1106:お口から引っこ抜こう。
「よいしょっと」
「ふぅ…… クリス様、ありがとうございました」
クリスが様付けに戸惑いつつも、口を元に戻してお礼に対して頭を下げる…… のは良いんだけど、ズルズル引っこ抜いてる時、なんか妙に気持ち良さそうだったのがちょっと気になる。
喉の内側を撫でたら喜んだりするんだろうか……
いや、やろうと思ったら思いっきり手を突っ込まないといけないし酷い絵になりそうだから、頼まれでもしなきゃやらないけどさ。
……というかカトリーヌさん、大分べとべとになっちゃったな。
まぁ放っとけば乾くか。
「ところでクリス様、普通に物を食べる事もお出来になるのでしょうか?」
そういえば、そこはちょっと大事かもしれないな。
いや、まぁ噛まないなら噛まないで、普通に呑むだけだろうからそうでもないか。
あ、でも頷いたし大丈夫なんだな。
まぁ一応、ちゃんと歯も有るもんね。
「では、先ほどのお礼にこちらをどうぞ」
おや、プレゼント用に蜜の在庫を確保してたのか。
死んで容器が消えたせいで直接手で取り出してるけど、まぁ元々全身べとべとだからそのまま食べさせてあげても問題は無いだろう。
「少しくすぐったいですが、これはこれで気持ち良いですわ」
「いや、そんな事を報告されても」
伸ばしてぱくりと咥えられた手を、細い舌でチロチロ舐められてるらしい。
何となく想像は付くけど、だからどうしろと言うのか。
……いや、うん、なんかそのうち舐められそうだな。
なんだかんだで召喚獣の子達、みんなして舐めてくるし。
流石にポチとか珠ちゃんあたりは、こっちの身が危ないから控えてるっぽいけど。
……特に珠ちゃんの舌はヤバいだろうな。
なんせにゃんこだし。
「いえ、お礼の品ですからお気になさらず」
完食したらしく、カトリーヌさんの手から口を離してぺこりとお辞儀してる。
まぁうん、理由が何であれ感謝は大事だよね。
「ところでクリス様、テントの中で披露する事にした理由は、主に先ほどの事が理由なのでしょうか?」
「ん?」
「大きく口を開けはしますが、そうすると必然的に、お顔が極端に変形しますので」
「あぁ、そういう事か」
どうやら当たっていたらしく、クリスが恥ずかしそうに頷いてる。
まぁうん、普通の感覚だとさっきのは変顔に分類されちゃうよね。
いや、変顔とかそういうレベルではないけどさ。
いくら口とはいえ、体の内側を見せちゃう事にもなるしね。
いや、とはいえっていうか歯医者とかの見せる必要が有る状況ならともかく、そうじゃなきゃ割と恥ずかしい事か。
恥ずかしいならやらなきゃいいのにとは思うけど、出来る事を教えてって言われたから見せてくれたんだろうな。
うん、良い子だし後でちゃんと撫でてあげよう。




