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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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失礼なやつじゃの

 ……なんというか、予想通りというか、予想以上に面白くて笑ってる。

 いや、笑えるような内容という面白さではなくて……。

 普通に興味深いというか……。


「元々はいくつもの国家に分かれていたが、『バハムート』という強大な敵に立ち向かうために共に手を取り合った、ねぇ」


 ゲームで言う所の物語終盤。

 それまで様々な確執があった種族たちが、一つの目的のために手を取り立ち上がる。

 まぁ、男なら全員好きなシチュエーションでしょ。

 また相手がバハムートというのがいい。

 分かりやすい名前で、強そうってのがとても理解出来る。

 ――ただ、


「東京ドームで大きさを表されてるのは、何というか……。いや、恐らくは翻訳魔法のせいなんだろうけど……」


 バハムートの大きさの所に注釈で、『※東京ドーム一万二千個分』って書いてあるのは……。

 物凄く現代チックだなって。

 あと、当たり前にピンと来ないからね?

 わーすげー、以上の感想が出ないのよ。

 東京ドームで換算されると。


「物凄く長い間戦ってて、倒した時には甚大な被害が出ていた、と」


 で、そんな東京ドーム一万二千個サイズのバハムートを倒したはいいものの、そりゃあ戦闘の余波は容赦なく村や町を襲っており。

 それらの復興や、襲ってくる魔物たちを相手に各種族が団結して立て直した、と。

 ……? そういや、この辺から急に龍族が登場するんだよな。

 なんでだろ? それまでに龍族とかの描写って無かったはずなんだけど……。

 ――疑問に思ったら聞いてみるか、教えて! ビオラ先生!!


「お呼びでしょうか?」

「今この国の歴史を読んでるんですけど、バハムート討伐前時点で龍族って何してたんです? 討伐後に急に出て来てて疑問に思っちゃって」


 指パッチンで呼び出し、質問してみる。

 すると、


「バハムート討伐前ですと龍族は龍族ではありません」

「……はい?」

「その時点で龍族は魔族に分類されておりました」

「マジで?」

「はい。ですので、バハムート討伐後に魔族から龍族に独立、そして我々の生活に関わってきた、というわけです」


 元々龍族って魔族だったのか。

 というか、独立するものなんだ、種族って。


「ご質問は以上でしょうか?」

「あ、はい。ありがとうございます」

「まだ先の話ではありますが、疑問に思われそうなところが一つ思い当たりますので先回りして答えさせていただきます」

「はい」

「魔族も、我々『世界種族連盟』に名を連ねる、立派な種族の一員ですよ?」

「……はい?」


 なんか、聞くこと全てに疑問符を投げつけてる気がする。


「魔族を束ねる頭首をしっかりと置き、我々エルフをはじめとした他種族に非常に協力的です」

「イメージ沸かねぇ……」


 申し訳ないんだけど、魔族のイメージって大体ヒャッハーな世紀末よろしく暴力は全てを解決するマインドだからさ。

 他種族と協力なんて想像出来ん。


「そもそも、本日お召し上がりいただいた料理に使われている食材の多くは魔族の提供によるものです」

「……マジ?」

「はい。魔族は主に他種族へ、魔物の食用部分を加工し輸出しています」

「食料関係全部?」

「全部ではありませんが、肉類や魚類に関しては九割は割らないでしょうね」

「マジか……」


 なんか、魔族の異世界に占める役割がだいぶ大きいんですけど。

 ほとんどの肉と魚って、下手すりゃ他の種族は魔族に反抗出来ないじゃん。

 ――ん? 待って?


「頭首? 魔王とかじゃなく?」

「頭首ですね。魔王と呼ぶにはあまりにも弱すぎます」

「弱すぎるって」


 んな身も蓋もない。


「事実です。ただ、弱い事と統制力がある事は両立します」

「つまり、他の魔族からは信頼されてる?」

「それはもう。その方に任せておけば、最悪でも魔族の信頼が落ちることはない、と魔族でしたら誰しもが思っておられるようです」

「すげぇな」


 思えば、別に日本の首相だからって喧嘩が強いわけじゃないし、アメリカの大統領だって殴り合いで勝ち得た椅子でもない。

 ロシアは……うん、ノーコメント。

 つまるところ、魔族も、喧嘩は他に強い奴が一杯居るけど、魔族の立場を悪くしないという点で選ばれた党首が一番安心出来るって事なんだろう。

 ……そう考えるとプレッシャー凄そう。

 だって、常に自分より強い奴らから期待されてるって事でしょ?

 万が一期待を裏切るような事があれば、いつでも背中を刺されかねない……。

 まぁ、魔族だし、そういうのは感じないんだろうな、きっと。

 じゃないとマジで身が持たなさそうだし。


「後は、独立勢力として神が存在します」

「……いや、存在します、と言われても……」

「人間の居住地に、神にワインを捧げる祭壇が存在しますよ?」

「ちょっと行ってみたい……」

「ちなみに一日に二本の供えられているワインが空になるそうです」

「結構飲むな」


 神、ねぇ。

 会えるものなら会ってみたいけど、会ったところでなぁ。

 別に何かしたい訳でもなく、何か聞きたい訳でもない。

 あ、チート能力とか貰えないかな?

 呼吸するだけでお金が貰えるみたいなスキル。

 ――なんてね。

 絶対にそんな都合のいい神様じゃないよ。

 俺は知ってるんだ。

 北欧神話とか、それ神様がやる事か? みたいなのが書かれてたりするんだから。

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