大体三か月に一度
オパール酒、見た目が何と言うか、綺麗だなぁって。
オパールって実際のところ、光の反射だから何色っていう明確な色無いよね。
オパール酒もそんな感じ。
あえて言うならオーロラ色、かなぁ……。
「香りは……うん?」
鼻がおかしいのかな?
なんと言うか、嗅ぎなれた匂いがするんだけど……。
気のせいじゃないよな?
青じそみたいな匂いがするが……。
とりあえず一口飲みますか。
唇を湿らす程度に……。
「キッツ!!」
それだけなのに、これでもかとアルコール感。
ウイスキーとかの比じゃねぇぞ。
ウォッカか? それともスピリタスか?
「……味はいいんだけど度数が強すぎるわ」
味わい的にはジンとかかな。
色んな果実感を感じられる風味と、ほんのりとした甘み。
ドライな口当たりと、チリチリとしたスパイス感。
お酒としては美味しいよ?
度数が高すぎるだけで。
「ロックで……」
ちなみに一口どころか唇を湿らせただけでストレートはギブ。
これは人間が飲む物じゃないよ。
「ありがとうございます」
氷を入れて貰い、グラスを回してお酒全体を冷やし。
ついでに氷が溶けだして、お酒が薄まったのを確認して、また一口。
同じく唇を湿らす程度に。
「……おー? 冷えたからか、それとも薄まったからか分からんけど、かなり飲みやすくなってるな」
一気に炎の如くせり上がってくるアルコール感は薄れ、よりお酒の味が鮮明になったな。
……注意しないと、ストレートであれだけ強かったのにスルスルいけちゃうわ。
ん~……美味い。
「こうしてみると、オパールって綺麗だな……」
ラウンジ車から窓の外を見て、オパール宝鍾乳洞を観察。
列車のライトに照らされて、様々な色に反射するオパールたちは、それはそれは美しいですわよ。
――ただ、どの角度で見ても必ず一人はお客さんが視界に入るんだよね。
結構な数の乗客がオパール宝鍾乳洞でアクセサリーを作るらしい。
「……ん?」
そんなオパール宝鍾乳洞を動き回る乗客たちの中に、見知った姿を発見。
グリムダさんもここでアクセサリーを作るのか。
ふーん……。
なんかさ、俺が捻くれてるだけだと思うんだけど、こう人気な宝石ってなると避けたくなるのよな。
言っちゃ悪いけど、いわゆる唯一無二性もこのツアーの宝石加工の醍醐味じゃない?
それがこれだけの数の加工者がいるとなると、普通に被りそうだなって。
もちろん、俺は現代日本に戻るわけだから無二性ってのは失われないだろうけど……。
それでも、なんか嫌なのよね。
「あ、帰ってきた」
と思ったらもう車内に戻ってきたグリムダさん。
お早いお帰りで。
「お帰りなさい」
「ただいま」
なお、戻ってきて早速ビールの生中を飲み干す模様。
流石ドワーフ。
「プハッ!」
「オパールにしたんですね」
「ん? うん。前情報でオパール宝鍾乳洞が旬って出回ってたし」
食材かよ。
宝石に旬とかあるんか?
「争奪戦だったけど、割と希望の宝鍾乳石取れて満足」
「加工はどうしたんです?」
「耳飾り」
「ほー」
オパールの耳飾り、か。
――ゲームの装飾品にありそう。
というか間違いなくある。
「ミクリヤは?」
「何がです?」
「オパールにしてないの?」
「一つはエメラルドで使ったんで、もう一つは何にしようか悩んでるんですよ」
「へー。エメラルドにしたんだ」
親への贈り物でね。
まぁ、もう一つの宝石も親への贈り物に使う予定だけど。
そっちは父親用だし、もうどんな形にするかも考えてるのよね。
どの宝石にするかは考えて無いけど。
「ちなみにエメラルドは旬なんです?」
「? 何言ってるの? エメラルドに旬なんて無いわよ?」
……無いのか。
じゃあオパールは何なんだよ……。
「エメラルドは常に安定した品質だからね」
「そうなんです?」
「そう。逆にオパールは全然安定しなくって、旬じゃないオパールなんてただの光る石よ?」
「へー」
普通のオパールもそうなのでは? とは言っちゃダメなんだろうな。
なんか拘りがあるんだって伝わっては来た。
「この後はサファイアとトパーズだっけ?」
「ですね」
「どっちも品質は安定してる宝石だから、旬は気にする必要ないわよ」
「どうも」
「私的にはトパーズがおススメね。色の種類も見え方も豊富だから」
「ほー」
トパーズ、あまり馴染みが無いんだよな。
色んな色がある宝石なのか。
……確か、終点前に通るんだよな。
「で? で? どうだった?」
「? 何がですか?」
「オパール酒よ」
「くっそ強いです。ロックで何とか飲める程度ですよ」
「だよねー。ドワーフでもストレートは無理ってやつがいる程だもん」
はっ倒すぞこのメスドワーフ。
せめて説明くらいは寄越しなさいよ……。
「今もロックのまんま?」
「割と気に入っちゃって」
「だったらハイボールも気に入ると思うわよ?」
「……ほーん?」
言いましたわね?
これで変な事になったら流石に訴訟よ?
ちなみに変な事とはアルコール感を強く感じるようになったり、とにかく飲みにくくなるような状態の事を指す。
「すいませーん」
でもまぁ、折角教えてくれたんだ。
とりあえず試すだけ試してみるか。




