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傑物の一族の傑物ですが、なにか?  作者: 猫側縁
第3章 学生 シエル
72/96

第19式

短めなので夜にまた更新します



「……シエルちゃん。どうして私、グラーティアス様のお屋敷に泊まることになったのかな?」

「私がお姉さんとお風呂入りたーいっておじいちゃんに言ったら、ならついでに泊まって、いっそのこと寮に入れるまで屋敷で暮らせばいいよって返してきたからだね。

その方が効率いいでしょ?おじいちゃんの家の方が、お姉さんの住んでる屋敷より近いし」

「えっと……え……」

「もしかして嫌だったー?でもお姉さん抵抗しなかったし、普通に夕飯食べて今私と一緒にお風呂はいってるし、そこまで来といて嫌とか言う?」


言わないよねー。はい引き続き私の髪洗ってー。お姉さん、なかなかどうして髪を洗うのが上手い。気持ちいい。

素直に伝えると、ありがとうと言ってしっかり洗ってくれた。


「……孤児院にいた時は、歳下の子たちの髪をよく洗っていたの」

「懐かしい?戻って恩返しとかしたい?」

「……そうね、懐かしいとは思うけど、戻ろうと思って戻れるような場所ではないから」

「じゃあ、貴族の、それも次期准教授に確定しているからこそできる事をすればいいよ。

お姉さんの頑張り次第で、社会的に弱者と呼ばれる人達の生活水準の向上に繋がる事だってあるんだから」


研究者は、全ての人間に遍く恩恵を齎す研究をする人間であってほしいな、と言えば、頑張ると答えたので、もう大丈夫だろう。このお姉さんリヒトと同じような境遇に居たみたいだし(リヒトの方は貴族を憎むレベルまでになってるから、あまり一括りにはできないけど)、私も私で、ここから出たくなった時に丸投げできる相手を確保しておきたかった。いい話だろう。


「シエルちゃん」

「なーにー?」

「ありがとう」


どーいたしましてー。


「ところで……シエルちゃんは入浴中も仮面を外さないの?」

「んーん。外してるよ?幻覚魔法かけて私の顔には変わらず仮面が付いてるように見えてるだけで」

「何で幻覚なんて……そこまでして隠したいの?」


ええ。それはもう。だって何処からどうやって情報回るかわからないし。クラウス達にも見せてないよーと言えば、すみませんでしたと謝られた。曰く、彼らが知らないような事を自分が質問していい筈がない!……らしい。まあ、質問されたところで教える気はないけどね。


「世の中隠しておいた方がいい事がたーくさんあるんだよー?そのうちの1つをお姉さんはもう知ってるけどね」

「……シエルちゃんの秘密って、アレに並ぶの……?とんだ国家機密じゃない……」


陣の研究の話よりは重くないやい。


「そんな事より、お姉さん。

お姉さんは魔法の扱いを勉強をするの?それとも建前だったりする?」

「ほ、本当に普通に、貴族の子達が習うような魔法の基礎を学びたいの。……ただ、普通に紛れるには、私は歳をとってるし……。それなら、普段からシエルちゃんの近くで学んでるって事なら、少しは目立たないかなって……思って……」

「……私、一応最高学年なんだけど」

「えっ⁈」

「……一応、学力テスト、する?」

「…………する」


そうと決まれば早く風呂から上がろう。いや、風呂の中で私が1年生レベルの問題から数題出して行って、レベルを見ればいいだけなんだけどのぼせそうだし。温かいのは歓迎だけど、暑いのやだもん。


「お姉さん、頑張って」

「シエルちゃん……お手柔らかに……」


1問目魔力魔法は何に依存するか?

2問目魔法の5性質を答えよ。

などなど、超基礎問題を含む50問。あとはアンケート方式で、使える魔法使えない魔法を教えてもらった。

お姉さんは物凄く悩みながら埋めていく。……悩むような、問題なのか。まあ、そうか。お姉さんまさかの十数年間魔力無しだと思って生きてたわけだし。自我を持ってから魔法をひたすら使って学んできた私と違うか。私は魔力にも環境にも恵まれた人間だもの。アリガタヤー。……いや、だってよく考えたら、私がこんなに必死に生きようとしてるのは、このシェリティア・ステラリュートとして生まれたからだし。命の危険があるからだし。

まあそれはさて置き


「お姉さん大丈夫〜?」

「な、んとか」


おお、本当になんとかって感じたわ。

この感じだと、知識面では3学年にいても問題無さそう。実技の方は……、うん、専門科の時間に頑張ればなんとかなるか。幸いお姉さんは召喚術はできるから、陣つながりの魔方陣を使っての魔法からやっていけばすぐに式での基礎魔法程度は使えるようになる。……私が教えてなんとかなるといいけど。だって私の魔法は陣も式も必要ないんだよねー。

式の方を教えるとなると、……クロイツさんとか、おじいちゃんとか?……クロイツさんは兎も角、おじいちゃんは却下。多分教えてくれない。

メリーさんとかに頼むのは、……アリかな。時間が合えばだけど。他に時間を選ばずに比較的短時間でなんとかなりそうなところ……?………………。


「……お姉さん、魔法、早く使えるようになりたい、よね……」


ああ、違うの。テストの結果がアレだった訳じゃないよー?大丈夫だよー?……その方法を考えるとちょっと不安があるだけの話で。


「じゃ、明日からがんばろーか。週末はちょっと出かけるかもしれない。お姉さん予定はある?」

「え?ううん……。特には、何も」

「知り合っておいて損のない人物だと思うから、諦めて一緒に行こうね……」


後で手紙送っておこう。どうせアポなし訪問しても本人はあんまり気にし無いだろうけど、一部難を示しそうな奴がいるし。

はあ……。頑張れ私。スピカお姉さんのためだと思って頑張れ。

どこに行くのかって?決まってるでしょ。

元気かなー。ミラお姉さん。

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