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第11作 進歩の鍵

初めての領地視察で俺はあるものを作ることにした。


それは『手押しポンプ』だ。


領民たちの負担を少しでも減らしたい。


アウルは紙に書いた手押しポンプのスケッチを眺めていた。


「仕組みはわからないが、魔術で代用するなら動きを分解していこう。」


1. レバーを上下させる

2. 水を吸い上げる

3. 水が出る


まあ、素人の俺ではここまでしかわからない。

問題なのは、2の水をどうやって吸い上げるかだ。


だが。


そこで問題を解決してくれるのが魔術だ。

術式を使えば、現代の知識がなくても似たような動きをしてくれるはず。


「この吸い上げるところは風魔法を使えば解決できるかな。」


例えば、レバーを上下する動きに合わせて風が下から上へ出力するような術式を組めば問題ないはず。


「よし。動き自体はこれで問題ない。」

「次は...。」


実際に手押しポンプをどうやって作るかだ。

魔道具にする以上、魔鉄は必須になる。


だが、そうなると一つ問題がある。


そう。


生産コストがものすごく上がる。


一般農民のために作るのに高価になると、

その農民たちでは手が出せなくなってしまう。


一応、考えがないわけではないが。


「ちょっと試してみるか。」


そう言うと、アウルは自室から飛び出し、ある場所へ向かった。


♦︎


アウルが訪れたのは屋敷の端にある煙突のついた小屋だった。


「ファベル、いる?」


「おお、坊ちゃん。」

「ここにいますぜ。」


すると、小屋の奥からガタイの良い男がやってきた。


「相変わらずここは暑いね。」


「そりゃそうですぜ。」

「なんたってここは"鍛冶場"ですから。」


そう。


ここはクレアトル家にある鍛冶場なのだ。


そしてこの男、ファベルとはものづくりのことでいろいろ話すうちに意気投合して、

今ではこうやってよく顔を出している。


「それより坊ちゃん。」

「今日はどういった要件で?」


「実は欲しいものがあって。」


アウルはそう言うと少しにこりと笑った。


その意味がよくわからず、首を傾げるファベル。


アウルはいくつか注文すると、

ファベルは工房の方へ消えていき、

何かを持ってすぐにまた戻ってきた。


「持ってきましたぜ。」


そう言って机の上に並べた。


「鉄と...灰です。」

「これを一体何に使うんですかい?」


「ちょっと待って。」


そうすると、今度はアウルが鍛冶場から飛び出していく。


その後、数分後に戻ってきた。


「それは...魔鉄ですかい?」


アウルが持ってきたのは、フォルトゥーナから送ってもらった

魔鉄を事前にインゴットにしたものだ。


「そう!」

「この三つを使って、合金を作ろうと思って!」


「合金...?」

「なんですかそれは?」


合金とは二つ以上の元素を混ぜて性質を改善した金属のことである。


この世界ではまだ合金の技術が浸透していないようで、

武器や農具といったものは鉄や銅などを鍛造するか、鋳型に流し込み作っているらしい。


「まあ、見ててよ。」


そう言うと、鉄と少量の灰をテーブルの中央に置き、手をかざす。


構築コンストルクティオ


すると。


二つは光を放ち、一つの金属に変わった。


「やった! 成功だ!」


「うぉあ!」


「すげえ、合体しちまった。」

「相変わらず無属性魔法ってとんだ魔法ですぜ。」


ファベルには何度かこの光景を見せている。


ユウナの時もそうだったが、無属性魔法の本当の力を知らない人たちはみんな驚く。


「これは"鋳鉄"っていう合金だよ。」


「鋳鉄?」


「鋳型に流し込んで使うのが得意な金属で、

灰の量をもう少し減らすと鋼っていう合金になるんだけど...。」

「詳しくはまた今度教えるよ。」


説明しているとファベルの首が徐々に傾いてきたので、一旦説明を省いた。


「よし、こっからが本題だ。」


そう。


ここまでは想定どおりできた。

無属性魔法を使えば、あっちの世界にあった合金も再現可能だった。


ただ、問題が一つ。


アウルの視線は魔鉄に向かった。


あちらの世界には存在していなかった魔鉄。

これを今度はこの鋳鉄と合成する。


もしこれができたら生産コストを大幅に削減できる。

もちろん性能的にはだいぶ落ちてしまうだろうが、試す価値はある。


アウルは出来上がった鋳鉄と魔鉄をテーブルの中央に置き、詠唱を始めた。


構築コンストルクティオ


再び二種類の金属は光を放つ。


そして。


二種類の光は徐々に一つの塊となって、最終的に一つの金属が出来上がった。


「やった! 成功した!」

「これで魔鉄の三分の一の割合で作れるぞ!」


「おお!」


アウルの喜びように状況を理解しきれていないファベルは、

とりあえず便乗する形で拍手をしていた。


「こっからは鍛冶師のファベルにも手伝ってもらいたいんだ!」


今まで訳がわからない状態だったが、

アウルのその言葉に職人の顔つきになるファベル。


「よく分かりやせんが俺に任せてください!」


すると、アウルはポッケから一枚の紙を取り出した。


「これの鋳型を作って欲しいんだ。」


「これは?」


そこには手押しポンプの本体部分のスケッチが描かれていた。


「これは手押しポンプと言って、井戸に設置することで簡単に水汲みができる道具だよ。」


「そ、それはすごいっすね!」

「俺はともかく、女子供にはあれだけで重労働っすからね。」


「それで、お願いできそう?」


「任せてくだせい!」

「ここまできたら最後までお手伝いしますぜ!」

「代わりにこれが完成したら合金とやらの話、詳しく聞かせてもらいますぜ!」


「わかったよ!」


「それじゃあお願いね。」


こうして、手押しポンプ作りの第一段階である素材と本体作りは解決できた。


次は、肝心の仕組み。

術式の構築に移る。

お忙しい中お時間を割いて、本作品を見ていただきありがとうございます!


いかがだったでしょうか?


もし、いいなと思っていただけたら

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作者のやる気にもつながります!

読者の方が満足できるお話を書けるように頑張って参ります!

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