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【書籍化】カバンの勇者の異世界のんびり旅 ~実は「カバン」は何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せができるチート武器でした~  作者: 茨木野
第4部

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90/116

03.弱体化する勇者(例外あり)



 僕と恋人の神坂みさか愛さんは、旅を続けている。

 アイさんが別次元の世界を発見。そこに、スペさんの友達である、大魔王の気配を発見した!


 僕らは大魔王に会うため、別次元へと乗り込んだのだった!


「なんだか天気が悪いですねここ……」


 僕らの前に広がっているのは、不毛な荒野だ。

 草も木も生えていない、ひび割れた大地が、どこまでも広がっている。


 空は、真っ暗ってわけじゃない。どんよりとした曇り空。しかも日の光がしないんだよね。


『おほー♡ 心地よいのぅ、ここは~♡』


 僕の頭の上で、子犬姿のスペさんが、そんなことを言う。

 心地よい?


「アイさんはどう思う……って、アイさん!?!?!?!?!?!?!?」

「ほえ? どうしたの、けーすけくん……?」


 そんな……。

 アイさんが、アイさんが!


「ちっちゃくなっちゃった!?」


 そこに居たのは、外見が5歳くらいの可愛らしい女の子だ。

 でも顔はアイさんってわかる!


「あ、アイさん、体縮んでない!?」

「え? そう」

「うん、そう! はい!」


 僕はカバンの中から、鏡の勇者さんから借りてる、勇者の鏡を取り出す。

 アイさんは自分の姿を見て……。


「あはは! すっごーい! わたしちっちゃくなっちゃったー!」


 ケラケラとアイさんが笑っている。

 ええー……。


「いや、愛ちゃん。そこ笑うとこじゃないから……」


 僕のカバンの中から、ヒキニートさんが出てくる。

 本名はヘルメス・洗馬っていうらしい。アイさんの友達で、彼女も勇者……なんだけど。

「ヒキニートさんも、体ちっちゃくなってない?」

『というか赤子になっておるのぉ』


 そう……。

 ヒキニートさんってば、ちっちゃくなるどころのレベルじゃなかった。

 赤ちゃんになってた!


 赤ちゃんがしゃべるのって……なんか普通に怖い。ホラー。


「何引いてるのだよ……」

「いやなんか赤ちゃんがしゃべるのって変っていうか」

「君に変って言われるの凄い心外だな……」


 アイさんも、ヒキニートさんも縮んでいる。

 そのせいで、服がぶかぶかになっていた。僕はカバンから幼児用、子供用の服を取り寄せる。


  ややあって。


「多分だけど、勇者の力が制限されてるんだと思う」


 アイさんに抱っこされた状態で、ヒキニートさんが言う。

 うう、いいなぁ。アイさんに抱っこしてもらえて……。僕も……。


「話聞いてる!?」

「え、聞いてなかったです」

「失礼!!」

「で、力が制限って……どういうこと?」


 ヒキニートさんが周りを見渡す。


「ここ、勇者の力の根源たる、光の精霊がほぼいない。つーか、ゼロなんだ」

「力の根源……?」


「うん。ぼくら勇者は、光の精霊の力を借りて異次元のパワーを発揮してるんだ。でもこの世界には光の精霊がいない」

「なるほど……だから、パワー不足で、縮んでるってこと……?」


 でもなーんか違和感あるんだよね。

 精霊がいないだけで、縮むもの?


 そりゃ、パワーダウンするならわかるよ。でも体まで縮むのってなーんか変っていうか。

「せばっちゃんがあかっちゃんになってるのは?」

「あかっちゃんって……。まあぼくは元々の外見的年齢が低かったからかな」

「なるほど! おーよしよし、ママのおっぱい飲む?」

「わー! 服をめくるな! 淑女たれ! アイちゃん!」


 きゃっきゃ、と二人が楽しそうにしゃべっている。

 一方で僕は首をかしげる。


「おかしいなぁ」

「なにが?」

「だって、勇者は弱体化するってことなんでしょう?」


 僕は自分を指さす。


「僕は?」


 さっき勇者の鏡で見たところ、僕に外見の変化が見られなかった。

 アイさん、ヒキニートさんは縮んでいたのに。僕は向こうの世界での姿と、全く一緒なのだ。


「そりゃ、まあ……」

『そりゃ、のう……』


 スペさんとヒキニートさんがなんだか言いにくそうにしてる。

 むむ、なんだか仲間はずれされてる感があるぞっ。


「なんでなんで?」

「まあ端的に言えば、君がほら、勇者じゃないから」

「えー!? そんな! 僕はカバンの勇者だよ!?」


 ちゃんと異世界から召還されて、勇者の武器たる、聖武具をもらったじゃないか!


『いや、ケースケよ。おぬしはどちらかというと、我らと同族ぞ?』

「そう? スペさんと?」


 あ、ならいいかな。


「そのうち七大魔王あらため、八大魔王って呼ばれてもおかしくないね……」

「八大魔王かぁ……」


 なんかかっちょいー!

 大親友スペさんと同類項っていうのも、悪くないなぁ。


 あ、でもでも!

 オタクさんやアイさんたち、勇者じゃなくなるのは悲しいなぁ。


 うーん……。


「まあ、何はともあれ、ここだと勇者の力はだいぶ制限されちゃうようだね。啓介くん除くで」

「そっかぁ……あれ、じゃあ二人とも聖武具は使えないの?」


 ヒキニートさんは窓、アイさんは神眼。

 それぞれ聖武具を持っている。


「そうだね、ぼくの窓は使えないかな」


 とヒキニートさん。


「わたしは使えるよ!」

「なんでだよ!?」

「わからん!」


 確かに、アイさんの目が黄金の色をしている。


「神眼の能力……発動、とう!」


 ぴかー! とアイさんの目が輝く!

 ……。

 …………。

 ………………で?


「あわわ、光ることしかできないみたい!」

「良かった……アイちゃんも一応勇者だったんだね」

「うん!」


 ということは、この場で聖武具を使えるのは、僕だけってことかぁ。

 敵に襲われたら、どうしよう。やだなぁ。


「アイさん、危ないから、ヒキニートさんと一緒にカバンの中入ってて」


 僕のカバンの中は■庭(ハコニワ)っていって、異空間に繋がってる。

 その中なら敵から襲われることもなく安全だ。


 大好きなアイさんに怪我してほしくない。


「わたしも一緒についてくよっ。だって……わたし、君のカノジョだもんっ! 一人になんてしないよ!」

「あ、アイさん……!」


 なんて……けなげでいい人なんだ!

 アイさん……好き……!


『やけるのぅ~』


 スペさんが僕の肩の上でニヨニヨ笑う。これはからかってるときのスペさんスマイルだ!

 恥ずかしい……うう。


『ま、我もいるし、ケースケもおるからな。何かあっても大丈夫じゃろうて』

「大丈夫、僕がアイさんを守るから!」


 と、そのときだった。


『とか言っていたら敵が来たの。あれは……なんじゃ?』


 頭上から、なんだか変な魔物? らしき物が降りてきた。

 なんだろう、あれ。なんか……生き物っぽくない。


 メカ? そう、メカっぽい。

 ゾ●ド的な。鳥!


「ぼくの知識にも、あんな魔物みたことないね。そもそも魔物かわからないけど」

『しかし、我の魔力感知にはひっかかったぞ?』


 スペさんが魔力を感じ取れたってことは、あれはいちおう生物ってことか。


「迎撃します!」

「わたしもー!」

「え?」


 わたしも?

 アイさんは腰に手を当て、そして目の横でピースする。


「アイビーム!」

「『え?』」


 ビゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


 アイさんの目から、黄金のビームが出てきた!


『我の我ビームのパクリじゃあああああああああ!』

「わぁ! ほんとにビームでたぁ!」

『自分で出しておいて何驚いてるんじゃ!?』


 放たれたアイビームが、空を飛ぶメカ鳥の土手っ腹に穴を開ける!

 そして、爆発四散! 


 す、すご! アイさんやっぱ強いや!


「あうん……」


 アイさんがぺたん、とその場でしゃがみこんじゃう!


「大丈夫!?」

「うん、だいじょーぶ! でも結構魔力もってかれちゃったかも」


 アイさん、弱体化してても、一応目からビームで攻撃はできるみたい。

 でも、結構消費魔力量は多いと。


「だめだよ、無理しちゃ」

「えへへ! ごめんね! 君を守ろうとして、つい体が動いちゃってさ!」

「あ、アイさん……好き……」


 ちゅっちゅ、と僕らがちゅーする。

 一方でヒキニートさんが言う。


「しかし……なんだろうね、さっきのメカ鳥」

『知らん。メカじゃ食材にならぬし、きょーみないのじゃ』

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