1588:抱えて飛ぼう。
「ほら、飼い主のとこに戻りな」
ういろうちゃん、ほっぺたをわしゃわしゃ撫でられて送り返された。
「それじゃ、ここで戻ると危ないかもしれないので……」
「うおっと」
ういろうちゃんに押し付けられてたせいでシェラの背中に寄りかかってる状態のマツリさんを、脚と背中の下に手を差し込んで抱え上げる。
……ぬくいもふもふ達に挟まれてたから、大分温められてるな。
「ちょっと飛ぶから掴まっててくださいね」
「掴まるのは良いんだけど、後ろじゃダメだったのか……?」
「乗れなくはないんですけど、翅が邪魔ですよ?」
「あぁ、それもそうか」
押さえられてても問題無く飛べはするんだけど、やっぱり普通に飛んだ方が楽だしね。
乗る側としても、お腹の前でピクピク動かれたらくすぐったそうだし。
「ふと思ったんだけどさ」
「はい?」
飛び始めて木箱の上から少し離れたところで、不意にマツリさんが口を開いた。
「先に言っとくけど、他意とか馬鹿にするつもりとかは無いんだよ」
「……なんですか?」
「いや、この抱き方ってあの変態は無理だよなって」
「あー……」
うん、まぁ、うん。
あの人は、私と違って巨大な障害物が鎮座してるもんね。
私と違って。
お姫様抱っこ的な抱え方をしようとするなら、あのやたらと重そうな荷物を上に乗せてしまうか、正面に抱えて思いっきり押し付けるかしないと無理だろうな。
やられる側はたまったもんじゃないだろう。
色んな意味で。
……前置きが無かったら、ケンカを売ってる訳じゃないのは判ってても「落としますよ?」くらいは言ってたところだな。




