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異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


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39/57

な、仲良くね?

 ん……今何時……?

 22時か……なんか全然時間経ってないのにぐっすり寝た気分だ……。

 あ、そっか。

 時間が引き延ばされてるから結構寝たのか、実は。

 なんと言うか、起きたのに外が真っ暗で星まで出ていると調子に乗って二日ほどオールして時間間隔バグって丸一日寝た大学時代を思い出すなぁ……。

 とりあえず起きて歯を磨こう。


「何しようかな」


 今日……今日と言っていいのか?

 起きて日の出が出るまでの間に何をしようかと思いつつ。


「朝ごはん……何食べよう」


 寝て起きたらお腹は空くもの。

 コーラ飲んだらげっぷが出る位に確実な事だよね。

 という事で歯磨きも終わり、ビュッフェを確認。


「フルーツとか、ヨーグルトとかでいいなぁ」


 昨日は昼、夜と結構食べたからね。

 朝くらいは軽いものが食べたい。


「お、シリアルある。これでいいじゃん」


 てなわけで選ばれたのはシリアル。

 このシリアル、チアシードが混ぜられてるらしく、牛乳をかけたら膨らむんだって。

 少量でも満腹感をしっかりと感じる事が出来るって書いてあった。

 これには赤いネクタイを締めて腕組んでる虎のマスコットも満足気。


「食感面白いな」


 で、シリアルを食べた感想なんですけど、シリアル事態はサクサクしてるのに、牛乳を含んだチアシードがぷるぷるぷちぷちしてて食感が三層構造になってる。

 そも俺が知るチアシードはこんな牛乳かけてすぐには戻らないんだけれども。

 これは異世界産特有なんだろうね。


「ほんのりイチゴ味がしたし、食べやすいように加工とかしてるんかな」


 異世界の食事情はまだまだ謎だらけ。

 今食べたチアシードも、元からイチゴ味なのか、それとも後からそういう風に加工してるのかは分からないしね。


「んー……。ビオラさん呼ぼう」


 という事で寝る前に習得した指パッチン。

 呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん。


「お呼びでしょうか?」

「この列車内になんか読み物無い?」

「読み物……ですか?」

「うん。満天の星空の下で時間を忘れて読める様なのがあればいいんだけど……」

「そうですね……」


 俺から尋ねられたビオラさんはしばらく考えると、


「いくつか見繕って来ます」


 そう言って一度姿を消し。


「お待たせしました」

「別に待ってませんが?」


 すぐに戻ってくる。

 手には、いくつかの本を持って。


「御厨さまが好みそうなのを何冊かチョイスしてきました。まずは――」


 そうして、ビオラさんが選ぶ時間つぶしの本の紹介に入り……。


「『如何にしてエルフは偉大な種族へと上り詰めたのか』、という本を……」

「俺の好みとか一切無視してない?」


 初手、明らかにエルフすげーされてるような本を勧めてきた。

 いや、読みたいか読みたくないかで言えば読みたいけども。

 それはそれとして、多分最初に勧める本の内容ではないよね?


「お気に召しませんか?」

「あまりにも偏った内容にしか思えなくて……」

「そうですか」


 少しだけ残念そうな顔をするビオラさん。

 これは……どっちだ?

 エルフの素晴らしさを布教出来なくてガッカリなのか、それとも本気で俺が読むと思って持って来たものなのか……判断が難しいな。


「では、『ドワーフと言う下郎、成れの果て』という本を――」


 前者だな。

 自分の種族を挙げる事が出来ないと知ると、敵対する種族を下げようと走る。

 実にエルフッパリらしい。


「もっとこう、色んな種族に読まれている本とかは?」

「二冊ともベストセラーですが?」


 いや、そうじゃないんよ。

 売れている、じゃなく、読まれている、で探して欲しいんよ。

 あと、みんな買うのか、そういうタイトルの本。

 エルフ達は。


「じゃあ、人間がよく読む読み物とかは?」

「そうなると歴史書ですかねぇ」

「歴史書かぁ……」


 いやまぁ、現代日本にも歴史好きは居ますし?

 何なら結構勢力強いですし?

 歴史モノ、なんてジャンルが確立されてるくらいには人気ですが?

 俺自身がそこまで歴史の事を詳しく知ろうと思ったことは無いんだよなぁ。

 ……これあれじゃね? 現代で一番売れてる書物は聖書みたいな、そんな話じゃない?


「『初等教育、今に至るまで』や『これからの生活を考えよう』などもありますよ?」


 教科書だろ、それ。

 絶妙にそれっぽいの止めろ。

 あと、これからの生活を考えように至っては、歴史とかよりも小学校特有の生活とか、道徳とかの授業で使うやつだろ。


「他の歴史書は?」

「龍族やエルフ族が共同執筆の、『見てきた者たちの声』が発刊部数は一番多いですが」

「じゃあ、それで」


 ぶっちゃけ、暇さえ潰せれば何でもいいっちゃいい。

 ただまぁ、そこで選んだのは異世界の歴史なわけですけど。

 ――だって、碌な選択しなかったんだもん……。

 それに、現代の歴史は正直これまでの勉強でうんざりだけれど、異世界の歴史はぶっちゃけ書いてあることまんまラノベじゃね? と思った次第。

 というわけで、『見てきた者たちの声』とやらをベッドに寝転がりながら読むことにした。


『この本を書くにあたって、どこから書き出すか、という部分で二、三日殴り合った結果――』


 ……初っ端から物騒な事が書かれてるんですけど、本当に大丈夫ですかね? これ。

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― 新着の感想 ―
この本を書くにあたって、どこから書き出すか、という部分で二、三日殴り合った結果――』 飲んでたビール吹き出してしまったじゃないですかー
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