてそうだし、一点に思いっきり力を加えたら痛いって所が有るかもしれないもんね。
……「痛っ」て咄嗟に足を引いて、バランスを崩して倒れてきたりされたら、堪ったもんじゃないぞ。
私から見たら、あの蹄のあたりだけでも小さい家くらい有るんだからね。
「ふむー」
硬さを確かめるためなのか、足の裏をコンコンと軽く叩いてみてるらしい。
……そういえば馬の蹄って中指の爪らしいけど、あそこは足の裏って言うんだろうか?
いや、まぁ同じ接地面だし、土踏まずみたいな認識で良いか。
「ちょ、ちょっとくすぐったいです……」
「あ、ごめんよー」
あ、あのあたりもちゃんと感覚が有るんだ。
そりゃそうか。
叩いた音からしてそれなりに硬そうだけど、そのぶん細かい衝撃は中にきっちり伝えちゃったのかな?
「そうねぇ、そのままじゃやりづらいでしょうし、私が詰め物になりましょうか」
「あ、お願いしまーす」
あぁ、そうか。
デコボコで押さえづらいなら、平らにすれば良いのか。
土とか布で詰め物をしようとしたら、固さや後の掃除の問題が有るだろうけど、ジェイさんの体で埋めるならその心配も無いしね。
周りは全部ジェイさんの体だから、改めて外から持ってくるって手間も掛からないし。
型に生地を流し込むみたいに、にゅるにゅると蹄の裏がジェイさんで埋まっていく。
流し込むって言っても上下逆さだけどね。
……これ、最初からジェイさんが間に挟まってれば良かったんじゃ?
シャルロットさんの足を乗せた板を持ち上げるみたいにさ。
あ、流石にそのままじゃ無理そうだったからか、ちょっとだけ足の位置が高くなった。
まぁそれでもやっぱり、しゃがんでないと入れないくらいだけど。
「さ、良いわよー」
「よーし、やるぞやるぞー」
平らになった天井に両手を突いて、後頭部を押し付けた。
頭って言うか、両肩で支える感じかな?
あ、ちょっとだけ内側にへこんだ。
支えやすくしてあげたのか。
「ふぬっ!」
まずは気合を入れて…… いや、あれもう思いっきり押し上げようとしてる最中だな。
微動だにしてないけど。
「うふふ。ほらほら、頑張って?」
「ぬわーっ!?」
あ、ジェイさんがちょっとずつ柱を縮め始めた。
さっきのでもう無理だって判ったろうに、容赦無いな。
エリちゃん、しゃがんだ状態からだんだん下がって行って、もう片膝立ちになっちゃってる。
「解ってたけどやっぱ無理だこれ!」
あぁ、流石に解ってて言ってたか。
いやうん、当たり前だけど。
「まぁこうなりますよねぇ」
「当然だろうな」
「流石にあれ以上下ろすとマズいのでは?」
お姉ちゃん達、少し離れて完全に他人事って感じで眺めてるな。
実際他人事だけどさ。
あー、もう立ててる方の膝にあごが乗っちゃってるよ。
レティさんの言う通り、あれ以上下げていったら本当に怪我しちゃうな。
っていうか死ぬ。




