第四十一話
「へー、暦月ちゃんかぁ。いい名前だねー」
「紅くんに彼女が出来るとは………しかも2ヶ月!」
「ほんとに可愛いわ」
「あ、ありがとうございます!」
はい、終わったー
父さんに聞かれる。捕まる。とりあえず詳しい話はうちで。連れて帰る。せっかくだし、晩ご飯食べて行く?せっかくだし、泊まったら?←今ここ
いやいやいや、晩ご飯までならまだわかる。
なんで泊まることになってんだよ。
暦月も乗り気で、許可とって荷物持ってきちゃったし。
「いやーしかし、まさか彼女の方がプロポーズするとはねー」
「ほんとねー」
「い、いやぁ………つい…………えへへ」
「暦月、今照れるとこじゃないよ」
「え?そうなの?」
「そんなことないよ、こら!紅葉、嘘をつくな!」
「ほらねぇ…………えへへ」
「いやー、しかし今さら娘ができるとは」
「私もまさか姉ができるとは………」
「えへへ…………」
暦月は散々煽てられたせいで、すでにぶっ壊れてしまっている。
ちなみに、これまでの暦月との経緯は洗いざらい話たが、父さんも楓も特に気にしてなかった。
「じゃあこれからは、彼女じゃなくて許嫁ってことになるわね!」
「い、許嫁…………」 ポッ
「「可愛いー!」」
「えへへへ…………」
「紅葉ー!幸せにするだぞー!」
「…………………はぁ…………へいへい」
「おー!よかったな暦月ちゃん!」
「は、はいぃ」
「いやー!しかし、母さんとの若い頃を思い出すなぁ」
「そうねぇ……」
2人はすでに酒が入っており、顔は赤い。
「ねーねー、紅くん」
「ん?」
「今日2人とも仲良くない?」
「たしかに…………暦月がいるから?」
「うっわぁ!マジで!?このまま同棲とかありえるかな?」
「まぁ、なくはないかもね」
「やったね!」
「長続きしないと思うけど………」
「馬鹿だなー、2人は実は仲良いの知ってるでしょ?」
「まぁ………」
「一度同棲すれば、離れたくなくなるよ!」
「だといいんだけどね」
「ふあぁぁぁ………」
「ん?暦月眠い?」
「う、うん………ちょっとだけ………」
時計を見ると11時だった。
まぁ、忙しかったし無理ないだろう。
「父さん、母さん、俺たち先寝るから」
「あ、そう」
「おー!喜べ紅葉!」
「?」
「お前ら2人は同じ部屋で2人っきりだ!」
「はぁ!?」
「というか、俺たちの布団分がそもそもない。この家にはお客様用が2枚しかなかったからな!俺たち3人はホテルを予約してるから!2人は仲良く寝てくれ!」
「いや、それはさすがに…」
「ありがとうございます!」
「暦月!?」
「ふふふ、そんじゃあ俺たちも行くわー」
「そうね、2人が寝るなら出ていかないと」
「紅くん、暦月ちゃん、じゃあね!」
「いや、おい!ちょっとまっ」
「また明日です!おやすみなさい!」
「暦月ぃぃ!?」
そうして、俺たちを残して3人は去っていった。
ははは、絶対ゆるさねぇ………
とはいえ、今更やっぱ泊まるなとか言えるわけないしな…………
「暦月は寝室使っていいよ。俺のベッドだけど。俺はこのリビングで布団敷いて寝るよ」
そういうって布団を取りに行こうとすると
暦月が俺の袖を掴み、引っ張る。
「だ、だめ…………」
「なにが?」
「一緒の部屋って言われた………」
「いや、あれは冗談」
「いいじゃん!…………だめ?」
「だめ。普通にだめ」
「あー!理性を抑える自信がないんだ!」
「いやあるけど」
「じゃあなんで?」
「倫理的に」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………ダメ?」
「ダメ」
「……………」
「……………」
「いーやーだー!一緒に寝るー!」
「だからダメだって」
「いーやーだー!認めてくれるまでごねる!」
「いや、あのね」
「あー!あー!聞こえませーん!」
「……………」
「ねーる!ねーる!」
「……………はぁ………もういいよ。めんどくさいし、眠いし、早く寝たいし……」
「やった!同じベッドね!」
「えー、でもあれ2人だとせまi」
「いーやーだー!」
「はいはい、わかったよ」
「ぃやったー!」
「暦月、もしかしてお酒飲んだ?」
「んー?なんのことー?お義母さんには勧められて変な苦いの飲ませられたけど………」
「あ、それお酒だね」
「まあまあ、早く寝よ!今日は寝かせないから!」
「すごいね、一瞬で矛盾したよ」
「ふふふふふ…………えへへへ」
ということで、俺と暦月は同じ部屋で同じベッドになることとなった。
基本的に1人用だが、もう1人くらいなら難なく入る。
のだが、暦月が必要以上に近い。
どのくらい近いかと言うと、横を向いた暦月の唇が俺の頬につきそうなくらい近い。
「暦月、狭い。まあ少しそっちに」
「これ以上行くと、落ちちゃうから無理ー」
うわぁだめだ。ぜんっぜんどいてくれない。
こんな密着されたら、当然胸は必要以上に当たるし、風呂上がりなのでブラはつけてないらしい。
俺も男。さすがに意識してしまう。
こ、このままだと……………!
なーんて、
襲うことはおろか、センサーが反応したりすることもないんですけどね。
ED?
違いますー。理性が強いだけですー!
「ねーねー、平気?」
「うん」
「……………ED?」
「次言ったら別れるから」
「ごめんごめんごめん………」
「大体、反応してたらどうすんの?いいの?レイプされそうになったのに……」
「いや…………正直まだ怖いかな……」
「じゃあなんで………」
「信頼してるし…………紅葉なら怖いだけで、嫌なわけじゃない………」
「そりゃありがと…………大丈夫。その信頼を裏切るつもりはない。俺はあいつとは違うからね」
「……………うん!……ありがと!」
その後はなんとなく、暦月は今の状態が落ち着くのか、無理に話そうとはしなかった。
疲れてるだろうしな………
抱きついて、リラックスしていたいときなのだろう。
「……………」
「……………」
「……………なぁ暦月?起きてる?」
「んー?」
「前に言ってた、キスのやつ。優勝できたら旅行先でって………」
「うん…………」
「俺まだ、暦月のこと好きじゃないよ?」
「うん…………」
「文化祭終わってからも、旅行に行っても好きにはなってないかもしれないよ?」
「うん…………」
「そんなのやっぱり間違ってるって俺は思う……」
「うん…………」
「暦月がいいなら………いいよ。べつに………」
「うん……………えっ!?」
暦月が布団から勢いよく、起きる。
「ふふっ、なに驚いてんの?自分で言ったんじゃん」
「だって、完全に断られるかと………」
「俺さー、3ヶ月以内に俺を好きにさせて、落としてって言ったけどさー、わかってるんだ…………どれだけ仲良くしてても、周りから結婚勧められても………あくまでも仮……暦月には………やっぱつらいよね」
「そ、そんなこと…………」
「あるでしょ?」
「う、うん…………ごめんなさい……」
「謝るのは俺の方だよ。ずっと我慢させてる、ずっとつらい思いさせてる。こんなにも俺に尽くしてくれるのに…………ごめんね?」
「うぅ………うぅ…………そんなこと………」
見ると、暦月は僅かに涙を流し、泣いていた。
俺はそっと頭に手を置き、撫でる。
「暦月が、いいなら…………キスの一回ぐらい……好きにしてよ。本当にそれでいいなら………」
「も、もちろん!」
「いいの?つらくない?」
「そのかわり、さ……………私はやっぱり、私を好きになってくれた紅葉としたいってのもあるんだ……」
「そっか………」
「だ、だから………わがままだけど、いいかな?」
「ん、なに?」
「好きになった紅葉には、ご褒美として、お礼として、私からしたい。だから…………そ、その日は紅葉からしてくれないかな?」
「俺から……………無茶ぶりだなぁ」
「だ、ダメ………?」
「ふふっ………いいや。俺からね、わかったよ」
「ほ、ホント!?ありがと!大好き!」
そうして、またもベッドに横になると、さらに近づき、俺に抱きついてくる。
俺は頭を撫でながら、暦月の目を見て、微笑む。
「文化祭、優勝できるといいね………」
「うん!私頑張る!絶対!」
「うん………俺も………」
こうして、俺たちは1つのベッドの上で、共に夜を明かした。
う、うぅ…………
デレデレしやがって!!ゆ゛る゛さ゛ん゛!!
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