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森のエルフは過保護さん  作者: rurura
カララの町 《雑用編》
15/80

第15話 路地裏は危険

◆◇◆◇◆



 サハラさんが道具屋さんでクロ姉から櫛を買おうとしていた頃。

 その一方でララエルさんはと言うと、ギルドで依頼掲示板を眺めて悩んでいました。



「おう、一人か? 珍しいな」


 普段なら依頼掲示板なんて見ないで真っ直ぐ受付に来るのに、今日は珍しく掲示板を見ているララが気になってアドニスさんは声を掛けてみるのでした。


「今日は私が依頼を受けに来たのよ」


 ララエルさんは、そう素っ気なく答えてそのまま依頼を見続けます。


「いまさらなんだが、お前さんもエルフだったんだなぁ」


「…………なんですか? 何処からどう見ても私は立派なエルフでしょう」


 何を言っているのか分からないと言った風にララがアドニスさんにそう言います。


「いやなに、普段あの嬢ちゃんと一緒に居るとまるでエルフらしい振る舞いが無かったからな、ついつい忘れちまってたんだよ」


「……エルフらしい振る舞いとは何ですか?」


「あー……なんだ……。 身の安全の為にそれは言えねえんだけどな」

(自分勝手、我が侭、高飛車、傲慢、偉そう、頑固、etc.ってのがエルフらしさだからなぁ)


「何か我が一族が不当に(はずかし)められている気がしますが……しかし今は時間がありませんし、良いでしょう。 これ、受けるので手続きをお願いします」


 会話しながらも良さそうな依頼を探していたララですが、ピッと掲示板から一枚の依頼書を剥がしてそのままアドニスさんに手渡します。


「おう、なになに……っておい、これ依頼レベルがCじゃねえか! しかも四日は掛かる依頼だが、ほんとに大丈夫なのか? この場所は危険な魔物もでるぞ」


 アドニスさんが手渡された依頼書には『依頼品を出来うる限り早く深森域調査拠点へ届ける事。 注:道中にはDランク以上の魔物多数が確認されている為注意されたし』と書かれていました。

 未だアドニスさんはララが依頼を受ける所を見た事が無かったのでどれ程の実力があるのか把握して居なかったので不安になります。


「ええ、大丈夫よ。 危険な魔物が出ると言っても倒す必要は無いのでしょう?」


「たしかに討伐依頼じゃねぇが……」


「それならばいくらでもやりようはあるわ」


「そうか、分かった。 だが無理はするなよ。 お前さんに何かあったらあの嬢ちゃんが悲しむぞ」


「そう思う? ……いえ、サハラは私の事なんて気にもとめないんじゃ無いかな」


 急にしょんぼりと耳も肩も下げて暗い顔になってしまい、アドニスさんは驚きます。


「いや、そんな事ねえだろ。 普通にお前さんら二人は親子か姉妹にしか見えねぇ位に仲良いじゃ無えか」


「そ、そう? そうよね! うん、ありがとう。 貴方、人族の割には見所があるわね。 分かったわ、忠告通り無理しないように行ってくるわね」


 一転して今度はえらく機嫌良く返事をしてララはギルドを飛び出して行ってしまいました。



「何なんだろうなぁ……ほんと嬢ちゃんの事が絡むとエルフっぽさが無くなるのな」


 颯爽と飛び出して行ったララを見送り、アドニスさんはそんな感想を抱くのでした。






◆◇◆◇◆






「草原を駈けし風の精霊よ! シルフィの名を持つ者が古よりの魂の盟約により依頼する! 我に風を超えし瞬足の祝福を!」


 カララの町から外に出た所でララは自身に移動補助の上位精霊魔法を掛けます。

 この魔法はエルフ族の中でも【シルフィ】と言う特別な名前を持つ者にしか使えない上位の補助魔法で、ララの熟練度だと単純な移動なら四~五倍の速度で移動できる程の効果があるのです。

 瞬間的にならもっと素早く動く事も出来ます。


「労働を司る力の精霊よ! 黒の森の民が願う! 休まずの祝福を!」


 続けてララは持久力を上げる下位の精霊魔法も同時に使います。

 ララは生命の精霊はそれ程相性が良くなくて上位はおろか中位の魔法も使えないので下位が精一杯なのです。

 それでも普段の倍位は連続で走り続けられる様になります。

 しかも魔法を継続してる限り体力の回復も早くなるのです。



「よし、じゃあ急いで東の森まで行って来ちゃいましょうか」



◆◇◆◇◆



 所変わってこちらはサハラさん。


 道具屋で買い物を終わった時には意外と時間が経っていたので一度宿に戻って昼食を取る事にしたのでした。

 ですので今は宿の食堂でお昼を食べ終わった所です。


(さてと、この後はどうしようかな? ララが帰ってくるにはまだ時間がありそうですね~)


 丁度そんな考え事をしていたら教会から十五時を知らせる鐘の音が聞こえて来ました。


(十五時か~……よし! さっき見つけた武器屋さんでウインドウショッピングしてこよう!)


 サハラさんは予定が決まったので、宿の店主さんからサービスで貰った食後のお茶〈みたいな味がする謎のピンクの液体〉を一気に飲み干してから食器を片付けて、外に向かって歩き出します。


(え~と、さっきの通りは確か宿を出て左に曲がって~、四つ目の交差点を右に……左? いえ、右のはず! 曲がって~……え~~と、この角……曲がった気がする。 で、ちょっと歩くと派手な看板の店が見えてきて、そこの先を曲がれば……着くはず!)


 サハラさん的には“自分は方向感覚は完璧”なのです。


 ですのであんまり不安無くとことこ、とことこと町を歩いてきます。

 だけど悲しいかな、何処かで道を間違えてしまったようで人通りが全然無い所に来てしまいました。

 それに道も細くて入り組んでて薄暗いです。


「あれれ、ここ何処なのかな? 何だか裏通り見たいな所に来ちゃったし」

(ま~、いっか~)

 そう思ってサハラさんはさらに進む事にしました。


「でもおかしいな~、今まで道に迷った事なんて無いのにな~。 異世界だからなのかな?」


※※

 サハラさんは異世界だからだと考えたのですけど実際には少し違います。

 元の世界で今までサハラさんが迷わなかったのは方向感覚が良かったからでは無くて、単に今時の日本なら大体何処にでも標識や看板が出ているからなのです。

 携帯とかで自分の位置や地図も見れますしね。


 そして最大の理由が……サハラさんは元の世界で迷う程の遠出を一人でした事が基本的に無いのです!

※※


「ふんふんふ~ん♪ ここはどこ~♫ どこなのさ~♪」


 サハラさんは迷子のくせに上機嫌で鼻歌混じりに路地裏を足取り軽く進みます。

 道はどんどん狭くなるし、薄暗くなって人々の生活の雑踏も遠くになっていきます。

 遠くから教会が十八時を知らせる為に鳴らした鐘の音が聞こてきます。

 宿屋からは結構遠くに来ているらしいです。


 だけどあんまり気にしません。むしろまだ見た事無い場所に来られたので嬉しく思っている程なのです。



 でも一つ重要な事を忘れています。

 そう、この世界はまだ警察もまともに無い様な所なのです。

 そしてここは荒くれ者が集まる地区で治安が悪い場所、しかも路地裏、さらにサハラさんはそれなりに可愛い女の子、駄目押しですでに時刻は夕暮れ時、これだけ揃えば襲われない方がおかしいくらいなのです。




 そんな路地を進む事さらに数分、サハラさんは何個目かの角を曲がった所で久しぶりに人を発見しました。

 角を曲がってすぐの壁に寄りかかり両腕を組んで目を閉じています。


 その人は背が百七十五センチくらい、肌は浅黒く、黒い髪を短く編み込んでます。黒人のラッパーみたいな感じ?

 腕や足は筋肉でパンパンに膨らんでいますし、服装もパツンパツンのランニングシャツみたいのにジーンズとブーツ、それと腰にはシミターみたいな曲刀を携えています。

 腕や顔、至る所に入れ墨が入っていて見るからに柄が悪そうな感じです。

 でも見方を変えるとアメリカとかオーストラリアの先住民みたいかもしれません。

 年齢はたぶん三十歳位。


「ど~も、こんにちはです」


 とりあえずサハラさんは挨拶してみる事にしました。


「………………」



「良い天気ですね~」



「………………」



「え~と……ぁ……ぅ……ぁ……ぅ……」



「………………」


(うぁーん、返事が無いですよ~)

 しかし全然返事を返してくれません。


 入れ墨の男の人は返事をしてくれなかったので、サハラさんはしょんぼりと先に進むことにします。

 もしかしたら寝てるのかもしれないですしね。


 歩くとすぐ先が丁字路になっているので適当に左に曲がりました。



 それから大体三十分くらいでしょうか、入り組んだ町を気楽に歩いて角を曲がったり曲がらなかったりしながら進んで行きます。


 で、何度目かの角を曲がったら何故かさっきの入れ墨男さんが居ました。 さっきと全く同じ姿勢です。

 むしろ同じ場所です。



(あれ、もしかして同じ所に戻ってきちゃったのかな? う~、恥ずかしい~)



 どうやらくるっと一回りして元の場所まで戻ってきたみたいです。

 サハラさんは恥ずかしいので入れ墨さんの前を通り過ぎる時に照れ隠しで口笛を吹きつつ通ります。


「ふゅーふゅー」


 ………………実は口笛吹けないから吹く振りなんですけどね。



 そのまま通り過ぎて今度は丁字路を右に曲がって見る事にします。



 でも、何だか後ろから足音が聞こえた気がしてサハラさんは一度立ち止まって耳を澄ましてみます。


 …………何も聞こえません。

 自分の足音の反響なのかな~? と思ってまた歩き出します。


 もうちょっと進んで見ました。

 やっぱり自分以外の足音が聞こえる気がします。

(これは革靴の音かな? …………ってこの世界じゃ殆どの人が革靴です!)



(やっぱり誰か付いてきてる気がします。 う~ん、自意識過剰なのかな?)


 サハラさんはだんだん不安になってきたので知らず知らずの内に早足になっています。

 時々振り返って見ますけど道が入り込みすぎてて分かりません。


(な、なんだろう? きっとその辺の家の人だよね。 それかたまたま向かう先が同じだけだよね)


 すでに半分パニックになりかけています。

 もう歩くと言うより走ってると言った方が正確な程です。


 そのまま走って角を曲がったら何かに顔から当り弾き返されて尻餅をついてしまいました。


「きゃう! いたたた……あ! ごめんなさい、大丈夫ですか?」


 どうも人に当たったらしいです、だけど相手はサハラさんが当たった位じゃ倒れなかったみたいです。


「いってーな、何しやがんだ! おい、お前ら! こいつ捕まえろ」


 無精髭の男がサハラさんに体当たりされた場所をさすりながら手下らしき二人の男の人に命令します。


 無精髭達三人は、皆身なりも汚く最後に体を洗ったのはいつなのかも分らない程汚れています。


「え、えと、ごめんなさい。 あう、ちょっと待って!」


 非常に宜しくない状況です。


 サハラさんはあっという間に左右から二人の男にしっかりと腕を掴まれてしまいました。



「よー、嬢ちゃん。 こんな場所で何してんだ、ママとはぐれたのか?」


 三人のリーダーらしき人がそう言いながら近寄ってきます。

 すっごくまずいです。


「んー? よくよく見ると案外可愛い顔してるな」


 サハラさんは褒められた筈なのに寒気がして鳥肌が立ちました。


「兄貴、こいつめちゃ柔らかいしめちゃ良い匂いしますぜ!」


「こんな上玉初めてっすね、親分の所に持ってけば褒美をたんまり貰えそうっすね!」


 手下二人がさらっと恐ろしい事を言います。


「おー、そうだな。 少し幼すぎるが、まあこれだけ上玉ならそれ位目をつむってくれるか」




 サハラさん絶対絶命のピーンチ!



(あゎゎゎゎゎ……ま、まずは落ち着こう。 ど、どうしようかな……え、えーと、そうだ! 魔法です! 【閃光】で目眩ましして怯んだ隙に逃げれば行けるかな?)

※【閃光】はすっごく強い光を放ちます。目眩ましです※


 サハラさんが使える三種類しかない魔法で唯一戦闘向きの魔法なのです。

 ただしアンデット以外への攻撃力はほぼ無いです。〈間際でばっちり見ると目を火傷します。 望遠鏡で太陽見た感じに近いです〉



 それがサハラさんが一杯一杯冷静になろうとして考えた方法なのだけれど、腕をしっかり持たれちゃってる今やっても成功率は低そうです。

 …………ちょっと涙出て来ました。



 そんな風に悩んでいたら、ふ、とさっきまで逃げようとしていた足音が聞こえた気がしてその方向を覗きます。

 腕持たれちゃってるから首とかで頑張って振り向いてるんですけどね。



 サハラさんにつられてチンピラ達もその方向を見ます。





 何とか音の聞こえた方向に振り向いてみたら、なんとそこには入れ墨男が腕を組んで仁王立ちしていました。



(え、え~と。 これはチンピラさんの増援が来たのかな? それともチンピラさん三人とストーカーさん一人に増えただけなのかな? ……ぅぅぅ、どっちでも状況が悪化してるだけです)


 そろそろ本格的に泣きたくなってきたサハラさんなのでした。



「そこの娘、動くなよ」


 突然入れ墨男さんが喋りました。

 めっちゃダンディーな声です!


「あ、はい」


 サハラさんも咄嗟に返事をしたけど、そもそも腕を掴まれてるので動けないんですけどね。


「おい! さっさと消えな! そうすりゃ今回だけは見逃してやる!」


 チンピラのリーダーがそう言いながら手下からサハラさんを受け取り、首に腕を回しながら引き寄せます。

 手下二人はそれぞれ入れ墨さんの左右斜め前に陣取りました。


「………………」


 入れ墨さんはそれには答えずに組んでいた腕を解いて無造作にチンピラのリーダーへ向かって真っ直ぐ進み出します。


「ちっ! やっちまえ!」


 そのかけ声と共に手下二人が同時に服の裏に隠し持っていたナイフを抜いて入れ墨さんに向かって突き出します。


「あ、あぶな~い」 サハラさんのちょっと気の抜ける焦った声。


 しかし入れ墨さんは少しも焦らずに、まず左の男のナイフを左手で弾き飛ばして、同時に右の男のナイフを右手で受け止めます。

 そのまま右の男の腕を絡め取り相手の力を使って背負い投げのように投げ飛ばします。 合気道の技みたいですね。

 そして投げ飛ばした勢いそのままに体を捻ってもう一人の顎先を殴り飛ばしました。



(お~、格好良いです!)



「ま、まて! 来るな! この子供がどうなっても良いのか!?」


(うわ~、凄いベタな悪人ですね~。 でも入れ墨さんと知り合いでも何でも無い僕じゃ人質にならないんじゃないかな? ……あと子供って失礼です)


 サハラさんは自分の事なのにあんまりにもベタな台詞回しに何故か少しだけ冷静さを取り戻せました。




「…………く」



 しかし意外にも入れ墨さんが歩みを止めてしまいました。



(あれ? 僕の事を心配してくれるのかな。 良い人です)



「よーし、そのまま動くんじゃねーぞ?」



 チンピラと入れ墨さん、双方が額に汗を滲ませながら睨み合います。



(このままじゃ僕のせいで入れ墨さんまで困った事になっちゃいそう……。 よ~し、僕も少しは頑張らなきゃね)


 そうと決まれば行動あるのみです!


「入れ墨さん入れ墨さん、最初に謝っておきます。 ごめんなさい、すぐに治しますから一瞬だけ我慢して下さいね~」


 サハラさんは入れ墨さんに急いでそれだけ伝えて、その言葉にチンピラが反応するより早く魔法を使います。


「【閃光】です!」


 魔法を発動させた瞬間、辺り一面が真っ白になる程の光に包まれて、それも一瞬で元に戻ります。

 サハラさんだけはあらかじめ目を瞑っていたのですが、それでも瞼だけでは防ぎきれない程の光に目が眩みました。


「【回復Ⅰ】」


 すかさず回復魔法を自分に掛けます。

 すぐに効果が現れてサハラさんは目が見える様になりました。



 しかし直接光を見てしまったチンピラと入れ墨さんは網膜を火傷したのでしょう、このままならたぶん数十秒~数分間はまともに前が見えないと思います。

 二人とも手で目を押さえてうめき声を上げています。


 チンピラは突然の出来事で腕を少し緩ませてしまったのでサハラさんは抜け出して入れ墨さんの元に走りました。


「【回復Ⅰ】」


 今度は入れ墨さんの目に手を添えてから魔法を発動します。

 目の周りにふわふわと光の雪が舞ったかと思うとすぐに消えました。 きっと正常に治せたと思います。


「お待たせしました、これで治ったはずです」


 サハラさんが伝えるが早いか、入れ墨さんは走り出してうめいているチンピラリーダーに思いっきりボディブローを叩き込んで倒してしまいました。



 それからチンピラ三人組をロープで縛り一息ついた頃にはもう日も暮れて暗くなってきていました。



(ふ~、なんとか人攫いの危機が去って落ち着いてきました)


 は~、やれやれとサハラさんが胸をなで下ろしていると――


「娘、良くやった。 怪我は無いか?」


 そう入れ墨さんがぶっきらぼうな感じで聞いてきました。


「はい、おかげさまで無事にすみました」


 笑顔で深々とお辞儀してお礼します。

(ほんと入れ墨さんが来なかったらどうなってた事なのやら。 これからは気をつけないとね)



「そうか、ならば良い。 家は近いのか?」


 ギルドのアドニスさんに負けない位の怖面だから良く分らないのですけど、少しほっとした様な顔をした気がします。

(やっぱり良い人みたいです。 人は見かけで判断しちゃダメですね)


「え~と、その。 恥ずかしながら……実は僕は道に迷ってて今どこに居るのかサッパリなのです」


 えへへ~と照れ笑いで誤魔化しながらサハラさんはカミングアウトしました。


「なんだと? しかし俺はこれからこいつらをギルドへ引き渡しに行かねばならん」


 こんな所に子供を一人で置いてく訳にも行かんなと入れ墨さんが悩み始めてしまいました。


「あ、それなら良ければギルドまで一緒に行っても良いでしょうか? 僕の泊まってる所がギルドの近くなんですよ~」

(ギルドに行くなら丁度良いですね!)


 まさに渡りに船、世の中何とかなるものです。


「うむ、それならばついてこい」


「何から何までありがとう御座います。 あ、僕はサハラって言います。 良かったら入れ墨さんの名前も教えて貰っても良いでしょうか~?」


 いつまでも入れ墨さんと呼ぶのも失礼ですし、サハラさんは名前を聞く事にしました。


「俺はイゴル、グスタフの息子イゴルだ」


 名乗りながらチンピラ達を殴り起そうとしはじめました。 でもなかなか起きないです……むしろ二度と起きなくなりそうですね……。





 いくら殴っても起きないのでイゴルさんは近くの水たまりにチンピラを引きずって行って放り込でしまいました。

 それでようやく三人とも目を覚ましましたけど……ちょっと可哀相です。




 ちなみにチンピラ三人組は数珠繋ぎに手を繋いで縛ってあります。

 口にも猿ぐつわを付けて目隠しまでしてあるのでまず逃げる事は出来ないと思います。







 そんな訳でイゴルさんに付いてギルドへ行ける事になりました。

 だけどずいぶんと遅くなっちゃったから先に帰ってるはずのララが心配してたらどうしよう、と思うサハラさんなのでした。



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