1475:別の手段を用意しよう。
ういろうちゃんは逃げちゃったけど、慣れるとちょっと良い匂いにも感じてきたかもしれない。
なんというかこう、おいもとか突っ込みたくなる感じ?
まぁそういうのやったこと無いけど。
やる様な場所も無いし。
……む、まだ習得出来てないけど結構短くなっちゃったな。
たしか本物の葉巻って一時間くらい持つんだっけ?
それに比べるとえらく短い気がするけど、ガンガン吸っていってるし詰めたりせずに適当に巻いただけっぽいから、減りが早いのも当然か。
流石にこれ以上進めていくと、持ってる手が危ないな。
火が近くなってきたからか、吸い込む煙も熱くなってきた気がするし。
いや、まぁ割と最初から熱めだった気はするけど。
葉っぱの密度も薄いし、フィルターとかそういう物も特に無いしね。
あ、葉巻は元々無い物だったか。
まぁそれは置いておこう。
とりあえず火傷するのは嫌なので、水を出してシュッと消火してみる。
「どう? 取れた?」
「んー、まだ取れてはないですね」
「そっか。んじゃ、ロシアンルーレットいっとく?」
「全部安全な方が良いんですけど……」
こっちが吸い終わったのを見たロシェさんが、ごそっと束で出してくる。
何が怖いってどういう草が入ってるか判らないから、さっき以上の代物が出てくる恐れも有るって事だよなぁ。
「それでは、少々お待ちくださいな」
「ん?」
どうしようかなと迷ってたら、なんかカトリーヌさんが地上で何かやり始めた。
……お嬢様キャラなのに葉巻を口から生やしてる姿は、流石にどうかと思うよ?
いや、まぁ葉巻を吸ってる時点で割とイメージ的にはどうなのって感じだけど。
どっちかというと、パイプとかの方が…… いや、それもそれでなんかお嬢様って感じではない気がするな。
「何か代わりの物でも有るのかな?」
「有るんですかね?」
出してた葉巻を一旦しまって訊いてくるロシェさんに、こっちも疑問形で返しておく。
少なくともそういう用途の道具は持ってないはずだけど。
いや、地上まで行ったって事は今から何かを用意するのかな。
「……鍋?」
「ですね……」
……あれは【石弾】の応用なのかな?
カトリーヌさんの手の上に、いきなり一人用サイズの土鍋が出現した。
弾丸とは一体……?
いや、あれはあれでぶつけられたら痛いだろうけど。
【魔力武具】で土鍋がすぽっとはまる大きさの筒を作って…… ん、中に竹みたいに節が入ってるな。
あれは何のために……ってあぁ、地面に直接火を置いたら焼けちゃうからか。
中に弱めた【火矢】を転がして、その上にお鍋を設置。
「テキパキ進めるなぁ」
「まぁあの人、普通にしてれば凄い優秀な人ですしね」
「普通にしてればってのがネックだよねぇ」
「本当に……」
今みたいに真面目に何かやってる状況でも、きっかけさえ有れば変な方向に走り出しちゃうからなぁ。
まったく油断が出来ない人だから困るんだよ。
いや、走り出してもスルーすれば良いんだけど。
というか直火で鍋を温めるのは良いんだけど、あれをどうするんだろう。
あ、何か大きめの袋がボックスから出てきた。
どさーっとお鍋に中身を注いでるけど…… あれは紅茶の葉っぱかな?
「およ、良い物持ってるじゃん」
「あれで煙が出るんですかね?」
「アルミホイルに乗っけて焼くのはやった事有るけど、燻製に使えるくらいにはもくもく出たよ」
ほー、それは良さそうだな。
焼くのがお茶の葉っぱなら、失敗しても焦げる匂いがするくらいだろうし。
「たださ」
「はい?」
「丁度良いのが有るんだったら最初からそっちでやりたかったな……」
「……まぁ」
うん、心当たりが有るんだったら早めに言ってほしかったとは思う。
でもあれカトリーヌさんの私物だろうし、そこらへんはあんまり文句も言えないかな?
あとせっかく作った物が有るんだからそっちを使おうってのも有るだろうし。




