1000:寝た子を起こしてもらおう。
おっと、そろそろ良いかな。
今度は三人だから、目の前じゃなくて少し距離を置いておこう。
「はい、終わりましたー」
「うむ、ありがとう。……ほら、どうした?」
アリア様が双子さんの頭をぽふっと撫でて、反応を促した。
おや、双子さんがこっち見てないな。
「あ、すみません。気持ちよくてつい」
「あ、すみません。うとうとしてしまいました」
ふっと顔を上げて、アリア様に謝る双子さん。
……微動だにしてなかったけど、流石のバランス感覚……なのか?
まぁ現実でも電車とかで立ったまま寝る器用な人って居るらしいし、そこまで不思議でもないのかもしれない。
「ありがとねー」
お礼の言葉は完全に同時に聞こえてくるし、外側の手を振る左右対称の動きも、完全に同期してる様に見える。
相変わらずなんだけど、無駄に凄いなぁ。
……っていうか寝かけてたって事は、悪戯心を起こしてしっぽをモフってたら本当に死んでた可能性が有るな。
「よし、では行くとしようか」
双子さんがジルさんの所に戻って行って、アリア様がぽんっと手を叩く。
……おお、明るくなった。
「……って、そう言いながら何してるんですか」
「む」
照明に気を取られてる間に、なんかアリア様が置いてあるフリスビーを拾ってた。
「まぁまぁ、一度くらいは良いだろう?」
「そりゃ構いませんけど、言動を一致させてくださいって事ですよ」
「ははっ」
笑って流された。
いや、良いんだけどさ。
「ありがとうございました」
シャルロットさんがポチに用事が出来た事に気付いたらしく、お礼を言って離れたな。
……ってシャルロットさん、ずっとポチを撫でてたのか。
実はお姉ちゃん並みに犬好きなんじゃなかろうか。
でもポチから「はなせー」みたいな気持ちは出てきてなかったし、お姉ちゃんみたいにグイグイは行かないタイプなんだろうな。
単にサイズ的に無理なだけかもしれないけど、「しつこいなー」みたいな嫌がり方もしてなかったし、やっぱり問題無い触り方だったんだろう。




