第6話〜強さ〜
「・・・・・・。」
家を出てどれくらいたっただろう・・・。
「フォルカ〜大丈夫?」
エリアルの声が聞こえる、だけど・・・。
・・・疲れのせいか返事を返す気にもなれない。
「・・・休みますか?」
クラスが顔を覗き込んできた。
「だっ、大丈夫だよ・・・。」
フォルカはとびっきりの笑顔で答えた・・・つもりだった。
「そんな死にかけのウサギみたいな顔で言われても・・・ねぇクラス。」
「・・・全くです。」
エリアルは呆れて首を振り、クラスは同情の眼差しを向けていた。
「まさかここまで体力が無いなんて・・・予想外だわ。」
「・・・言い返す言葉もありません・・・。」
肩を上下させながら、フォルカは答えた。
「あぁ〜っもう!!これじゃあ技どころか素器の扱い方さえ教えられないじゃない〜〜!!!」
「・・・落ち着いて下さいエリアル。」
クラスがエリアルをなだめている。
しかし、気になる単語がでてきた。
「ねぇエリアル、素器って・・・なに?」
「えっ!?あんた知らないの?」
「あっ、・・・うん。」
「そこから説明しなきゃいけないの〜・・・めんどくさ〜。」
エリアルのヤル気が、完全に途切れたのがわかった。
「〜〜〜、クラス・・・あとお願い。」
「わかりました、ではフォルカ・・・説明させていただきます。・・・よろしいですか?」
「うんっ、お願い。」
クラスは深呼吸して、ゆっくりと口を開いた。
「フォルカは・・・スティアを知っていますか?」
「うん、この世界の空気中にある自然のエネルギーだよね。」
その通りですと、クラスは首を縦に振った。
「簡単に言いますと・・・素器とは、空気中のスティアに形を持たせる道具なのです。今はまだ武器としてしか使用されていませんが、いつかは日常生活に取り入れられるかもしれません。」
「・・・エリアルは僕に戦わせようとしているの?」
「はい・・・エリアルはそれを望んでいます。」
フォルカの表情が・・・曇った。
「無理だよ・・・クラスも知ってるだろ?僕の体力の無さを・・・。そんな僕に戦えなんて・・・。」
「フォルカ・・・。」
クラスの声が聞こえた。
声の方を見たら、クラスがこっちを見ていた。
「・・・クラス?」
「戦わなければ・・・やられますよ?」
「!!!」
思わない一言だった。
---戦わなければやられる---
全くもってその通りである。
「フォルカが戦いたくないのはわかります、ですが・・・私達の旅は危険と隣り合わせなんです。・・・出来ることなら守ってあげたいのですが、守り切れる保障はどこにもないんです。・・・だからエリアルは、貴方を死なせないためにも・・・。」
クラスのから告げられた、彼女の・・・エリアルの本心。
・・・なんだか、嬉しい。
そうだ、僕は自分からついて行きたいと言ったんだ。
なのに、守られているばかりじゃあ・・・駄目なんだ。
強く・・・なりたい。
兄さんのように・・・なりたい。
「・・・クラス。」
フォルカはゆっくりと口を開く。
「なんですか?」
クラスは答えた。
「素器を持っているなら、貸してくれないか?」
フォルカは真っ直ぐクラスを見る。
「・・・僕に戦い方を教えてほしい。」
その眼に迷いはなかった。
「・・・わかりました。」
クラスは縦に首を振った。