表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

134/142

限度はある

 めーっちゃ抹茶。

 あの、こんなに抹茶の味が濃いならもっと深緑というか、とにかく濃い色をして貰えませんか?

 ずんだ色というか、明らか豆系の色しといて、あ、自分抹茶っす、は不意打ち甚だしいのよ。

 というか、


「抹茶、普通にあるじゃないですか」


 抹茶は高級、みたいな事をエルフツアーの時に言ってなかった?

 普通にスイさん、抹茶使ったデザート作れるんじゃん。


「来客をもてなすような場合に出されるのだぞ? しかも、我が『客だ』とまで言わねば出されぬ代物よ」

「……もしかして、俺ってかなり歓迎して貰ってます?」

「今更気が付いたのか……」


 スイさんため息。

 いやでも、全くと言っていいほど実感無いし……。


「基本的に主様は招くよりも招かれる様なお方です。そのようなお方が自らのお客様だと言われたのですから、何か失礼があってはいけませんので……」

「スイさんってマジで凄い存在なんですね……」


 俺が持ってきた現代お菓子に尻尾振って、満面の笑みで食べてたスイさんが、ねぇ。

 ……ん?


「だったら、ガーディアンなんてなんでやってるんです?」


 そんな身分の人が、どうしてわざわざガーディアンを?


「暇潰しよ。あと、たまには身体を動かさねば鈍る」

「はぁ……」


 偉い人の考えは俺には分かんないかな。

 足なんて不要だよ。


「で? どうだ? 味の方は?」

「美味いっすよ? めっちゃ抹茶が濃いですけど」


 抹茶が濃いせいでクリームの甘さの後に苦さと渋さがある。

 でも、そのおかげでクリームだけを食べてもウッてならないかな。

 この抹茶の濃さは好き嫌いあると思うけど、まぁ俺はまだ好きの範疇かな。

 ぶっちゃけ、日本にはもっと濃い抹茶が存在するし。

 あれだ、抹茶の濃さが選べるソフトクリームとかあるじゃん?

 あれの、抹茶濃度上から二番目くらいの抹茶の濃さ。

 一番上ではない。


「濃すぎるか?」

「これより濃い抹茶味のソフトクリームを知ってるんで、濃いは濃いですけど、まぁこれ位か、って感じです」

「それよりも濃い抹茶味……ですか」


 なんか、ドラゴンハウスキーパーさんが扉の前でドン引きしてるんだけど。

 いうて、本当のお抹茶が一番濃いわけじゃん?

 そのお抹茶よりも、ソフトクリームにする時点で薄まるじゃん?

 つまるところ、抹茶味の何かってだけで、本物のお抹茶には濃度では敵いっこないわけで……。


「そう言えるという事は、お主はその、それよりも濃い抹茶味を体験しているという事だな?」

「まぁ」


 京都にプチ旅行をしに行った時に。

 雪が降る中、お抹茶と最中をいただきました。

 いい体験だったよ、あれは。


「申し訳ありません!」

「よい。それより、貴様。間違いなく美味いのだな?」

「へ? あ、はい、もちろん。ぶっちゃけ抹茶が濃ければいいって訳でもないんで、しっかり美味しいですよ?」

「だそうだ。気にするな」


 なんかドラゴンハウスキーパーさんが急に謝ったし、スイさんに再びの感想を求められたし。

 何だったんだろう……。


「スイさんが食べてるのはタルトですか?」

「うむ。フルーツタルトだな。……欲しいか?」

「すぐにお焼きします」


 あ、あの……。

 ただ確認しただけで、まだ食べるとは……。

 いやまぁ、食べたくはあったけれども。


「お待たせしました!」


 だから、待ってないって。

 あまりにも早いな。

 紅茶の時とほぼ同速だぞ?

 ちゃんとタルトは焼けてるのか?

 ――焼けてますね。


「ベリータルトになります」


 言われた通り、タルトの上にはベリー系の果実と思われるものがぎっしり。

 ちなみにタルトは一口サイズ……とは言わないまでも、三口くらいで食べきれるサイズだね。


「……おぉ、美味い」


 味の方は、ベリー系というかさくらんぼのような味。

 ただ、食感はベリー系なのに味がさくらんぼでちょっと面白い。

 タルト生地はサクッとしててバターの香りがしっかりあるし、タルトの上のカスタードクリームとさくらんぼ味ベリーの相性も抜群。

 そして何よりも紅茶に合う。


「ふぅ……」


 美味しいものを食べた時のため息と、紅茶と相性のいいものを合わせた時のため息と。

 ――満腹が近くてもうそろそろ限界です、という三つの意味が混じったため息が出た。


「満腹か?」

「ですね」


 そういえばスイさんは現実視持ちなんだっけ。

 俺が満腹な事も分かっちゃうのか。

 今だとありがたいかな。


「コーヒーなどはどうだ?」

「あ、いただきます」

「だそうだ」


 なお、コーヒーは入るもよう。

 甘い物の後だから、ちょっと苦めのやつがいいな。


「お待たせしました」


 だから早いって。

 マジでどうやってるんだろ?

 この部屋と外とで時間の進み方が違うの?

 あるいはドラゴンハウスキーパーさんが対象の時間経過を早める魔法とか扱えたりするんだろうか?

 う~む、謎は深まるばかり……。


「あ、ホワイト」

「特に指定がありませんでしたので……。他の銘柄に変えますか?」

「いえ、大丈夫です」


 ちょっと面喰っただけなので。

 そういえばそうだよな。ホワイトコーヒーは高級だって言ってたもんな。

 ――うん、美味しい!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ