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森のエルフは過保護さん  作者: rurura
カララの町 《神官潰し編》
33/80

第33話 リディアーヌさんは実は口下手



◆◇◆◇◆



 一方その頃のララエルさんはと言うと、混んでるお店からやっとの事で飲み物を買って出て来た所でした。



「お待たせサハラ。 ミユレ味で良かったかしら……あら?」


 ララは両手に二人分の飲み物をもって、待っているはずのサハラさんへ問い掛けました。

 だけどさっき別れた場所には誰も見当たりませんでした。


「サハラー、何処かなー?」


 キョロキョロと周りを探してみます。

 でもやっぱり見当たりません。


(も、もしかして誘拐!? いえ、前回は焦って勘違いして恥を掻いてしまったし……もう少し探して見ましょう)


 とりあえず近場のお店に入ってるのかもと何軒か覗いて見ますが居ない様です。


 だんだんと落ち着いて居られなくなってきたララですが、次はその辺の人にサハラさんを見かけなかった聞いてみる事にしました。

 そうしたら数人目に聞いた人が“ああ、その子なら犬を追っかけてあっちに走ってったよ”と路地の方向を指さして教えてくれました。

 


「犬ですって……? なんて事……サハラじゃ犬に襲われたらひとたまりも無いわ! すぐに助けに行かなきゃ。 待っててサハラ!」





◆◇◆◇◆





 所変わってサハラさん達です。




「…………」


「…………」



 サハラさんとリディアーヌさんは、いまだに何とも言えない微妙な空気で静まりかえっちゃってます。


 そんな二人の元に割って入る影が一つ……。



「あわわわ、何してるんですか!? まったく、初対面だとちゃんと話ないのはお姉さまの悪い癖ですね」


 チラッチラッとサハラさんの方を伺っていたリディアーヌさんをたしなめ、それからその人はサハラさんに向き直って自己紹介をします。


「ごめんね。 あなたサハラちゃんだよね? あたしコレットって言うの、よろしくね」


 何故か高そうな壺を持って現れた白い翼を持つ少女がウインクしながらそう言って挨拶しました。



「はい、よろしくです。 あれ? どうして僕の名前を知ってるのです?」


 サハラさんもつられて返事をします。 それと同時に何で名前を知ってるのか気になったので聞いてみました。

 しかも何故か大きな壺も手に持ってますしね。


 でも、それよりなによりサハラさん的には背中にちょこんとついてる白い翼が気になって気になって仕方が無かったりします!



「だってあなたは例の一件以来、結構有名人だもの。 あ、ちなみにあそこでプンスカしてる“羊人”はリディアーヌ様ですよー」


 所在なさ気にちょっと離れた所でそわそわと様子を伺ってたリディアーヌさんですが、コレットさんの突然の紹介にビクっと反応して顔を背けちゃいました。


「リディアーヌさん、さっきはごめんなさい。 あらためましてよろしくです!」


(角です! 角が生えてますよ!! 可愛い! 格好良い! そして可愛いです!)大事な事なのでry



「……ええ、そうね」


 リディアーヌさんはそれだけ答えるとまたしてもプイッと顔を背けちゃいました。

 そんなリディアーヌさんの元にコレットさんがスススっと近寄って小声で話しかけます。


*・*・*


(ちょっとお姉さま! 何してるんですか! せっかくあたしがフォローしてあげたのにー)


(ぅぅぅ、だって……。 でもどうするのよ。 もう完全に予定は狂っちゃったわよ? 所でその壺は何よ)


(たしかに作戦はもうダメですねー。 まあ仕方無いですし、普通に頼んでみましょうよ。 ちなみにこの壺はエルフ対策ですよー)


(普通にねぇ……。 ま、ダメ元で頼んで見ましょうか)


*・*・*



 話が纏まった所でリディアーヌさんはキッサハラさんを睨んで抑揚の無い声で言います。


「貴方、冒険者らしいわね。 でもそんなんじゃすぐに死ぬのがオチね。 まあ、ここで会ったのも何かの縁だし、仕方無いから私達が貴方とPTを組んであげるわ」


(ひょわー! お姉さま、なんて言い方ですか!?


 あんまりにもあんまりな言い方にコレットさんが駄目出しします。

 でも、それ以前に言った本人も両手で頭を抱えてたりします。〈正確には頭に生えてる角を持ってるのですけどね〉

 リディアーヌさんは、分っては居てもついつい口が滑っちゃう性格なのです。


 さすがにあんな誘い方じゃ絶対に良い返事が貰える筈も無いし、二人して「短い夢だったわね……」なんて完全に諦めてお通夜状態です。



「え、PTですか!? お二人とPT、良いですね~」



「「…………あれ?」」


 二人の予想に反して凄く色よい返事、しばし思考が追い付きません。


「え? それは良いって事?」


「はい」




(何故良いのかしら?)

「私達の事知ってるの?」


「いいえ~、だって初対面ですよね?」




(やっぱり知らないのね)

「じゃあどうして組む気になったの?」


 リディアーヌさんは未だに考えが追い付かないので疑問に思った事を壊れた機械みたいにそのまま口にしちゃいました。 でもその答えは、やっぱりリディアーヌさんの予想を超える物でした。




「ふふ~ん、簡単な事です。 だってお二人の角と翼が凄く素敵だったから!!」


……

………

…………

……………


「…………ぷ、ぷふふ、あははは! 貴方最高ね! 最高に意味分かんないわ!」


 ついにリディアーヌさんは我慢出来なくなって笑い出しちゃいました。

 だってPTって冒険者にとって凄く重要な事なのに“角と翼”が理由なんですからね。







「あ、でもララにPT組んで良いか聞いてからじゃないと決められないのですけどね。 あ、ララって僕と一緒に居てくれてるエルフさんです」


 サハラさんはそう言ってから遅まきながら考えて見たら、ララはたぶんダメって言うんだろうな~と思い至ります。


(それにエリックさん達になんて言おう。 PT誘ってくれてるのに違う所入っちゃったら怒るかな~? 困りました~。 だって角と翼見せられちゃったからついつい“うん”って言っちゃったのです! う~ん、今度会った時に謝らないと……)


 そんなサハラさんの葛藤を知ってか知らずか、コレットさんが一言。



「あー、それは心配しなくても大丈夫だよー。 あたしに手があるからね!」


「お~、そうなのですか。 ではそれはお願いしますです。 あ、それとは別にリディアーヌさん! 一つお願いしても良いですか?」


「何かしら?」


 サハラさんのお願いにリディアーヌさんは小首を傾げます。


「名前なのですけど、せっかくお知り合いになれたんだしあだ名で呼んじゃダメです? その方が親しげで良いと思うのです」


 毎回フルネームで呼ぶのは面倒ですし不便ですものね。



「ええ、まあそれ位のお願いなら問題無いわよ」



「やったぁ! じゃあリディアーヌさんだから……リディで!」



「リ……! ま、まあ良いと言った手前、仕方無いわね」


 リディさん、実は密かにあだ名が嬉しくて照れちゃってますけど、プイッと横向いて素っ気ない振りです。



「良いなぁ。 ねぇねぇサハラちゃん、あたしは?」


 照れて固まっちゃってるリディよりもむしろコレットさんの方が食いついて来てます。



「え? コレットさんは……う~ん、コレ……レット……コット……コト……。 ……コトさん……かな?」

(三音しかない名前を略すのってハードル高いです! あ、レトさんのが良かったのかな?)



「コト! 良いです! 気に入りました。 前は『鳥』とか『(はね)』とか呼ばれてたので最悪でしたよー!」




「そ、そうなのですか」

(予想外に受けました!? ま、まぁ鳥とかよりは良い……のかなぁ?)




「さてと、それじゃーまずはエルフのララさんの所に行こう」


「そうね。 そうしなければ始まらないものね」


「わかりました~」

(黙って来ちゃったから心配してるだろうし、早く戻らないとね)

 


 とりあえずの目的と、ついでにあだ名も決まった事ですし、さっそくララにPTの許可を取る為に会いに行く事になりました。

 


「じゃ、サっちゃんついてきてね。 広場まで案内してあげる」


「は~い、あれ? 良く広場から来たってわかりましたね」



「……えーと。 ……とりあえず手近な場所が広場なだけだよ?」


「なんだ~、そうだったんですね」



(危ない! ずーっと後つけてたのがばれる所だったわ!)


 と、一人無駄に焦るコトさんを先頭に、三人は広場へと歩き出すのでした。





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