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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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非公務員

 ……ふっつーに照り焼きチキンピザだったな。

 肉も柔らかくて若鶏と変わらん感じ。

 使われてるコカトリスが若コカトリスだったのかな?

 照り焼きの甘じょっぱい感じとコーンの甘さ、申し訳程度のブロッコリーの野菜感全部がまとまってるね。


「……コーラうま」


 完全に不意打ちだったけど、コーラが美味い。

 何だろうな、コーラって本来、色んな香辛料を入れて作ってた、みたいな話あるじゃん?

 クラフトコーラとかがまさにそれだし。

 で、その香辛料の香りって言うのが複雑に絡み合って、でも雑味というか、不快になるような香りの一切がしない。

 そんなコーラ。

 このコーラが一杯千円で売られてたとしても納得出来る位には美味しい。

 買うかは微妙だけど。


「……ジェノベーゼいくか」


 次のピザはジェノベーゼのピザ。

 名前通りにジェノベーゼソースをかけ、ベーコンと薄切りのポテトが乗った代物。

 まぁ不味いわけがあるはずもなく……。


「俺の知るバジルとはちょっと違うみたいだけど、まぁ普通に美味いな」


 こう、バジルにミントを合わせたような……。

 ピザにするにはちょっと甘いかな? って味だけど、その甘さがチーズの塩味と合うというか。

 あとベーコンとも意外と合うし、振りかけられたペッパー系とも合う。

 なんというか、不思議なバランスで成り立ってるピザだったな。


「続いてミートソース」


 王道? のピザ来たわね。

 ちなみに今までの二つのピザはハンドトス生地だったんだけど、このミートソースはクリスピー生地。

 トマトソースにたっぷりのひき肉、そこにチーズのシンプルな代物。

 ……このひき肉、何肉なんだろうなぁ。

 ま、気にするだけ無駄か。

 問題なのは美味しいかどうかであって、材料は特に気にしないと決めた。

 ――異世界でのみ適用だけども。


「……うん、普通に美味い」


 目を見張るような美味しさでなくてもいいじゃない、異世界だもの。

 まぁなんというか、不味い、という感想さえ浮かばなければ問題ないよ、うん。

 肉汁とトマトソース、チーズの噛み合いがバッチリだね。

 コーラが進むわ、こういうピザは。

 ……欲を言えばビール……いや、やめておこう。


「ほー、人間か?」

「?」


 ? ピザ食べてたら声掛けられたんだけど。

 どちら様で?


「いや、驚かせてしまったならスマン。この時間に同族以外と出会うのは珍しくて、つい」


 声の方向を見ると、そこには……。

 フクロウのハーピーさんかな?

 ……アニメでしか見た事無いような、鼻にちょこんと乗せる小さい眼鏡かけてら。

 あれ、正式名称なんて言うんだろう……。


「お昼のワイン試飲ツアーに参加して、船に戻ったら爆睡しちゃって」

「ほっほっほー、それで生活リズムが崩れて今頃ご飯か」

「ですです」


 このフクロウハーピーさんはなぜこの時間に? というのは野暮なんだろうな。

 夜行性の代表格でしょ、フクロウなんて。


「相席してもよろしいか?」

「もちろん、どうぞどうぞ」


 他に席はいくらでもあるんだけど、俺と相席を選択。

 寂しいのかな?


「船旅は楽しんでおられるかな?」

「それはもう。じゃないとこんな時間に食事とかしてませんて」

「それもそうか」


 ちなみにフクロウハーピーさん、普通にフライドチキンとポテトを山盛り持って来てる。

 あと白身魚のフリット。

 まぁ、鳥でも鳥は食べるか。

 決して共食いというか、同族食いとは言うなかれ。


「ちなみにそちらは何を?」

「ん? 私か?」


 夜行性なら昼のツアーには参加出来ないだろうし、ただ移動や食事の為にこのクルーズ船を利用しているとも考えにくい。

 なので、何をしているのか? と尋ねたところ……。


「私はガーディアンとして夜の警備をしている」

「あ、なるほど」


 確かに、夜に活発になる魔物とか居そうだもんな。

 で、そんな魔物から船を守る存在ってのは当然必要になるわけで。

 そう考えたら、夜専用のガーディアンも必要なのか。


「ガーディアンとしてのシフトが無い場合は、船内でバーや喫茶店を営んではいるがね」

「あ、ガーディアンとは別にお仕事されてるんですね」


 ……フクロウ、喫茶店のマスター……。

 なんか、凄い既視感があるのは気のせい?

 いや、あのゲームでは喫茶店のマスターは鳩だったか。

 博物館の館長がフクロウだったな。

 ――その内、ギターを弾く犬の獣人とか出てきたりして。


「むしろガーディアンが副業になる」

「あ、バーや喫茶店のマスターが本業なんですね」


 ガーディアン、副業だった。

 ……となるとスイさんも副業としてガーディアンをやっているんだろうか?

 そもそも、スイさんの本業ってなんだ? ともなるんだけれども。

 

「最終まで乗っているのかね?」

「その予定ですね」

「では、もし良かったらでいい。私のバーに来ないかね?」


 そう言って渡される名刺。

 これはこれはどうもどうも。


「……賢鳥の巣」

「エルフ陣営だからな。これ位の名前の方が受けがいいんだ」

「なるほど」


 そういえば、このフクロウハーピーさんもエルフ陣営か。

 となると、エルフ陣営専用のバーとか喫茶店になるんだな。

 ……明日行ってみるか。


「……開店が二十時から?」

「夜行性だからな」


 ……夜行くかぁ。

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