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傑物の一族の傑物ですが、なにか?  作者: 猫側縁
第3章 学生 シエル
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第27式

半頃と言いましたが、予約投稿ってよくよく考えたら1時間刻みだったので投稿しちゃいます。

本日3回目の投稿です。お気をつけて。



まあなんだかんだ、あの後他の専門科の准教授達が各科に届けられた申込書を持ってディリヒさんの部屋に来てくれた。……もちろん召喚術に関してはゼロ。教授の所にも来てないから間違いない。


「魔術クラス、騎士・剣士クラス、錬金術クラス、薬師クラス、召喚術クラス。その中で参加希望者が1人もいないのが召喚術クラスです。

薬師クラスも2人程ですね」


メリーさんとバイスさんはそれぞれ薬師と錬金術のクラスの准教授。そして今、話している眼鏡の似合う知的なインテリ美人が魔術クラスの准教授らしい。クロイツさんの部下かー。是非ともお姉様と呼びたい。鞭を持っていただけるとなお嬉しいけど、言葉に出すと引かれそうだからやめとこう。


「各学科5名以上選出してほしいとのご要望でしたが、学科によって偏りは出ますね。それはしかたが無いとしても、……召喚術クラスの出場希望者はゼロ、ですか」

「純粋に魔法力だけで戦うなら出たい人は居たかもしれないが、外の武術大会同様、剣技や飛び道具も有りとなれば、余程自信がなければ出ないだろう」

「専門科が戦闘特化のクラスの生徒と戦うのは、非戦闘特化のクラスの生徒の殆どは、嫌でしょうね」


まあ、普通に考えて戦う手段が1つ多いって事になるもんねー。貴族の坊ちゃんって、基本的魔法以外に剣を習うのが一般的で、魔法の才能が無いと余計に剣に傾倒する人が多いから、そういう人が騎士・剣士クラスには多いよねー。クラウスとかは典型的。……で、嫌いなものほど良くみて対策をとるから、魔法だけでそういう人たちに勝つって結構大変なの。……私がクラウスにものすごい余裕で勝ったなんて思うなよ?私はあの時召喚術と剣術だけじゃ勝てないと判断したから、それプラスアルファとして、魔法を使えるように手を打ったんだから。


「薬学クラスから出場希望者が出たのは意外……。メリーさんはなんて言って希望者募集したの?」

「え!?えっと、……それは、……その」


何故か焦り出すメリーさん。目が泳いでる。

ロスティーヌさん(魔術クラス准教授)が用意してくれた出場希望者リストのクラスと学年順位をよく見る。薬学クラスで、両方3年生。名字が一緒だから双子?で、基礎科目の魔法の順位は5段階中、上二位。薬学クラスだけで見れば全体のトップツー。かなりの好成績。


この学校、家の格と成績でクラス分けされるけど、成績を見るときはちゃんと学年全体で順位を出すんだよ。で、上一位、上二位、中位、下二位、下一位の五段階で評価されるの。上二位って言うのは、一学年に100人いるとして、上から40位以内の成績ってこと。


ただ、薬学クラスのトップツーってところが気になる。だって薬学クラスって、非戦闘クラスなんだよ?そこの上位って事は、一概に言えるわけではないけど、戦闘能力が高いとは思えない。しかも貴族令嬢じゃ剣技を教わっている可能性は低めだし……。


「……何かの魔法に余程自信と実力があるのか、実は剣術とかの物理攻撃が得意とか?」

「まぁ、……物理と言えば、物理……ね」

「アンシェリー。何故言い澱むのです。これは出場者決定会議ですよ。成功させるのはもちろんのこと、生徒達の安全も考えなくてはなりません。寧ろ無理矢理出てその生徒が怪我をする方が困ります。

隠し事や心配事は全て無しで話をするようにと教授方も言っていたでしょう」


はっきりきっぱりとロスティーヌさんがメリーさんに言った。うん、全くその通りだよね。隠し事があって後でそれが全体の不利益になるような事は遠慮したい。


「……実は、その2人爆弾魔なんです」


んんん。……え?なんて言った?私の耳がケットシーのイタズラで塞がれていないなら、今メリーさんは爆弾魔って言ったよ?

爆弾魔(ば く だ ん ま)

爆弾を複数回、様々な理由(ない時もある)で炸裂させ、器物損壊や殺傷などの被害をもたらす犯罪者。


……えええ?それはあかんでしょうよ。何で普通に学校いるの?被害者が出ないからばれなかったの?というか、実はとか言って隠してたみたいだけど、ロスティーヌさんとかバイスさんは納得したご様子。何で……?


「数日に一度は必ず爆裂音が聞こえるので、気になってすぐに探しに行っていたんですが、その現場を見つける事は出来ていなかったんです。あなたのところの生徒でしたか。アンシェリー」

「荒らした場所を錬金術で一瞬にして戻す方法を教えろと散々せがまれて教えさせられたのはそのせいだったか」


思ったより、被害者はいた模様。まあ先程私が説明した爆弾魔と言うよりは、爆弾を作るのが楽しく、その威力を確認するために、誰にも見つからずに爆破しまくって、綺麗に証拠隠滅するような、マイルドな爆弾魔らしい。……うん。無害といえば、無害?かも知れないけど。


「多分、当日は一押しの爆弾をみんなの前で使えると考えての出場希望、だと思います」


とうとう発表したい願望が出てきたのか……。危ない爆弾魔になる一歩前みたいな状態じゃないか。超危険予備軍じゃないか。


「却下したい所だが、本人達は大会で使えないとなれば、いつかとんでもない事をする可能性があるな……」

「何で薬師クラスにいて爆弾に魅せられちゃったのか物凄く気になるんだけど……。その2人は、どんな爆弾使うの?質重視?威力重視?範囲重視?」

「……私が度々聞く爆発音は、回数毎に大きくなっていますよ」

「となると、威力と範囲のどちらか又は両方か。出場しなくてもいいならしないでもらいたいね。爆弾ともなれば対戦相手だけじゃなく、観客も危険だから。

その2人の出場希望棄却を伝えに行くの、私でもいい?戦う事以外の爆弾の使い方を教えてくるから」


爆弾……というか、爆薬にはもっといい使い方があるんだよって教えてくるよ。


「何をする気だ?」

「……爆薬使った楽しい作品作り?あと、それを使ってちょっと楽しい事。その子達の爆弾をみんなの前で使いたい(本当にそうなのかはわからないが)欲求を、みんなの前で使っても問題ない爆薬をふんだんに使った芸術作品に変えてくるだけ」

「……よくわからないが、危険な事はするなよ?」


いつも通りのことを言われつつ、話を戻してもらう。ロスティーヌさんが出場希望者リストの2つを線を引いて消す。


「……これで出場希望者のいないクラスが増えてしまった訳ですが、全体としては溢れているので、線引きをします。

先ず、基礎の魔術の成績が上二位までの生徒が約20名。中以下の中で、各専門科の成績が上一位の生徒が4名程います」


難しいなあ。基礎魔法だけで見れば多分ほぼ魔術クラスの生徒たちだけになるだろうし、かといって各専門科の上位だけにすればこの魔法学校の武術大会なのに魔法殆ど見られないなんていう戦いになるかもしれない。

クラウスみたいに剣の腕前よし、魔法対策よし、ただし自分は魔法を使わないスタンスの人がいるだろうし。

ここで最終決定するのはクラウスだ。さっきまで予選だとか出場ほぼ確定の生徒の話とかをしてはいたけど、どうするのかと言う意味を込めて見ていると、少しリストを見てから口を開いた。


「各専門科毎、基礎魔法の成績と専門科の成績のどちらかが上一位の者のみ出場にする。

魔術クラスは3名、騎士・剣士クラスは4名、錬金術クラスは2名。召喚術クラスからシエル。これで10名は出場確定。その他に予選を行い、5名選出する。異論は」

「あるよ!何で私だけ確定で名指しなの!」

「シエル、煩い。異論はないようだな。では次は予選の方だが、こちらはこの出場希望者達で争う。全員に同じ紐を一本ずつ持たせる。奪われたらその時点で失格。10人分集めた奴が本戦出場とする」

「3人分の紐持ってる相手を倒したら、倒した相手が持っていた紐と倒した相手、合わせて4本が自分のものって事でいいんですか?」

「ああ」

「人数によっては5人以下になりませんか?」

「10人分集めたら勝ち抜けだが、たとえば残り1枠で1人だけ残っていて、そいつの手元に紐が10人分無かったとしても、そいつが出場だ。残り5枠で会場に5人残っていて、そいつらの持ってる紐が全員10人分に満たなくても残っている5人が本戦出場だ。

紐は目安に使うだけで、重要なのは本戦出場できる5人が残る事だからな」


みんな、私が本戦出場決定するのを黙認するの?そうなの?私は嫌だって言ってるよね?だって予選の方が楽しそうだし。そもそも私、出場希望出してないんだけど!


「王子、シエルさんの出場ですが」


ナイス!ロスティーヌさん!そうだよ!おかしいよね!私が出るのはやめといた方がいいよ!


「計15名でトーナメント制にするとなると、シエルさんはシードで2回戦目からの参戦で良いですよね?」

「ああ、そうだな。1回戦から出してはまだまだ実力差があり過ぎるだろう」

「待って待って待って。過大評価やめて。メリーさんとかも頷かないで。否定して。そもそも私が出る事自体おかしいって意見が出ないのはおかしいでしょ」


……何故さも不思議そうな顔をする?


「……シエルの戯言はさて置き、制限をかけなければこいつは難なく優勝するだろう。実力差を埋めるためにシエルだけ魔法無し、では公平さという観点からあまり良い印象はない」

「いっそ出場しないってのはどう?」

「お前に勝つ為に出場を希望した生徒達を前に同じセリフが言えるか?」

「すみませんしたー」


……あれ。私は悪くないのに。謝る必要なかったよね?武闘会で私と戦えるよ!なんていう触れ込みした人が悪いよね?おかしいよね?あ、諦めろと。はぁ。そうね、こういう自分の力ではどうにもならない事を理不尽と言うんですよ。ケッ……!


「……では使用回数に制限を設けるというのはいかがでしよう。大会の戦闘において、どんな魔法であるかは問いませんが、魔法の使用は3度まで。それ以上使った場合問答無用で失格という扱いであれば決勝まで含めて3戦、各1回ずつ魔法が使用できます」


それにしようというクラウスの同意で着々と私の出場について決まっていく。出さないって決めればそれはそれで平和だと思うんだけど。


「では各専門科毎、出場決定者に通達を。騎士・剣士クラスは俺とシエルが行く。薬師クラスの2人へも用事ができたので、アンシェリー先生も同行してくれ。

ディリヒ殿は、掲示板に、出場希望者宛てで予選の告知を頼む」


話し合いは終わり。漸く出場者の所に!……昨日は会ってから決めればいいって言ったのにさぁ。もうあの時には私が出る事決定だったんじゃん。……まあ、出ると決まれば仕方ない。やるだけやるよ。出場者にあってモチベーションでもあげさせてもらおう。上がるか分からないけどね。


本日3回目の投稿終了です。

待っていてくれた方々に感謝しております。本当にありがとうございます。

これからも気長に待っててくれたら嬉しすぎてそのうち、この間投稿しようと思ってぶっ倒れて結局できなかった、『シエルちゃんの悪戯(ハロウィンのお菓子の逆襲)』をお届けするかもしれません。

よろしくお願いします。

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