06.バケモノたちに怯える少女
半魔の少女を助けたぞ!
「い、命だけはどうか、おたすけをぉ~……」
ぷるぷるふるえる半魔ちゃん。
「大丈夫だよ、殺さないから」
「ほ、ほんとですかのっ?」
「うん、君から得られる経験値少なそうだし」
「け、けいけんち……?」
「うん。魔族は勇者にとって、強くなるための餌でしかないから」
「!? な、なるほど……魔族は悪魔にとって、贄……とぉ~……」
なんか微妙に話がかみ合ってないような……。
「わ、わらわを食べても美味しくありませぬ! 悪魔さま!」
え、悪魔?
「なにそれ?」
「鞄の魔神さまの別称でございます。悪魔、鬼畜、妖怪・くびおいてけ等など……」
僕そんな物騒なあだ名付いてるの!?
「心外だわー」
『本当じゃのぅ。ケースケは平和のために戦っておるのにのー』
「ねー」
僕らが話してると……。
「けーすけくーん!」
「アイさん、ヒキニートさんも」
二人がこっちにやってくる。
「大丈夫だった? 殺し過ぎてない?」
ヒキニートさんがそんな物騒なことを言う。
「殺してないよ。くびきって収納しただけだよ?」
「それを世間一般で殺すって言う意味なのわからないかなっ?」
「あはは、さっきの魔族は、僕の中で経験値として永遠に生き続けてるんで、死んでないですよぉ」
「こわっ! なんかもう、こわっ!」
そんな風に僕らが朗らかに話してると……。
「アイさん?」
アイさんは半魔ちゃんをじっと見つめてる。
「この子から……邪悪な魔族の気配を感じるよ!」
「あ、うん。半魔っていって魔族の血が半分……」
と、そのときである。
アイさんは凄まじく速く動いて、半魔ちゃんの後ろに回り込む。
トンッ……!
「あふん……」
どさり、と半魔ちゃんがその場に崩れ落ちる。
「な、なに……? その子、急に倒れたけど……? アイちゃんなにかしたでしょ?」
「「え、恐ろしく早い手刀しただけだよ?」」
「なんだよ恐ろしく早い手刀したって!?」
うふふ、とアイさんが笑う。
「けーすけくんは見えてたんだねっ」
「はいっ! 僕の目はアイさんと同じ目ですのでっ」
どれだけ早く動いても、僕の目はアイさんの動きをばっちりとらえれるんだっ。
「魔族は殺さないといけないから、殺そうって思って」
「ちょぉっと! アイちゃん待って!」
アイさんが倒れている半魔ちゃんにとどめを刺そうとするも、ヒキニートさんが止める。
「その子何か悪いことした!?」
「え、魔族って悪でしょ? なら殺さないと! 問答無用で!」
「いや怖いから! よく見てよ、その子まだ子供だよ?」
「? いずれ成長して立派な魔族となって、人間を殺し出すよ? なら早いうちに殺したほうがよくない?」
「思考がバーサーカーすぎるよ!」
そうかなぁ。
「アイさんの言ってることも理解できるなぁ」
『そうじゃよ、殺せ殺せ』
殺す賛成3,反対1。
「じゃ、始末するねっ!」
「だからちょっと待ってって! 話くらい聞いてあげようよ!」
「むう……せばっちゃんがそういうなら……」
ほぉ……とヒキニートさんが安堵の息をつく。
「良かったね、君、殺されないって。いったん……って、あれ?」
「…………」
半魔ちゃんからの返事がない。
「あれ? もしかして……殺しちゃった……?」
「あれれ、手刀一発で死んじゃうなんて、弱いなぁ」
「いやいや! 早く蘇生して早く!」
半魔ちゃんの魂が天へとのぼろうとしていたので、魔神のカバンの力で魂をすいよせ、肉体に戻してあげた。
「うひぃぃいいいいいいいいい! おたすけぇえええええええ! どうか命だけは、どうかぁあああああああああ!」
「まあ、そういう反応になるよね……わかるよ……」
ヒキニートさんが同情の言葉を掛けてあげてるのだった。
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