820:有りそうな事からは目を逸らそう。
「ま、残ってても実際あんまり意味は無いねー」
猫さんが出していたパネルをパッと消して、あははと笑う。
いや、あれは他の人に見えなくしただけっぽいな。
「まぁ効果が無いならそうだろうけど、そんな良く解らない経緯で人にスキルを与えるってどうなんだ」
「私に言われても困るんですけど……」
文句は開発もしくは運営窓口にお問い合わせしてくれたまえ、と言いたい。
私も被害者なんだよ。
いや、別に文句って程の事じゃ無いだろうから言わないけどさ。
「しかしなんつーか…… わざわざ残してあるって事は、何回もやってスキルレベル上げていったら、戻っても使える様になったりしそうで怖えーな」
「このゲームだと本当に有りそうで嫌だから、そういう事を言わないでくださいよ」
「……そうだな」
しかもそれくらい鍛えてたら完全に自分の技みたいになって、【妖精】がくっつけなくても良くなりそうだし。
まぁ同じサイズでくっついても、お互いに邪魔にしかならないだろうけどさ。
どっちにしろ相手の同意が無ければ攻撃してる事になって、衛兵さん達のお世話になるだけだろうし。
とりあえず何となく解っ……
「んわっ!?」
たと思ったら、いきなり勢いよく開いた訓練場のドアにビックリして、ちょっと変な声を出してしまった。
「たっだいまー」
「もうちょっと丁寧に扱えよ……」
ほんとだよ。
っていうか意識してなかったけど、ここって結構入り口に近かったんだな。
「つーかめっちゃ早くないか?」
「ダッシュしてきたからねー。スピード出し過ぎて、途中で衛兵さんに叱られちゃったけど」
「アホなのか?」
「妖精さんに呼ばれてるんですーって言ったら、それなら仕方ないなって解放してもらえたよ」
「それで良いのか……?」
……いや、良くないでしょ。
別にエリちゃんを処罰してほしいってわけじゃないけど、ちゃんと仕事しようよ、衛兵さん。




