1529:大丈夫だろうけど忠告はしておこう。
「それではぁ、失礼しますねぇー? きちんとお説教しておく様にぃ」
狐さん、仲間の人達に釘を刺してスゥッと帰って行った。
こっちから見えないだけで、その辺で見てはいるんだろうけど。
「あ、はい。それは勿論」
「二時間コースだわな」
まぁ仕方ないとは思うんだけど、もうベルさんにぐっちゃぐちゃにされた訳だしお手柔らかにね?
いや、まぁ死ぬまでが一瞬過ぎて、何が起きたか解ってないかもしれないけど。
「よし、こんなもんかな。それじゃ、再開お願いしまーす」
地面の穴を埋め終わった熊のお姉さんが、道具を片付けてスタッフさんみたいなノリで他の人達と一緒に撤収していった。
あぁ、広場で死んだお兄さんを回収してお説教タイムか。
……説教(物理)にならない事を、他人事ながら願っておこうかな。
「しかしまぁ、凄い魔法使いも居たもんだな……」
「【妖精】でもないだろうになぁ」
すぐに始まるかと思ったら、埋めた穴を見て呆れた様な声を出してるな。
まぁうん、気持ちは解る。
「……あ」
「うん? どうしたんだ?」
む、ふと思い出した事でつい声が出たのを、呟いてたお兄さんに聞きつけられた。
【聴力強化】持ちの魔法使いは珍しいな。
いや、まぁこういう場だからか、それなりに居たりするんだけど。
「いえ、なんというかその……」
「言いづらい事なら良いんだけど」
「あ、いえ。その、それ撃った人なんですけど」
「うん」
「あんまり褒めちぎったりしない方が良いですよ」
「……うん? なんで?」
「死にます」
「なんで?」
うん、まぁ理解に苦しむ顔になるよね。
こっちの言葉が足りないせいだけど。
「すっごい照れ屋さんなんで、褒め過ぎると恥ずかしいらしくて。おばちゃんが『あらやだもう』って肩を叩くくらいのノリで、周囲の空間ごと削り取られますよ」
「怖っ……って今なんか」
うん、なんか周囲がゴリっといったね、今。
ベルさん、どうやら例えがお気に召さなかった様子。
「あー、いやその、うん、例えがちょっと悪かったですね。おばちゃんではないです」
「アレ食らって平然と話してる妖精さんもこえーよ」
うん、まぁうん。
【妖精】だからね。
知っての通り、魔法に対してだけはやたらと頑丈なのだ。




