突然
「お兄様今度紹介したい方がいるのですが。ご都合どうですか?」
「ん?リアムにはもう会ったよ?」
「違いますよ。私じゃなくお兄様のお相手にですよ。」
「俺?誰か良い人いたの?マリの紹介なら楽しみだな。次の休みなら大丈夫だよ。」
連れてきますねと妹が去っていく。珍しいな。立ちふさがってくれるとは言っていたが、本当だったなんて。まぁ妹なら変な令嬢連れてこないだろう。
「副団長!今日もお願いします!」
「副団長!」
騎士団の副団長をしてるのもあって寄ってくるのはムサイ男ばっかりだ。令嬢から声もかかるが本気になれた子はいない。出会いたいな。マリはリアムに出会って恐ろしいくらいに執着している。リアムはそんな風に思っていないらしく、むしろ執着しているのは自分だと思っている…お似合いな2人だ。実際見ていると羨ましい。
我が家は代々愛が重い。父も母を捕まえた後領地に押し込み必要以上の社交などはさせていない。誰にも見せたくないらしい。聞いても羨ましいと感じる俺は同じ血を引いてるんだなと心底思ってしまう。
「副団長今日飲みに行きますか?明日休みですよね。」
「いや、今日は辞めておくよ。明日来客予定があるんだ。」
「そんなー。残念です。」
「義兄上!帰りですか?一緒に帰りましょう!」
リアムは卒業後騎士団に入団し、マリに会いに来る日はこうやって誘いに来る。懐いてくれる義弟は可愛い。マリのためにも格好良い副団長でいないとダメだから大変だ。
「明日誰を連れてくるか知ってるか?」
「いえ、知らないです。職場で出会ったそうですよ。」
「そうか。どんな子かな?マリが連れてくるくらいだし未知数過ぎる。」
「いつも兄妹仲良くて羨ましいです。昔からですか?」
「いやマリは昔からしつこい俺を嫌がっていたから…こんなに喋る様になったの、リアムと出会ったくらいからじゃないかな?ありがとうな。」
いえいえと笑うリアムが可愛く見える。騎士なのに華奢だし整った顔をしている。妹と取り合うとかごめんだが…好みが似てるのだろうか。そうなると期待できそうだな。
「お兄様こちらミリア·キャボット様です。同じ職場で知り合って、ずっとお兄様の事を見ていたそうです。ストーカーですね。」
「ちょっと!!!マリエ様なんてことを!!違います!」
「見てくれてたってのも違うの?」
「…見てました。ずっと好きです。初対面で恥ずかしい!もうヤダー。」
え?可愛いんだが。赤くなり小動物のように震える姿はたまらない。さすが我が妹。良い子を連れてきてくれたようだ。
「ミリア様は私の事もご存じで、出会ってすぐお声掛け頂きました。今まで立ち塞がりましたが、この度めでたくご紹介できる所まで来ましたわ。」
「本当やめて…」
顔を塞ぎ俯くミリア嬢を可愛く思ってしまう。ありだな。
「マリありがとう。ミリア嬢2人でお茶しようか。行こう。失礼する。」
兄妹通じるものがあるらしく、マリはニヤリと笑い見送ってくれる。
「ミリア嬢はマリと同い年?いつから見てくれてたの?騎士団の練習は見に来てる?」
「あ、はい。同い年でアルベルト様が入団前に騎士団に通い出された時から見てました。私は父が騎士団に居まして、よくついて行ってましたので。」
「キャボットって名乗った?キャボット卿の娘さん?あの人隠してたな。もっと早く出してくれてたら良かったのに。今度騎士団来たら会いに来てよ。」
「いいのですか?!嬉しいです!」
「婚約する?」
「え?」
「ミリア嬢なら結婚したいな。妹に挑んでくれるなら本気なんだよね?好き?」
「本気で好きです!…婚約します!よろしくお願いします!!」
おいでって手を広げそっと近寄るミリア嬢を抱きしめる。捕まえた。
「大事にするからね。キャボット卿は今日家にいる?」
「仕事ですが…」
「よし!行こう。」
マリに婚約してくるねと伝え家を出る。騎士団に行ったら居るだろうから、すぐ捕まえられるだろう。キャボット卿は昔から面倒を見てくれてたし、反対はされないかな。いや、娘を隠してたくらいだしなー。
「あ、キャボット卿!」
手を繋ぎミリア嬢を連れて行ったらちょうど廊下で出会った。
「やらんからな!」
「なんで?!ミリア嬢はオッケーしてくれたよ?」
「お前の家が皆重いのを知っているからだ!だから隠してたのに…どこで見つかった…。」
「知ってたの?俺凄く一途だよ?」
「閉じ込めないか?私はミリアに会いたいし孫の面倒も見たい!」
「約束する!だから許せ!」
「お前は昔から変わらんな。見つかったなら仕方無い。ミリア嫌な事は嫌と言うんだぞ。こやつと戦ってでも助けてやるからな。」
「えーっとアルベルト様は優しいから大丈夫ですよ。」
わかってないってキャボット卿は頭を抱えている。そんな我が家の事って有名なんだな。まぁ父が出さないのは有名だし、そんなもんかな?
「ミリア幸せにするからね。一生隣にいてね?余所見したらどうなるかわからない、俺だけを見ててね?」
「ずっとアルベルト様だけです。」
ほらみろ!ってキャボット卿が泣いている。失礼な。閉じ込めたりはしないよ。ミリアが他所を見ない様に格好良い俺でいよう。
「ミリア様を見た時この方だ!って。そうしたら挑んでくれるし最高でした。リリによく似ていて可愛らしいと思ったんです。」
「似ている。わかる。幸せにすれば何も問題は無いからな。マリ本当にありがとう。」
「素晴らしさを味わって欲しかっただけです。それにリリを狙ってるフシがあったので。彼は私のです。」
バレてたか。いくらなんでも妹のは取らないさ。ちょっと分けてくれないかな?て思っただけなのに…でもミリアと出会った今わかる。分けるなんて出来るわけない。髪の一本すらあげたくない。今度マリの好きなものをお詫びにプレゼントしよう。
「お互い行き過ぎたら諌めような。」
「はい。私達は共犯ですからね。気をつけましょう。お兄様が居てくれて良かったです。」
「俺もマリがいてくれて良かったよ。」
お互い固く握手をし誓い合う。今度ミリアをどこに連れて行こうかなと悩みながら部屋に戻る。ミリアにもっともっと愛される様に努力をしようと心に決めた。




