1065:特に意味の無い提案をされよう。
「それじゃ、いくよー」
「はい」
一応声をかけてから、分身を解除。
お、解除した時の本体が残るらしい…… って、カトリーヌさんが凄い勢いで前を通り過ぎたんだけど。
ああ、分身の帽子が消えたから、本物の帽子が支えを失って落ち始めてたのか。
まぁ王女様からの貰い物なんだし、一応大事にしないとだもんね。
さっき無造作に投げてたけど。
しかし交代先が残る仕様なら、交代して解除っていう回避法が可能か。
それが咄嗟に出来るかって問題は残るし、そもそも普通に【跳躍】した方が早いし安いけど。
出現にはちょっとだけタイムラグが有るから、予め出してる状況じゃないと間に合わないだろうしね。
「どうぞ」
「あ、うん」
カトリーヌさんから帽子を受け取り、とりあえずかぶっておく。
かぶる理由は特に無いけど、かぶらない理由も無いし。
「はいはーい、戻りましたよー」
「うむ。楽しそうだったな」
「いや、別に遊んでた訳では……」
むぅ、アリア様にまでからかわれる。
楽しいどころか、微妙に痛い思いをしたよ。
「んじゃ、改めて使ってみますか」
「今度は事前設定は無しで、素の状態を試してみたら?」
「あぁ、それもそうだね」
お姉ちゃんの提案で、開いたスキルパネルを閉じる。
確かに設定の保存が可能ってだけで、別に必須ではないんだよね。
あんまり複雑な配置だと、正確に意識するのが不可能なレベルで難しそうだけど。
「とりあえず、今度は同じ向きで出してみよう」
「雪ちゃん雪ちゃん、上下にも出してみようよ」
「……意味は有るの?」
「無いよ?」
うん、だろうと思った。
完全に何も考えてない顔だったし。
「まぁ良いけどさ……」
「せっかくだから前後にも出して、自分の魔法を後頭部で受けてみようか」
「嫌だよ。っていうか前に居たら斜め向いて撃つよ」
流石にそこまでアホの子じゃないぞ、アヤメさん。
しかもそれ、全員同時に発動するなら本体のと後ろので二ヒットするでしょ。
「よし、それじゃ上下左右って事で」
……言ってから気付いたけど、これもう少し高く飛んでおかないと下の分身がどうなるか怖いな。
机に重なる位置に発動して、出現と同時に下半身が無くなるとか嫌だし。
逆に机を削り取って出現するかもしれないけど、破壊はそれで困るっていうか、ハマって抜けなくなる可能性も有るし。




