1355:浮くのにも慣れよう。
「んっ、むっ、んっ? ……おっ、これかぁ」
どうやら無事、翅を動かす筋肉を認識できた様子。
一度解れば後は慣れるだけだから、ひとまずはこれで……
「のわっ」
「あ、ごめん」
近くに居たままだったせいで、ぺしっと翅で挟まれてしまった。
痛くもなんともないから別に良いけど。
「で、次は【浮遊】ですかね」
「これは登録とかしてなくても怒られないんだよね?」
「あ、はい」
ちゃんとお願いしておいたからね。
このサイズだと、飛べないと遅いわ危ないわで移動もままならないし。
なんか手柄を誇るみたいになるから、お願いしたのでとは言わないでおこう。
「えーと、こう…… おっ、いけたー」
「動くときは翅を動かすとちょっと楽になりますよ」
「ん? おー、ほんとだ」
よし、これでとりあえず最低限の移動とかは問題無くなったな。
「ひゃふーぃ」
「危ないですよ?」
早速スピード感を味わいたいのか地面すれすれを飛んでみたり、海側に降りて壁沿いに飛んでみたりしてるけどさ。
翅の有る体にまだ慣れてないんだから、下手したら壁にこすったりしかねないでしょうに。
「っと、今は遊んでる場合じゃないな」
あ、冷静になって帰ってきてくれた。
「お? おー……」
ん?
なんでいきなり逆さまに……
あぁ、私の後ろでカトリーヌさんがひっくり返ってたのか。
見せた方が早いのは確かだけど、普通に口で言えば良いんじゃないかと思うよ。
「変な感じだなぁ」
「まぁそれも慣れですかね」
「宇宙空間とかのゲームだと全員バラバラだったりするから気にならないんだけど、これはそうじゃないからなぁ」
あぁ、確かにそこは重要かも。
皆が違う方を向いてる環境なら、それが「普通」だもんね。
「まぁ回ってる意味もあんまりありませんし、普通で良いんじゃないですかね」
「見てる側も何あれってなりそうだしねぇ」
うん、見慣れてないと一瞬「えっ?」って顔されるだろうね。
訓練場でやってる時は訓練してるんだなで済むだろうけど。
「こうすると、なんだか強そうですわ」
「おー」
……うん、人差し指一本で逆立ちね。
確かに普通なら相当鍛えてないと無理だろうけどさ。
というか親指ならともかく、人差し指じゃ鍛えても無茶……でもないか。
現実じゃ無理だとしても、こっちだと鍛え方次第でなんとでもなりそうだし。




