閑話 高慢の魔王
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
《スペルヴィア視点》
我の名前は高慢の魔王スペルヴィア。
世界でただ一匹しかおらぬ、神狼。
世間からはSSS級モンスターだの、天災級だの化け物だのと呼ばれておったわ。
我の生まれは、蓬莱山と呼ばれる、仙境じゃ。(仙人しか入れない不思議な空間)
我を産んだのは、【魔法神ディアベール】。
魔法神は、この蓬莱山で一人暮らししとったらしい。
やがて、彼は晩年になって、自分の神の力を7つに切り分けた。
そこに自我が芽生え、我ら【七大魔王】が生まれたのじゃ。
七大魔王。
魔法神の力を受け継ぐ、七匹の化け物。
色欲、暴食、嫉妬。
強欲、怠惰、憤怒。
そして、高慢。
我らは魔法神のもとで、生まれ、そして一緒に暮らした。
魔王どもは全員、我の強いやつでな、毎日のように皆でケンカしとった。
我?
我はケンカなんてせぬかった。
痛いのは、嫌じゃからな。
まあそれはさておき。
七大魔王たちは、不思議と誰も魔法神の側を離れようとせんかった。
生みの親のことを好いておったのじゃろうな。
しかし魔法神はある日、老衰で死んでしまう。
魔法神の死亡とともに、蓬莱山は消滅。
残された我ら7匹の魔王たちは、それぞれ自分の道を歩むことにした。
我が望むものは、穏やかで静かな暮らし。それだけじゃった。
じゃが……。
周りの連中は、我を放ってはおかなかった。
この大きな体、鋭い爪と牙、そして魔力を常に放つこの白き毛皮。
その全てが、人間達から見れば、恐怖の対象だったらしい。
我はどこへ行っても、人間達から恐れられた。
そして、人間達は我を敵と見なしたのか、戦いを仕掛けてくるようになった。
我が必死になって逃げても、追いかけ回してくる。
なぜ追い回す? 恐いなら逃げればいいのに。
我は戦いたくないのに。
……後になってわかったことじゃが、どうやらこの魔力を放つ毛皮が、とても貴重なものらしい。
我は……逃げ続けた。
じゃが、逃げても逃げても人間どもは追いかけてくる。
誰ひとりとして傷つけたこともないし、まともに戦ったことなんてないのに……。
気付けば、我には【高慢の魔王】なんというあだ名がついておった。
『人間なんぞ、我が戦うに値しない、矮小なる存在だと見下してるんだ、あの魔王は』
……風の噂で、我をそう評価してるのを聞いたことがある。
なんじゃそれは、見下してなどおらんわ。
普通にこっちは恐くて逃げてるだけじゃ……!
我はずっと逃げ続けた。
やがて、年貢の納め時が来る。
我の前に、【彼女】が現れたのだ。
黄金の瞳を持ち、白銀の剣を携えた……女剣士。
神眼の大勇者【ミサカ・アイ】。
あの女は、不思議な眼力を持っておった。
我を外に出さぬ結界を張り、退路を塞いだ。
そして……襲ってきた。
とんでもない強さじゃった。
我は、逃げたかった。でも結界に行く手を阻まれ逃げられなかった。
降参じゃ、といっても、ミサカは襲ってきた。
……今にして思い返せば、ミサカは何か【事情】があるように思えた。
どこか、思い詰めた顔をしておったからな。
ともあれ、死にたくない我は、大勇者と死闘を繰り広げた。
そして長い長い戦いのあと……。
ミサカは、我をあと1歩で殺すところまできた。
やつが、剣を振り上げる。
……我は、泣いた。
……悲しかったのじゃ。
戦いなんて望んでないのに、誰にも迷惑をかけたくないのに、最強種として生まれたが故に……殺されてしまうなんて。
涙がこぼれたそのとき。
『う……あ……』
ミサカは、頭を抑え、うずくまった。
何かに苦しんでおるようじゃった。
ミサカは苦しみながら、我を殺すのではなく……絶対結界に閉じ込めた。
『なぜ殺さぬ……?』
『ごめん……なさい……』
それだけを言い残し、ミサカは立ち去った。
☆
それから、我は暗いダンジョンの底で、ひとり過ごしていた。
このダンジョンには誰も人が寄ってこなかった。
理由はわからんが、まあ、好都合じゃった。
これで、もう恐い思いをしなくていい。
我はもう、ここでひとりで、朽ち果てていい。
そう思った。
……そんなはずないのに。
ほんとはさみしかった。
誰かに、ぎゅっと抱きしめて欲しかった。
誰かと一緒に美味しいご飯を食べたかった。
でも……もうその望みは、敵わない。
ここで、永遠の孤独を、味わい続ける……。
そう思っていた。
そんな絶望の中……あの子が、我の前に来たのじゃ。
「あ、あわ……あわわわ……」
彼は子供じゃった。
我を見て、恐怖するでもなく……
「お、狼ぃー!?」
我は、驚いた。この恐ろしい姿を見て、その子は魔王ではなく、狼と言ってきたのだから。
『まあ、待て。人間よ』
「あ、はい」
「『え?』」
『え、おぬし? なぜ何もせぬのじゃ?』
「え、だって待ってって言うから……」
……おかしなやつじゃ、と思った。でも同時に、うれしかった。
我を恐れず、普通に、接してきたから。
……その後、彼は我を救ってくれた。
暗い地の底から、救い出してくれた。
なあ、ケースケよ。
おぬしは、知らないじゃろうな。おぬしと出会って、我の人生……いや、犬生が、180度変わったことに。
おぬしにギュッとしてもらえたこと、温かいご飯を作ったこと。
そして何より、普通に、友達と接してくれたこと。
おぬしが我にしてくれたことが、どれだけ、我の救いとなったか。
ケースケ、おぬしは我の命の恩人じゃ。
そして、大好きな人じゃ。
これからもずっと、我はおぬしのそばにおるぞ。
何があっても、おぬしの味方でおるからな。
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