1555:自分を作ってもらおう。
いつも通り、軽やかに相手の攻撃を回避しつつグローブでの打撃で土人形を削っていくカトリーヌさん。
色々と残念な人ではあるけど、こういう場面だとわざと食らったりせずに真面目にやるんだよね。
「んー」
「ん?」
ロシェさんが何か考えてる。
「あれなら私でもいけそうだなぁ」
「参加してみます? ……というか、私でもって言うけどロシェさんって元々近接の人でしたよね?」
「飛び道具も使ってたからどっちつかずって感じだけどねー」
あ、そうなんだ。
まぁ別に前と後ろの二択って訳じゃないんだし、当たり前と言えば当たり前か。
自分たちに気付いてない敵に奇襲するにも、切りかかるよりは飛び道具の方が成功しやすいだろうしね。
逆に弓とかをメインに使ってたとしても、近づかれた時の事を考えると近接戦闘が出来るに越した事は無いのか。
昔の有名なスナイパーとかも、接近戦用に別の銃を持って戦ってたとか書いてあるのを見た気がするし。
「よし、やってみよう。グローブは……こんなもんかな?」
「トゲは要らないんじゃないですかね」
なんで尖らせたんだ。
というかそれ、下手したら刺さっちゃって隙が出来る可能性が有るんじゃないかな。
「それじゃ、ちょっと行ってくるよ」
「はーい。頑張ってくださいねー」
手を振って飛んで行くロシェさんを見送って、その間自分はどうしたものかと考える。
観戦してても良いんだけど、それだけだとなんか勿体ないんだよね。
「んー? どしたのー?」
ん?
あ、シェラが優しげなお姉さんに絡みに行ってる。
もふりもふりとお姉さんの脚に体当たりしてから、少し離れてえっへんと胸を張る。
何をやってるんだ、あの子は。
「かわいーねー」
いいこいいこと背中を撫でられてる。
……けどなんか、「ちょっと違うんだよなー」って顔してるな。
「その子、自分をモデルにしてほしいんじゃない?」
「うん? そうなの? そっかー」
……なるほど?
シェラが嬉しそうに頷いてるから正解みたいなんだけど、隣のお姉さんはよく解ったな……
「それじゃ、そこに立っててねー」
どこからともなく取り出した木箱の上にひょいっとシェラを乗せて、いろんな方向から観察するお姉さん。
うーむ、どこからでも好きなだけ見るが良いって感じで堂々としてるなぁ。
まぁそれが嫌ならモデルにしろって言わないだろうけど。
それにしても、動かす人形を作る以上は大体のシルエット以外は無駄になりそうな気がするんだけど、それは良いんだろうか。
しっかり細部まで作ったとしても、操作してるうちにどんどん歪んでいきそうだし。
あぁ、見た目を維持したまま動かすっていうのも、精密な操作の訓練にはなるかもしれないな。
動かす事自体にはあんまり意味は無さそうだけど。
……完成した人形のポーズを変えたり出来るのか?
いや、出来たからなんだって話かもしれないけど。




