1708:名前を確認しておこう。
「それじゃ…… それ飲み終わったら行ってみましょうか」
「あ、うん。ありがとう」
なんで行くかーって言おうとしたタイミングでお茶のおかわりを注ぐんだ、エリちゃん。
いや、別に狙った訳じゃないんだろうけどさ。
ただ待ってるのも飲む側が気まずいだろうし、何か訊いてみるか。
ちょっと熱めでぐいっと一気には飲めなさそうだし。
「ところで、その人魚さんのお名前は? ……ってこれ訊いて良いのかな」
「あぁ、その辺は大丈夫だよ。本人が良いって言ってたし、教えられない様な事は私も聞いてないしね」
自分で確認しておいてなんだけど、名前くらいは別に問題無いか。
……無いか?
まぁ全然知らない人が自分の名前知ってたらあれってなりそうだけど、間に友達が挟まってる訳だから知ってても不思議じゃない状態か。
そもそもある程度有名になったらそう珍しくも無い事だし。
現にスナさんも私達の事は知ってた訳だしね。
「で、名前なんだけど……」
スナさん、何やら言い淀んでる。
言いづらい理由でも有るんだろうか。
「ねぎとろ」
「……はい?」
「ねぎとろ」
「……人魚のねぎとろさん?」
「うん」
……砂肝さんの友達なだけは有るってのは置いといて。
よりによって半分お魚の種族でその名前かぁ……
たしかこのゲームって名前は一番最初に決める筈だから、自虐ネタとかではないよね。
逆に名前を見た運営側に遊ばれた可能性はゼロじゃないけど。
「自分でそんな名前付けておいて、とろちゃんって呼んだら『とろい子って言われてるみたい……』とか言い出すくらいにはぽやーっとした子だから、優しくしてあげてほしい」
「あー…… はい」
うん、なんというか本当にほわっとした人なんだろうな。
……一人で放っておいて大丈夫なんだろうか。




