表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界トラベルツアー  作者: 瀧音静


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/143

何となく理解

 まぁ、うん。

 そもそもビンゴは揃わないのが普通だから。

 ちなみに参加者は、昼過ぎの部でざっと百人くらいかな。

 で、その中でビンゴした人は五人くらい。

 ちなみに全員ハーピーさんね。

 ビンゴしてはしゃいで、両手を羽ばたくように動かして、席から浮いちゃうお客さんとかいて微笑ましかったよ。


「……さて」

 

 また景色でも見るかなぁ。

 夕暮れ時に探検ツアーがあるって話だし、もう少し時間あるしね。

 にしても夕暮れ時の海か。

 基本日が傾いたら海から出るから、夕暮れ時の海の中の景色ってあんまり知らんな。

 そもそも暗くなった海は危険だから。


「って、違う違う」


 メインデッキに向かいかけた足を方向転換。

 向かう先は自分の客室。


「シャワーがどうなるか試すんだった」


 割とビンゴで白熱した事もあり、忘れかけてた。

 というわけで客室へ。


「……ん?」


 早速シャワーを浴びようと思ったら、テーブルに何か置いてある?

 近くに寄ってみたらアメニティグッズだそうで。

 用意されてなかったのか―と思ったものの、これ多分あれだ。

 客室の利用者が何族か分からないから、確定してその種族に合った物を用意してるんだと思う。

 ……多分だけど。


「頭髪洗浄用のくしと、身体を洗う用の砂、歯ブラシ……」


 うん、普通のアメニティグッズですわね。 

 ……まぁ、このツアーにとっては、だけど。

 いやぁ、小分けにされた袋に砂が入ってる絵面、違和感しか無いなぁ。

 何も知らない人がこれ見たら、バカにしてるのか? と思っちゃうよね。


「さて、それじゃあシャワーを……」


 シャワー室に入り扉を閉め。

 ……どうやってシャワーを出すんだ?

 天井からぶら下がってるシャワーはあれど、シャワーを起動する物が見当たらない。

 ハンドルって言うの? 捻ったり回したりするアレも見当たらないのよ。

 シャワー自体についてるのかな?

 バタ足して浮上し、天井のシャワーの周囲を見るけど何もない。

 ……まさかシャワーが飾りって事も無いだろうし……。

 ――ん?


「まさか、これ?」


 俺が見つけたのはシャワー室の扉に付いている赤いスイッチ。

 てっきり、内側からかけるカギだと思ってたんだけど、まさか……。

 ポチッとな。


「当たりかよ」


 押したら、シャワーから一瞬だけ冷たい水流が流れてきて。

 即座に温かい水流へと切り替わる。

 なるほどな。シャワーの場合は水流になるのか。

 ……この水流、他の水と混ざらないのかな?

 水流が出た直後ならともかく、天井から床に居る俺に届くまでに、周りの水と混ざって温度が下がらないのはおかしいよね?

 となると、このシャワーの水も大浴場にあったお風呂と同じく、海水と区別されてる水って事なのだろう。


「あ、アメニティ忘れた」


 そしてテーブルの上に用意されていたアメニティを忘れている、など。

 まぁ、シャワーを試すためだけに入ったので、身体は洗わなくてもいいか。


「……服が……濡れてる?」


 服を着たままシャワーを浴びたら服が濡れたな。

 ……いや、何言ってるんだ? と思われるかもしれないけど、そもそも海水に浸かっている現状でも、服って濡れてなかったのよ。

 それが、シャワーを浴びた途端に水を吸い、肌に貼りついてるわけで……。

 これ、船に入りこんだ海水が魔法的な何かの影響下にあるだけで、海水以外の水は多分普通だな?

 だから服を濡らすし、海水と分かれるって感じか。

 なるほどな?


「とりあえず服は着替えるとして」


 大浴場で思ったのよ。

 服脱ぐ意味あるの? って。

 ありますね、はい。


「ちなみに洋服の乾燥のサービスとかって……」


 ボタンを押してシャワーを止め、シャワー室から脱出。

 濡れた服を着替えながら、サービスの内容を確認すると……。


「乾燥まで付いてる洗濯サービスがあるな。これたのも」


 今すぐ着る服がない、というわけではないけれど、そもそも濡れる想定でいなかったもので。

 乾かしてもらえるならそれに越したことはない。


「専用の袋に入れて扉にかけておくだけか」


 利用出来る洋服の枚数に制限があったり、一日に利用出来る回数が決まってはいるものの、基本は旅行プランの中に入ってるサービスらしい。

 ありがたく使わせて貰おう。


「……ちょっと眠くなってきたな。二時間……いや、一時間だけ寝よう」


 お腹いっぱいまで食べた後にお風呂まで入ったんだ。

 そりゃあ眠くもなるというもの。

 夕方前に起きれば大丈夫でしょう。

 というわけでおやすみなさい。



「何食べてる?」

「我への献上品」

「寄越せ」

「少しだけだぞ?」


 忠からの献上品をモッシャモッシャと食べていた翠龍は、同じ龍族の轟龍から声を掛けられ。

 好意で、忠が献上したお菓子を分け与えた。


「? これごと食べる?」

「な訳あるか」


 そうして分け与えられたのはコアラのイラストがプリントされた、ビスケット生地の中にチョコレートが入っているお菓子。

 それを箱ごと渡され、そのまま食べようとした轟龍は、翠龍に箱を開けさせ、ついでに袋も開けさせて。


「なにこれ?」

「分からん。が、美味い」


 翠龍も分かっていないコアラたちのマーチを一つ掴み口へ。


「…………美味しい」

「だろう?」


 ゆっくりと咀嚼し、味を確かめ、美味しいと感じた轟龍は。

 ザーッと、袋を自分の口の上でひっくり返し、一口で残りを完食。

 モッキュモッキュと幸せそうに咀嚼し、


「お代わり」


 翠龍にお代わりを要求したが。


「ない」


 その一言で膝から崩れ落ちた轟龍は。

 もっと味わって食べればよかったと、心の底から後悔するのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ