表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神の願い  作者: 須景夜々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/14

きっと知らない1

いつからか、音楽室の扉の奥に誰か人がいた。ドアのすりガラスから見えるその髪型はポニーテールのように見える。誰なのか気になりもしたが尋ねる勇気はなかった。ドアの向こうで30分ほど居座りいなくなる。座敷童だと思った時期もあった。

1年経っても僕は変わらず音楽室でピアノを弾いていたしドアの向こうには誰かいた。

なぜかはわからない。

特にその日何かあったわけじゃない。

でもその日はなぜかドアの向こうに興味があった。

なんだか背中を押されている気がする。

一歩一歩と少しずつドアへ向かっていく。

気づけば僕はドアの前まで来ていた。

引き返してもよかった。普段なら引き返していた。でもなぜか、僕自身の明確な意思でドアに手をかけていた。

僕はドアを開けた。

彼女もまたドアの前に立っていた。

目の前でオドオドしていたので一旦音楽室の中へ案内する。

いつも音楽室の前にいたのは去年同じクラスだった福山清華さんだった。小柄であまり喋っているところを見てないけど、委員会の仕事を真面目にしていたり、やるべきことをきちんとしている人だったので印象に残っている。

僕はさっきから弾いていたピアノを少しだけ弾いて彼女に話しかける。

「ピアノに興味あるの?」

「いや、ピアノには興味がなくて、興味があるのは春谷くん自身っていうか、、あっっいやっその」

「?」

よくわからなかったがピアノには興味ないことがわかった。

「高校入ったばかりの頃に弾いてたあれが聞きたいな〜って」

その言葉に僕の心が軋むのがわかった。音楽そのものに僕はもう何も感じなくなっていたけど口には出してない。ただこれを説明するには言葉にしないといけない。苦しいが僕は口を開く。

「僕はもう曲作ってないんだ。馬鹿らしくなってね」

「そ、そうだったんだ、ごめんね」

そんな顔で見ないでくれ。しょうがないんだ。辞めたくて辞めるんじゃない。辞めないといけないんだ。その後、彼女は用事があるからと帰ってしまった。

「はぁ〜」

ため息が止まらない。1年ほどの不思議な関係が終わりを告げた。彼女がここに来ることはもうないだろう。意味がないんだから。

、、、思ったより心にくる。僕は思ってた以上にあの時間を楽しんでいたのかもしれないな。

もう、遅いけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ