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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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幸せ近い

 ん~。

 貝特有のコリッとした食感とふんわりと香る磯の風味。

 身から染み出す旨味は甘みもあって、すっごい美味い。

 異世界とびことの相性も抜群。味はトリ貝に近いかな。

 あと、下の野菜が一瞬だけツンと来るワサビみたいな感じがして美味い。

 ワサビほど強くないんだけど、ほんの一瞬鼻の頭を摘ままれる感じ。

 貝の甘さが引き立つんですわ。


「美味ぇ……」


 次の料理の準備をしながら俺らの会話を聞いている大将。

 心なしか顔がほころんでいる気がする。


「白身魚は湯引きされてるんですね」


 皮が残った白身魚は、飾り包丁の後に湯引きされてる。

 だから、皮が逆立ってるんですねぇ。

 一旦ガリを食べて……と。


「あ、ガリ美味い」

「どうも」


 生姜の感じはあるんだけど、何というか、俺の想像するガリよりもずっと優しい味。

 酸味がきつかったりも無いし、生姜の辛さが際立ってもない。

 それどころか、ほんのり甘い感じがあって、これだけでご飯食べられるレベル。

 え、ガリ丼とか頼んでいいかな……。


「……お、皮目がもっちりしてる」


 ガリに感動しつつ、白身魚の刺身へ。

 湯引きされた皮目はもっちりとした食感で、プルプルとゼラチン質な部分もうかがえる。

 肝心の身の方は、白身魚によくある繊細な味わい……何だけれど。

 振られた塩、一滴だけ絞られたであろう柑橘系の果汁の酸味、異世界とびこの塩味、下の野菜のほんのり香る梅の香り。

 それらが繊細な味わいをとにかく前に出そうと全面協力してる感じ。

 身自体の味わいはカレイに似た物なんだけど、それらの相乗効果でより美味しく感じるというか……。

 いやぁ、刺身が全部美味い。


「我は赤身が一番美味いと思うがな」

「それぞれに良さがありますよ。どれもこれもめっちゃ美味しいですもん」


 なお、スイさんはとっくに刺身を完食済み。

 俺待ちだね。いや、もう少し味わわせてよ。

 異世界とは言えこんなお寿司屋さんで食事するなんてそうそうないんだから。


「――はぁ……」


 最後の赤身は思わずため息が漏れる美味しさ。

 間違いなくマグロ。それも、かなりいい所。

 脂のノリとかじゃない、赤身の一番旨味が濃い所が使われてる。

 熟成もされてるだろうな。

 噛んだ瞬間にねっとりとしたうま味が溢れて口一杯に広がるもん。

 マジで美味い。文句なく。


「はー……うわっ!?」


 そんな赤身の美味しさに浸っていたら、目の前で火柱が。


「驚かせてしまい申し訳ない」


 見ると、串に刺した何かを藁焼きしていた様子。

 たたきかな?

 焼きものだよね?

 

「金剛海老のたたきです。カニミソを乗せてますのでそのままどうぞ」

「……マジか」


 目の前に出されるはほんのりピンク、そして白の美しいビジュアル。

 そこにほんのりついた焦げ目と乗せられたカニミソ……。

 絶対に美味しい。

 

「いただきます」


 一口大に切って貰っている海老のたたき、そのお味は……。


「……やべぇ……うめぇ……」


 語彙力無くなる。

 まーじで美味い。

 プリッとした海老の食感はそのままに、表面の焦げ目が香ばしさをプラス。

 炙られたことで表面に少しだけ火が通っているけど、それが逆に海老の肉汁を閉じ込めているらしく。

 口に入れて噛んだ瞬間に肉汁が溢れる。

 あと、カニミソ乗せたの天才。

 カニミソの濃厚なうま味が、海老とまた合うのよ。

 海老の身の旨味も、カニミソに負けないぐらいに濃いしね。

 これ、ずっと噛んでたいわ。

 これ味のガムが欲しい。


「お酒、出しましょうか?」

「頼む」


 ……いや、俺としてはどちらでも良かったんですよ?

 でも、スイさんが即答するからさ。

 仕方なく、俺もお酒を貰う事にしたよ。

 ……仕方なくだからね?


「御柳、というお酒です」


 出して貰ったのは、ワインのハーフボトル? 位のサイズのお酒。

 お猪口に注いでもらえば、ほんのり茶色がかった綺麗な液体が。

 ……いただきます。


「めっちゃ華やか」

「美味いな」


 口に入れた瞬間にフワッとフルーティーな香りが口一杯に広がって鼻に抜ける。

 その後に米の旨味と、強めの甘さがグッと来る感じ。

 ……あー、口の中に残ってたカニミソの風味と合うわぁ。

 いやこれめっちゃ合うな?

 もっと早くお酒貰っておけばよかった……。


「揚げ物を準備しますね」


 そう宣言して手際よく揚げ物の準備をし始める大将。

 揚げ物、何が出てくるんだろうなぁ。


「……かき揚げです」


 そうして揚げられたのはかき揚げ。

 ただ、俺が知るかき揚げとはちょっと違うっぽいぞ。


「天つゆと大根おろしでどうぞ」

 

 と、目の前で大根を擦ってくれたんだけど……。

 俺の見間違いかな? 顔があったように思えたんだけど……。

 手足もあるように見えるなぁ。

 ……気のせいだな、ヨシ。


「……あ、イカが入ってる」

「コリコリとした食感がいいな」


 で、かき揚げなんですけど、玉ねぎ、にんじん、イカが構成要因。

 またこのイカが美味しくてね。

 いわゆるいかそうめんみたいな感じで細長く切ってあるんだけど、それでもコリコリした食感と甘さがしっかりと感じられるのよ。

 あとゲソも入ってるな。

 このかき揚げ一つでイカの美味しさをかなり堪能出来る。

 全部とは言わないよ? でも、七割は楽しめるんじゃないかな。

 かなり美味い。


「……はぁ、幸せ」

「まだメインの握り前だぞ?」

「それでもですよ。もうこの時点でかなり満足感あります」


 お腹の具合的にじゃないよ?

 満腹感じゃなくあくまで満足感だからね?


「お味噌汁です。先程の金剛海老の殻から出汁を引いてます」

「絶対に美味しい奴じゃないですか」


 そして出てくる海老の味噌汁。

 こんなのね、外す方が難しいですからね。

 それじゃあ、海老の味噌汁いただきます!!

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過去一うまそう。この一言に尽きる。
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