11.命拾い
リコちゃん気絶中。
どうしたもんかなー。
「また目覚めたら気絶しちゃうかも」
「そもそも、リコちゃんってなんでこんなに、勇者や魔王に怯えてるのかな?」
とアイさんが言う。確かに。
「いやそりゃ鞄の悪魔に神眼の大勇者、どっちも有名じゃん。残虐非道だって」
とヒキニートさん。
しっけーな。
「噂だけ聞いて、こんなに過剰に怯えるものかな?」
噂でしか聞いたこと無いものに対して、こんな気絶するなんてリアクション、アリエナイとおもう。
「昔何かあったのかもね」
ヒキニートさんの言葉に僕も同意する。
「何があったんだろう」
「さぁ、本人に聞かない限りはわからないんじゃあない?」
まあ、それもそうかぁ。
ちょっと気になったけどね。なんでそんな怯えるんだろうってさ。
「気になることがあるとき! そんなときは……神眼能力を使うといいよっ!」
と、アイさんが言う。
「神眼能力?」
「そう! けーすけくん今、あたしの神眼使えるでしょ?」
確かに。
「神眼には、相手の記憶を読む取る【記憶読取】って能力があるんだっ」
「記憶読取……」
「それ使えば相手の記憶をばばっとよみとって、リコちゃんの事情わかると思うよ!」
なるほどっ。
あ、でもー……。
「相手の記憶を、相手の了承もなく読むって、ちょっとまずいかも……」
「ええええ!?」
と、ヒキニートさんが急にびっくりしたように声を張り上げる。
「ど、どうしたんですか?」
「け、啓介君が……すっごくまともな発言してる!? あのサイコパスカバン悪魔が!?」
ほんと、しっけーなひとだなっ。もうっ。
「カバンにしまっちゃうよっ!」
「ひぃい! やっぱり鞄の悪魔ぁ……!」
まあアイさんの友達だから、そんなことしないけどね。命拾いしたねっ。