24．バケモノの戦い、そして復活
魔族化したワルージョと、僕はタイマンでやることにした！
相手は黒い聖武具をたくさん所有してる。
それを、自分の背後から、まるで弾丸のように放ってきた！
すごい、英雄王です！
『死に晒しなさい！！！！！』
ズドドドドドドドドド！
照射された無数の黒い聖武具。
でも、僕の目がそれを全て捉えている。
「僕の目はミサカさん……神眼の大勇者の目だからね！」
全てを見切る神眼で、僕は聖武具の動きを全て把握する。
一直線に飛んでくる武器の群れを、僕は横に飛んでかわす。
このままカバンにしまっちゃおう……
『ケースケよ！ いかん、追いかけてくるぞ！』
なんと黒い聖武具、軌道を変えて飛んできたのだ。
『黒いオーラを浴びせた聖武具は、自在に操れるんですのよぉお！』
むぅ、厄介な。
カバンに収納しようとする。
『背後からも飛んでくるのじゃ！』
全方向から聖武具が飛んでくる。
自在に操れるっていうのは本当らしいね。
『串刺しになるがいいですわぁああああああ！』
聖武具が僕を取り囲む。
まるで黒い球体の中に閉じ込められてるようだ。
そして、武具の先端が僕に向いて、一気に襲いかかってくる。
ざしゅ！
『ぎゃははは！ 勝ったぁ！』
僕の体を、複数の聖武具が串刺しにしてる。
「啓介殿ぉ！」
「そんな、あの悪魔が！ やられるなんて！」
「やはり聖なる武具に、魔王は勝てなかったか！」
体を串刺しにされてる僕。
『ふぅ、あぶなかったぁ』
「「「『ええええええええええええええ！？』」」」
僕が顔を上げると、驚くみんな。
「啓介殿！？ 無事でござるか！」
「うん、大丈夫ですよオタクさん！」
ほぉ、と安堵の息を吐くオタクさん。
「け、けいすけくん、な、なんで生きてるの？」
「……そうだ、おまえは聖武具に体を滅多ざしにされてるのに！」
え？
『普通に幽体離脱してるからですけど？』
悪魔の左腕を発動。
自分の魂を、肉体から分離したのだ。
『魂が肉体から分離してるから、いくら串刺しにされても、へっちゃら！』
あとでルクスリアさんに壊れた体を治してもらえばいいもんね。
夜王薬箱はどんな傷も瞬時になおしてくれるからね。
「え、うそ……痛みを回避するために、自分の体から、自分の魂を抜いたのかい……？」
「……敵の攻撃が相手に当たるまで追尾してくると気づいて、即座に自分の体を犠牲にするとか。人間の戦い方じゃない」
「バケモノの戦い方だよね！」
あとで経験値もらっちゃうぞ？
「啓介殿……ほんとに大丈夫でござるか？」
オタクさんだけだよ、僕を心配してくれるのっ。
大好き～～～～～～～！
『大丈夫！ そして、魂だけになった状態でも……蠅王宝箱！』
カバンの口ががばっ！ と開く。
僕に刺さっている聖武具たちがカバンの中に吸い込まれていった。
自動追尾が解除されてるので、回収なんて楽勝だもんね！
『ルクスリアさん！』
『う、うん……元気になぁれ』
カバンからエロ天使お姉さんが出てきて、僕の体を修復。
僕は悪魔の左腕を解いて、肉体の中に戻ってきた。
「うん、よし！」
ノーダメージ！
『な、なんなのあなたぁ！？』
「僕は鞄の勇者、佐久平 啓介！ 好きなラノベは【デジマス】！」
『プロフィール聞いてんじゃないわよぉおおおおおおおおおおおお！』
え、じゃあ何聞いてたんだろう……？
『黒い聖武具の自動追尾を、自分の体を使って攻略とか、あり得ないでしょ！？』
「あり得ないなんてことは、あり得ないでしょ？ 現に目の前で起きてるんだし。現実見ないとね」
『ぐ、ぐぐぐぐ！ だ、だが！ 黒い聖武具はまだまだあるのよぉ！』
また背後にゲートがバビロンしてた（？）。
「もう二度目は通じないよ！ 狼王の暴食！！」
黒いカバンが巨大化。
それは大きな顎を持つ黒い獣へと変貌した。
黒獣ともいえる巨大なバケモノが空を駆ける。
「聖武具の連続射出攻撃、確かに強いよ。でも……射出しなかったらたいしたことない！」
黒いゲートが出現してる空間ごと、黒獣はバクンッ！ と食べてしまう。
『そんな……！ く、くそ！ ならこれはどう！？』
黒獣の四方八方から、黒いゲートが出現。
まーた全方位攻撃？ 芸の無い人だなぁ。
『死ねぇえええええええええええええええええ！』
パシシシシイィイイイイイイイイイイイイイイイン！
『なにいぃ！？ 黒い獣の体から、無数の黒い触手が生えて、聖武具をすべてつかんでいるですってぇ！？！？』
あの黒い獣は僕の高慢なる勇魔の鞄そのものだ。
全身から、蠅王宝箱を発動ができる。
『し、しかしバカな！？ だとしても、聖武具の動きすべてを捕捉することなんてできない！ 数は無数で、スピードは音速を超えてるのですわよ！？』
「え？ だから？」
だからなんだっていうんだろう。
「僕の目は神眼ですよ？ すべてを見切るこの目で、捉えられないものなんてないですよ」
いかに敵弾の数が無数であろうと、超高速で飛んでこようと、この目は敵の攻撃すべてを見切っている。
あとは、蠅王宝箱から触手を伸ばし、それを全部受けとめてあげれば良い。
『に、人間じゃない……』
「そうだ！ そこのバケモノは、ただのバケモノじゃないぞ！」
「……泣く子も黙るカバンの悪魔だぞ！ 恐れ入ったか！」
どうでもいいけど、なんでヒキニートさんたちって味方なんだよね？
もうちょっとさぁ、オタクさんみたいに僕のこと心配したり、応援したりしてくれないのかな？
まあいいけどね。
「じゃ、全部かいしゅうしまーす！」
手に入れた黒い聖武具を、黒獣がすべて吸い込んで、食べてしまった。
きゅぷっ、とげっぷしているのが愛らしい。
『うぐ、ぐ、くそおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！』
どうやらワルージョは手数で圧倒しようとしてるようだ。
黒いゲートからめちゃくちゃたくさんの聖武具を出してる。
でも、攻撃が単調すぎる。
さっきまでの全方位攻撃じゃなくて、一直線に飛ばしてきてるんだもん。
もう全部食っちゃえって言ってるようなもんだ。
ヒュゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ！
「……あんなにたくさん聖武具ってあったんだな」
「いや、レプリカも混じってるね」
「……レプリカ？」
「うん。オリジナルを魔法で複製してるみたい。でなければ、さすがに多すぎる」
吸い込みまくってるんだけど、全然、あの女諦めてくれない。
「啓介君！ 相手は聖武具を複製してる！ 吸い込んでるだけじゃ勝てないよ！」
もー、うざいなぁ。
僕は吸い込む作業で忙しいし、誰か、今の隙にワルージョを倒してくれないかなぁ。
と、そのときだった。
「任せて！ けーすけくんっ！」
……その声を、僕は知ってる。
若い女の子の声だ。
びきっ！
『なんですの！？ 空に、ひび割れが！？』
「空間を切り裂いたんだ！ あ、あれは……あの剣術は！ まさか……！」
ヒキニートさんが上空を見やる。
僕も……見た。
空が割れて、そこから……誰かがゆっくりと降りてくる。
綺麗な長い髪の毛。
抜群のプロポーション。
みずみずしい肌に、愛らしい瞳……。
彼女が目を開ける。
片目は黒だけど、もう片方は……太陽のような黄金の色をしてる。
『あ、あれは……神眼！？ まさか……あの女は……まさかああああああああああああああああああ！』
僕の前に、彼女が降り立つ。
空中に平然とたっている、彼女の名前は……。
「ミサカさん！」
神眼の大勇者・神坂愛さん。
「おまたせ！ けーすけくん！」
【★大切なお知らせ】
好評につき、連載版をスタートしました！
『【連載版】スキル【無】の俺が世界最強〜スキルの無い人間は不要と奈落に捨てられたが、実は【無】が無限に進化するSSS級スキルだと判明。俺をバカにした奴らが青ざめた顔で土下座してるけど、許すつもりはない』
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