1224:要望を追加しておこう。
再度着水して普通に顔を出したコレットさんが、普通に浅いプールを歩く様な動きでアリア様の近くへ移動していく。
まぁ水面を歩いててもあんまり不思議じゃない人だし、そこまで驚けないよね。
「さて、シルク。こちらは暫く放っておいて問題無い故、存分にお世話してやるが良い」
まぁうん、確かに見てるくらいしかやる事は無さそうだよね。
と言ってももう体も流したしお茶に入ってるし、揉むくらいしかやる事無さそうだけど。
「む、済まん。その前に」
ん?
何か忘れてたのかな?
「軽く全体をくるくると掻きまわして、流れを作っておいてくれるか?」
……あー、うん、流れるプールね。
入った事は無いけど、ちょっと楽しそうだよね。
「抵抗出来る気がしないんですが」
「なに、溺れる事は無いのだ。気楽に流されるが良いだろう」
「まぁそうですけどね……っと、避けといた方が良いですね」
「うむ。気を遣わせるからな」
あ、カップのふちから真ん中の方に泳いでいった。
巻き込まれても怪我はしないけど、滅茶苦茶な動きにはなりそうだもんね。
要望通りに少し熱めのお湯に手を入れて、くーるくーると手を回し始めるシルク。
「これ、中は中で回転する羽目になりますね……」
あー、確かに。
外周だとカーブは緩やかだけど、内側に行くにつれて急になるもんね。
「……ふむ」
「……また嫌な予感がしますけど、もう諦めてますからどうぞ」
潔いな、アヤメさん。
まぁ本当に今更だもんね。
「うむ、では遠慮なく頼むとしよう」
「出来れば遠慮はしてほしいんですけどね……」
「はっはっは」
まぁ良いではないかって顔でアヤメさんの肩をぽんぽんしてる。
くるくる回るお湯の中で立ち泳ぎしながらだから、気軽にやってるけどけっこう器用な真似だよね。
「という訳でシルク、スピードアップだ」
いいんですか?って顔してるけど、多分いいんだと思うよ。
どうせその人、本気で止めなきゃ止まらないだろうし。
「いや、これ以上やったら……」
「それが目的だとも。渦に飲み込まれる経験など、本来であれば命がけだからな」
「そんな経験、出来ればしたくはないですよ……」
うん。
というか怪我しないし溺れないとはいっても、視界とか平衡感覚がえらい事になりそうなんだけど大丈夫なんだろうか。
まぁえらい事になってもぷかーっと浮いてれば、そのうち治りはするだろうけどさ。




