07.半魔を懐柔する
僕たちは謎の異世界に来てる。
半魔の子は、どうやらこの世界のことを知ってるっぽい。
「ねえ半魔ちゃん。あの……」
「ひぎぃいいいい! 命だけはぁあああああ!」
半魔ちゃんなんかちょーびびってる。
「どうしてだろうか?」
「どうしてだろうねー?」
と僕とアイさんは顔を見合わせて、首をかしげる。
赤ちゃんバージョン・ヒキニートさんがあきれた調子で言う。
「君ら……自分のしたこと忘れたの……?」
「「何かしたっけ?」」
「この無自覚モンスターめっ!」
酷い言い草だった。
「あの……」
「あひいいいいい!」
「その……」
「うひぃいいいいい!」
ううーん……駄目だ。全然話来てくれないや。
この世界のこと聞きたかったのに。
どうしたらいいかな……。
『ケースケよ……こんなときは、アレじゃ!』
子犬状態スペさんが、僕の頭の上で言う。
「あれって?」
ころん、と転がって、カバンの上に乗っかる。
たしたし、とスペさんがカバンを叩く。
『異世界の美味しい菓子パンを、食べさせるのじゃっ!』
なるほど。美味しいもの作戦か。
確かにこれ、結構いいかも。
美味しいものを食べると、警戒心が緩むもんねっ。
「さすがスペさん」
『じゃろ~♡ で、で、けーしゅけ~♡』
多分スペさんも菓子パン食べたかったんだろうなぁ。
「あとでね」
『おほ~♡』
ということで、僕はカバンの中に手を突っ込んで、菓子パンを取り出す。
「どうぞ」
「ふぇ……?」
僕は菓子パンを、半魔ちゃんに渡す。
「な、なんですか……これ……?」
「パンだよ。美味しいよ? どうぞ」
僕とパンとを、何度も見比べている。
「食べないの?」
「ひぃ! 食べます! 食べますので、食べないでっ!」
どういうことなの……?
「食べなきゃ君が食べるみたいに、脅されてるって思ってるんじゃない?」
と、ヒキニートさん。
失礼なっ。
食べないもん。
ぱりっ、と半魔ちゃんが袋を開ける。
チョココロネをしげしげ眺めて、ぱくっと食べる。
「!? こ、これは……! なんと甘い! しかもふわふわで、美味しいですっ!」
がつがつがつ、と半魔ちゃんが一気にパンをかき込んでいく。
「こんなふわっふわのパンが存在するだなんてっ!」
「気に入ってくれた?」
「は、はいっ!」
「もっと食べる?」
「い、いただきますっ!」
メロンパン、蒸しパンと取り出す。
半魔ちゃんはよっぽどお腹がすいていたのだろう、めっちゃガツガツ食べていた。
『ふ……わかるぞ半魔の娘よ。はふはふ……美味しいものな……むしゃむしゃ』
菓子パンを食べながら、にやりと、スペさんが笑うのだった。




