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傑物の一族の傑物ですが、なにか?  作者: 猫側縁
第2章 旅人 シエル
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第2陣



ある日、森の中、ボロクズに出会った♪


「ご主人、ボロクズは可哀想にゃ」

「…一緒に歌ってたくせに……行き倒れ?」

「ごしゅじぃーん。森の奥の方に逃げてく足音するにゃ」


ポーションの素材集めのために動き回って早数日。今日も森の中を歩いていると……全身傷だらけで気を失っている男性を発見。怪我の具合からつい先程襲われたんだろうな。と思っていたら、ケットシーの耳がこの道の獣道に消えていこうとしている、襲撃犯の音を捉えた。


「…この人からなんの匂いする?」

「血とか血とか血ですにゃ」

「うん、怪我してるからね。それ以外で嗅ぎつけてくれる?」

「にゃー…ミーは男の匂い嗅ぐにゃんて…」

「じゃあいいや。私がや「やるにゃーーー!(そんな事ご主人にさせたらリヒトに殺される!毛皮にされる‼)」」


うー。と嫌がりながらも男性の近くをくるくると歩いて、ボロボロになってしまってるローブなども念入りに香りが残っていないか見てくれている。


「にゃー…鉄臭えにゃん…。

鉄、…鉄、ミスリル…銅……薬草と…果物ですかにゃ?」

「よくやった。ありがとう」


ケットシーを回収、抱えて撫でて全力でいたわる。片手間に左手で簡易の召喚術式を書き終えて、追跡に特化した私の使い魔を喚び出す。

ケットシーを呼び出したのとは比較にならない程の複雑な術式はそのまま召喚の難易度と呼び出される物質の格に繋がる。私が描いた陣は1つ。なので普通は一陣一体の法則で、召喚される物体は1つなのだが…。


「おいで、ヴァウンティーズ」


淡く光り出した円陣のその中心に、円陣を作っていた光りが集まっていき、形を成す。物質が具現化すると同時に円陣は跡形もなく消える。

現れたのは、5頭の狼。一番小さな個体の全長が180センチ。長たる一頭の個体は3メートルある。

そしてもちろんその長が私と話す。他の子達は念話を使わないと話ができないから。


「ヨオ、主人。久しぶりじゃネーノ。

相変わらずそんなネコ助可愛がってんのかよ」

「失敬にゃ!ミーはこれでも猫階級2等の」

「はいはい。どっちも落ち着いて」

「にゃふぅ……」

「なでんなよぉ……」


何故かこの2匹、馬が合わないというか、狼の方が突っかかっていくんだよね。2匹をそれぞれの手で撫でていくとどちらも気持ちよさそうにくてっとするから、落ち着かせるにはこれが一番。

そしてひと段落。


「さて、ヴァウンティーズ。

目の前の森の奥に、どうやら怪しい人間と美味しい食べ物があるらしい。

多分武器と食料、ポーションなんかも積んだ商会の馬車的なものが、盗賊崩れか何かに引かれているから、盗賊共はなるべく生け捕りにして、馬車を連れて戻っておいで」


勿論、腕の1、2本は欠けてても仕方ないと私は思ってる。と付け足せば、大喜びで子分狼たちがかけて行った。え?だって自業自得でしょ?


「……長、あの子達あんなに好戦的…というか、血肉好きだっけ?」

「いやぁ?お前に喜んでもらいたいんじゃねえの?

腕の一本落としても仕方ない事をご主人にした不届きな野郎どもだと思ったんだろ」

「いや、別に私に実害は無いんだけど。大丈夫それ?腕の1、2本どころか人の1人や2人サクッとやられない?」


じゃ、俺もいくかぁ。ご主人は猫でも撫でて待ってろよ。と、長も駆けて行った。いつもよりも足が早いのは恐らく、おおかみ達がやり過ぎる前に止められるようにだろう。


「けっ!あの犬ッコロ‼ミーの事バカにしやがって!」


自棄酒ですニャー!とまたどこから取り出したのか、瓶の中身を飲んでいるが、それは酒ではない。サイダーだ。


あとね、君たちさっきから猫とか犬とか言ってるけど、ケットシーは猫の妖精だし、ヴァウンティーズはフェンリルだからね?



待ってる間、暇なので、商人と私が断定したボロく……行き倒れの彼をなんとかしよう。

無属性魔法で手を清潔にして、分かる傷口を治癒していく。顔は念入りに。事情聞いてる時に私が爆笑してたら聞けないじゃない。


「ごしゅじーん。あの犬どもが戻ってくるにゃー」

「うん。手当も終わったからいい頃合いだ。ケットシー、手伝って。盗賊どもから装備を念入りに剥ぎ取るよ」

「りょーかいですにゃー!」


元気百倍。と態度に出ているケットシーに縄を渡して準備をする。

さて、盗賊は身ぐるみ剥いで縛り上げて、魔物が出る森にでも顔だけ出して身体は地中に埋めてあげようかな。


そして運ばれて来た盗賊たち。……盗賊?にしては装備が上等な気がしてきた。気絶してはいるが、一応五体満足なようす。


「ご主人よぉ、こいつら冒険者だと思うぜ」


ヴァウンティーズをよくやりましたと褒めつつモフモフしていたら、長が思い出したように言った。


「…冒険者?……帝国の?」

「ん、これ多分証明書」


木の札の束を渡されて、1枚ずつ確認する。成る程、確かにこれは冒険者の通行手当である。ランクは…あー、Eか。

まだまだ弱い。それでもあの商人をぶっ潰して逃げるという非道に走る勇気はあったらしい。それとも冒険者になったのは単に身分証が欲しかっただけかな?

帝国と王国で冒険者の規則や、ルールがそこまで違うはずもないから、多分この件は重罪だろう。依頼人を襲い、荷物を奪取、更に致死しかねない傷を負わせたのだから。


「まあ、なんにせよ…。私は静かに先を急ぎたいし、あまりお金も無さそうな商人さんには、ちょっと言う事聞いてもらおうか」


私が悠々自適な旅暮らしを続けるために。

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