1274:初めての相手に懐こう。
受け取った服を持って塔一階の作業場に入っていくアヤメさん。
ああいう用途にも使えるから、人間サイズの建物も有ると便利だよね。
一応管理人室が有るけど、あっちはモニカさんのお部屋みたいなもんだし。
……あれ?
「あ、めーちゃんも来てたんだ」
「あー、ばれたー」
なんかお庭に違和感が有ると思ったら、めーちゃんが普通の木に擬態して立ってたからか。
我ながら、気付くのが遅すぎる。
というかなんで隠れてるんだ。
いや、全然隠れてはいないけど。
「新しい子、来たんだってー?」
「ん? あぁ、召喚獣か。うん、二人増えたけど見る?」
「見るー」
……なんか子供みたいな返事だな。
まぁ別に良いって言っても、どうせこれからご飯だし呼ぶのには変わりないんだけど。
今日はとりあえず、人型……人型? の子たちで良いか。
というかめーちゃん、擬態は解かないんだな。
まぁ別にお互いに特に困りはしないんだし、別に良いけどさ。
「えーと、んじゃ元気な方から」
どっちでも良い気はするけど、とりあえず懐っこい子から呼んでみよう。
めーちゃんの足下まで近づいて、シェラを召喚だ。
「うぉぅっ!? あー、うん、おはよー」
……出現と同時に抱き着いてくるの、可愛いけどびっくりするよ。
どんだけテンション高いの。
「わー、小っちゃくてふわふわだー」
めーちゃん、嬉しそうだなぁ。
まぁ可愛いものは良いものだよね。
どうやらシェラは最初からめーちゃんの擬態には気付いてたらしく、にぱーと笑顔で手を振って、よろしくーとお辞儀をしてる。
私を確保したままやるから、こっちはちょっとのけ反る羽目になってるんだけど。
「めーちゃんだよー。よろしくねー」
めーちゃん、軽くゆさゆさと枝を振って返事をしてる。
あのままでも割と動かせるんだなぁ。
シェラがそれを見て、私を解放してからとことこ近づいていく。
あ、根っこにもふっと寄り添って座った。
こっちこそよろしくねーって事なんだろうか。
まぁ少なくとも拒絶では無いってのは解るからなんでも良いか。
「で…… 大丈夫かな?」
「んー?」
「いや、もう一人が怖がりというか恥ずかしがりな子だからさ」
「あー。でもまー一応、挨拶してみよー」
「ま、大丈夫かもしれないしね」
「ねー」
うん、呼ぶ前から心配しててもしょうがない。
ダメだったらダメだったで、隠れられるところに連れて行ってあげれば良いだろう。
んじゃ、ポチっとな。
何も押してないけど。
「えーと…… はい、おはよう」
開けた場所に居る事に不安げな表情をしつつも、おはよーございますとこっちに挨拶してきた。
……あ、にょろっと丸まって小さくまとまった。
脅かさない様にかめーちゃんが静かなので、こっちから紹介していこう。
「クリス、こちらお友達のめーちゃんだよ」
「よろしくねー。うんうん、こわくないよー?」
気付いてはいただろうに、めーちゃんの声に一瞬びくっとしてから近づいていった。
ん、あれ? 驚いた割には普通に寄っていくんだ。
「うん、良いよー。どうぞどうぞー」
……おお、めーちゃんの肌というか表面って割とすべすべしてるのに、器用ににょろにょろ蛇行して登っていく。
初対面なのに、えらい気に入られたもんだな。
「おー、凄いなぁクリスちゃん」
「こうして見ると、やはり器用なものですね」
テーブルから眺めて感心するのは良いんだけど、なんかお姉ちゃんがレティさんに肩を押さえられてる。
どうせ突っ込んで行くだろって思われてるな……
まぁうん、私もそう思うしお姉ちゃんも多分自分で解ってるな。
うっかり脅かすと嫌われるだろうから、予防で押さえられてても不満は無いんだろう。




