表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森のエルフは過保護さん  作者: rurura
カララの町 《取引編》
60/80

第60話 スーさんを紹介しよう!



「まあ良いわ。 それじゃあまた良い依頼があったら誘うわね」


 とりあえず一度解散してもすぐに誘い直せば良いやとリディさんは気楽に考える事にして、サハラさんへそう伝えてこの場はこれで終りにする事にしました。

 そして、そこでようやくサハラさん達と一緒に居るつい先日会ったばかりのダークエルフを気に掛ける事が出来る様になりました。

 なにぶんリディさん達としては会った早々に予想外の爆弾発言されちゃったのでそれどころでは無かったのです。


「所でさっきからきにはなっていたのだけれど、そちらのダークエルフさんは先日の方よね? いつの間に一緒になったのかしら?」



「おっと! そうそう、そうなのですよ! その話もあって探してたのですよ~」


 サハラさんはおもむろにスーさんの肩に手を置いて紹介を始めます。


「何を隠そうこちらのダークエルフさん。 お名前はスーリエルさんと仰って、その愛称はスーさんと言うのです!! しかーも、な~んと――」


 じゃじゃーん! とサハラさんは盛大にスーさんを二人に紹介しつつ、さらに話を続けようとしたのですが――


「よろしくのぅ」

「リディアーヌです、宜しく」

「コレットだよん。 よろしくねー」


 ――三人はその横でわりかし普通に挨拶しちゃっててサハラさんはちょっと悲しかったりもします……。

 が、そこはなんと言ってもサハラさん、めげずに続けます!


「ぅぅぅ、し……しかーも! なんとスーさんはこの度冒険者の登録をしたのです!」


 ふっふ~ん♪ と何故かサハラさんが自慢げに言って注目をかっさらおうとしたのですけれど、リディさんもコトさんも(なんでサハラが自慢するのかしら?)と思った位でいまいち食いつきもせず、なんとな~く付き合いで話を聞いてくれてるだけな感じだったりもします。


(ぎゃふす。 ……おかしいなぁ~? もっと“凄い!”とか“なんですって!?”とか興味津々で身を乗り出して話に夢中になってくれる筈だったのにな~……。 しょうがないや……)


 そんな風にサハラさんは気落ちしながらも一応その先を続ける事にしました。

 しかしノリの悪い二人の態度にサハラさんのテンションがだだ下がりしてしまうのも無理からぬ話なのです。


「ちなみに……職業は“治癒精霊士”とか言うのらしいのです……」


 この反応じゃスーさんのPTは別の人達を探さないとダメかな~? なんて思い始めた所でリディさんとコトさんが同時に椅子をすごい勢いで“スパーーン!”と後ろに弾き飛ばして立ち上がり――


「治癒? 貴方は治癒精霊士だったの!?」


「ぱ、PT! PTはもう決まってるんですかー?」


 ――“治癒”と聞いた瞬間 キュピーン!と目の色変えてリディさんとコトさんがアイコンタクトしてうなずき合いました。

 さっきまでの興味なさ気な態度とは打って変わって、二人は今にも掴み掛からんばかりの勢いで質問しだします。


 そんな二人の勢いにちょっとだけ……いえ、かなり怯えながらもスーさんが質問に答えます。


「うむ、わしは攻撃系の魔法はからきしじゃが、治癒や生活に役立つ精霊魔法なら得意だのぅ。 あと、PTは決まって居らんぞ」


「じゃあ是非うちに!」


 スーさんの返事を聞くやいなや、あっと言う間の早業ですかさずコトさんが勧誘します。

 しかもそのままスーさんの返事も聞かずになんやかんやとコトさんがPTを組む事のメリットを力説し出しちゃいました。



「…………と言う訳で是非にPTを組みましょう!」


 実に五分間は喋り続けてやっとお誘いの言葉は終わったみたいです。




「う、うむ。 それが良さそうだの、問題無いぞ」




 でも、その甲斐あってかスーさんも乗り気になった様で、若干引きつりながらも頷きつつ肯定の返事を返します。


 だけど実は最初からPTに入れて貰いに来てるから一言“PT組みましょう”って言えばオールオッケーだったりもしたのですけどね。




「よし決まり! よろしくねー! さっちゃんも紹介してくれてありがとう!」


「いえいえ~、スーさんのPTが決まって良かったのです」



 その後スーさんとPTの決まり事を話したり、逆にスーさんの得意な事なんかを聞いてるうちになんとスーさんが実は住む場所も決まってない事が発覚したりして、ならリディさんとコトさんが住んでる家に一緒に住もうと言う事になったりしました。


 実はこの家はもともとPTで使う用に買った家で、ギルドにも近くて部屋数も余ってるのであと数人ぐらい増えても全然問題無いそうです。

 さすがはBランクPTです。

 メンバー用の家まで買ってあるなんてお金持ちです。



 と、それまでコトさんに会話をまかせて黙っていたリディさんが唐突に一つ質問しました。



「所でスーさん、一つ確認なのだけど、登録したばかりと言う事はFランクって事よね?」


「……いや、ちょっと待つのじゃ! スーなのか? わしの呼び名はスーで決まりなのか? それはいかんぞぅ、エルフの名は略してはいかんのじゃ」


 と、スーさんはリディさんの質問よりもまず先に自分の呼び方が今まさに“スーさん”で既成事実化されてしまいそうな事に気が付いて慌てて訂正します。

 サハラさん一人くらいなら我慢出来ても皆から短縮した名前で呼ばれるのはやっぱり良く無いのです。

 特に短縮名で呼ばれてるのが他のエルフにでも見られた日には“最早お嫁に行けないのじゃ!”と言う位にはすっごい恥なんです。


「あ、あら、そうなのね? 分ったわ、スーリエルね。 気をつけるわ」


 スーさんの必死さにリディさんもたじろぎつつも了承します。

 エルフの知り合いなんてララ位しか居ないと言う程にエルフ族はこの辺りでは見掛けない種族なんですけど、その二人が揃って名前の短縮はするなと怒るならきっとエルフ族にとっては名前の短縮とは凄く大問題なんだなとリディさんは覚えて置くことにしました。


「それでさっきの質問なんだけどランクはFなのよね?」


「うむ、Fじゃのう」


 改めてリディさんが問い直した所、スーさんの答えは予想通りのFランクでした。


 その返事にハッとした表情をコトさんがします。

 すっかりその辺の事を忘れちゃってたのでした。

 しかしすぐさま気を取り直して話を続けます。


「そっかそっかー、うんうん、分るよー。 でもFじゃ不便だよね? と言うか不便なんです。 でも安心して下さいねー。 私達とサクッとランク上げに【フレイムサラマンダー】でも狩りに行っちゃいましょうねー!?」


 とコトさんが言い。


「そうね。 確かそのトカゲは常時討伐対象に指定されてるのに殆ど誰も狩りに行かないから取り合いにならずに丁度良い獲物だったわね」


 と軽くリディさんが答え。


「うんうん、とりあえず十匹位倒せばランクなんて上がるだろうしチャチャっとやっちゃおーう」


 とコトさんが決定しちゃいました。


 どうして【フレイムサラマンダー】が討伐対象に指定されてるのに誰も狩りに行かないのか、それはすっごく簡単な話で“すんごく強い”からなんです!

 Cランク程度のPTだとかなり入念に準備して行かないと返り討ちにされちゃうかもしれない程の強敵なんです。


 でも、その話を謎の【泡立つ不透明なダークグリーンの液体】を飲みつつ聞いてたサハラさんは【フレイムサラマンダー】と言う単語にシュバッと食いつきます。

(【フレイムサラマンダー】って何ですか何ですか!? すっごく格好良い名前なのですよ! 是非見に来たいのです!)


 あわよくば一緒に行けない物かと期待した視線をリディさんへ送ろうと思った矢先――



「…………サハラ、駄目よ? 【フレイムサラマンダー】は凄く危険な生き物なのよ。 大きな個体だと十五メートルはあるのも居るし、サイクロプスを一撃で焼き殺したって話もあるくらい強いんだから一緒に行くなんて以ての外よ?」



「何故ばれたし!?」

(と言うか十五メートル!? ちょっとどんな大きさなのか想像出来ないですよ~! て言うかサイクロプスとかも居るんだね!?)


 ――あっと言う間にララにばれて駄目出しされちゃいました。



「まてまて待つのじゃおんしら! わし、そんな物騒な奴倒せんし!!」


 でも、当のスーさんは大慌てです。


「大丈夫よ。 倒すのは私とコレットがやるわ。 貴方は一緒に居れば良いだけよ」


「そうそう心配無いってー。 PTで活動したって実績があれば良いだけだし、それに【フレイムサラマンダー】って危険生物指定されてるから狩りの対象なんだけど、高く売れる魔石も取れるし色んな素材にもなるしで一石二鳥どころか一石三鳥四鳥の美味しい話なのよー」


 とリディさんとコトさんがまたまた阿吽(あうん)の呼吸でさも何でも無い事の様に言ってスーさんを安心させます。


「そうなのかのぅ……。 そこまで言うなら行ってみようかのぅ」


 そんな二人の物言いに、恐る恐るではありますがスーさんはまんまと騙さ……説得されて頷いちゃったのでした。


「よし、決定だね! そうと決まれば早速ギルドでPT登録しよう! そしたらスーリエルさんの住む部屋準備しちゃって明日には出発だよー」


 うきうきとコトさんが有無を言わせぬ勢いでスーさんの手を引いて出口に走って行きます。

 それに少し遅れてリディさんもヤレヤレといった風に席を立ちつつサハラさんへ視線を向けました。


「サハラ、それにララエルも、私は貴方達二人を諦めた訳じゃ無いわよ。 彼女が入ったとは言え貴方達も必要だわ。 まあ、そう言う訳だから、また誘うわね」


 そう言って今度こそリディさんもコトさん達を追ってテクテクとギルドへ向かって歩いて行っちゃいました。



 で、三人が完全に見えなくなってからララが一言います。



「【フレイムサラマンダー】って群れで居るから一匹と戦ってる間に囲まれるのよね。 しかも弱い相手から狙う習性まであるのよ」


 要するに一緒に居るだけで危険が一杯なのです。

 囲まれちゃうから前も後ろも無いんで後ろに隠れてるとか出来ませんしね。


(スーさんは本当に大丈夫なのかな……)


 何せ本当に安全で簡単に狩れる相手だったなら、サハラさん達と行った前回の依頼なんて受けずにそれこそサハラさん達連れて【フレイムサラマンダー】を狩りに行っちゃってたでしょうしね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

人物紹介とか書きました!

人物紹介&設定

良ければこちらもお願いします♪

ラミアの道具屋さん

高慢(に見える)公爵令嬢と有能(に見える)メイドさん
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ