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【書籍化】カバンの勇者の異世界のんびり旅 ~実は「カバン」は何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せができるチート武器でした~  作者: 茨木野
第3部

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23.激突! 勇者VS魔王



 ワルージョが反転魔族となってやってきた!

 しかもワルージョは聖武具を黒い聖武具に変え、自分のモノにするという能力があった!


 そのせいでヒャッハーさん、ガチムチさんは自分の聖武具を失ってしまったのだった。


「これじゃ……下手に手出しできないね」


 ヒキニートさん(ヘルメスさんの体を借りてる)が額に汗をかきながら言う。


「勇者の力は聖武具に依存してる部分が多い」ちらっ。


 ……ん?

 ヒキニートさん、なんかこっち見てる。


「……確かに。おれも今は魔族の体になっているが、強さの源はこの槍だ」ちらっ。


 んん?

 シズカさんもこっち見てくる。


「勇者がワルージョと戦うと聖武具をうばわれる。こちらはパワーダウン、向こうはパワーアップしてしまう」ちらちら。

「……今回、勇者は戦わない方が良い」ちらちら。

「ああ、勇者は戦っちゃ駄目だ」ちちらちらちら。


 なるほど。


「じゃあ僕も戦っちゃ駄目ってことですね」

「「どうしてそうなる!?」」


 え、なんで驚いてるのこの人ら……?


「こんなときこそ、君の出番でしょうが!?」

「……そうだ。なんのためにおまえはこのパーティに参加してる!?」


 なんのためにって……。


「いや、オタクさんと冒険したいからに決まってるじゃないですか」


 他に何が?

 別に僕誰かとパーティ組まなくてもいいし。

 今回はオタクさんがいたからね。


「啓介殿」


 オタクさんが膝をついて、僕に頭を下げる。

 ええ!?


「ど、どうしたのっ?」

「すみませぬ。どうやら、ワルージョを倒せるのは啓介殿だけのようでござる」


「僕だけ? どういうこと? 皆でたこ殴りにすればいいのに」


 ヒキニートさんたちがドン引きして言う。


「え? もしかして気づいてない……?」

「……本物のバケモノは、自分がバケモノって気づいてないようだな」


 失礼だなぁ~。


「啓介殿の聖武具は勇魔の鞄。それには勇者だけじゃない、魔の力もこもってるでござる。それゆえ、おそらくワルージョの支配を受け付けないかと」


 なるほど。

 確かにスペさんが合体した姿、高慢なる勇魔の鞄(プライド・バッグ)になると、僕のカバンは黒く染まる。


 黒くする力は、通じないかもしれないってことか。


「我らでは歯が立ちません。どうか、力をお貸しください」


 オタクさんが……僕を頼ってくれてる!

 大好きな、大親友が……!


「もちろんです! よーし! 任せて! ちょちょいのちょいで、首ちょんしてきますので!」


 うぉー! やる気~!

 

「オタク君、君が救世主だ」

「……やはりあのバケモノを唯一制御できるオタク様がキーマンだったな」


 ということで、僕はひとり、ワルージョの下へ向かう!

 っていうか、あれ?


「ワルージョ、なんで僕らがぐだぐだ話してる間、襲ってこなかったの?」


 すると……。


『ケースケよ』

「わ! スペさん、いつの間にフェンリル姿に……?」


 でっかいわんこ姿のスペさんがたっていた。


『話し合いはすんだかの?』

「うん。どうしたスペさん、そんな姿になって」


 ぽんっ、とスペさんが子犬姿に戻る。

 するとワルージョがにやりと笑う。


『そこのフェンリルに【獣咆哮バインド・ボイス】っていうスキルで、身動きを取れなくされてたんですわ』


 なんと!


「スペさん……僕らのために、足止めしてくれてたんだ!」


 全然気づかなかったや!

 なんか、ずっとしゃべってないなぁって。


「ごめんね」

『くく……気にするな。助け合うのが友であろう?』

「スペさん……!」


 なんていい人……いや、いい魔王なんだ!

 僕はスペさんの頭をよしよしする。あとでいっぱい、美味しいもの、取り寄せてあげよう!


「ワルージョ。僕が相手だ!」

『へえ、鞄の勇者様がお一人で相手になるんですのぉ?』


「そうだ!」

『くく……ずいぶんと余裕ですねえ』


 にちゃああ……とワルージョが笑う。


『でもいいのぉ? 私に触れると聖武具は黒い聖武具になってしまうんですよぉ?』

「だからなんだ、やれるもんならやってみろ!」

『それじゃ……お言葉に甘えて……!』


 たんっ! とワルージョが飛び出してきた。


 スペさんと僕の聖武具が合体して、高慢なる勇魔の鞄(プライド・バッグ)へと変化する。


『もらったわぁあああああああああああああああ!』


 ワルージョが腕を伸ばし、僕のカバンに触る。

 ズズズズズ……!


 ワルージョの黒いオーラがカバンを蝕んでいく……!

 パァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


「「やったか!?」」


 と、ヒキニートさんとシズカさん。


『ウギャァアアアアアアアアアアアアアアア! 腕がぁああああああ! 私の腕がぁああああああああああああああ!』

「「ワルージョの腕が吹き飛んだ……!?」」


 僕のカバンを持っていた、ワルージョの腕が吹っ飛んだのである。


「……どういうことだ、ヒキニート!?」

「多分啓介君のカバンの力が強すぎて、ワルージョでは支配できなかったんだ!」


「……なんてことだ……やつの力は魔族を凌駕してるというのか!」

「ああ、三人分の大魔王の力があのカバンにはこもってるからね。ワルージョでは太刀打ちできなかったということさ!」

「……く! ばけものめ!」


 どうでもいいけど勇者きみたちって僕の味方じゃなかったっけ?

 なんでそんな敵側視点で僕を見てるの?


『あ、あり得ませんわ……』

「えと、もう終わり?」


 またまともな戦闘が起きなかった。

 なんでか、僕ってあんまりこっちで、ザ・バトル! みたいなの起きないんだよねえ。

(※↑啓介が規格外に強すぎるからです)


 せっかくオタクさんが見てくれてるから、僕もかっこよくバトルしたいのに!

 

『ま、まだよぉお! まだ、終わりじゃないわぁ!』


 ずずぅ! とワルージョに腕が生える。

 そして、ばっ、と手を広げる。


 ワルージョの体から黒いオーラが噴出。

 オーラの向こうから出てきたのは……。


「聖武具!? しかも……あんな大量に!?」

「……ワルージョのやつ、今まで召喚し、始末した勇者の聖武具を隠し持っていやがったのか!」


 ワルージョの背後に無数の黒い聖武具が浮かんでいる!

 なんてことだ……!


『この大量の聖武具を前に、絶望……』

「経験値いっぱーい!」


 カバンはレアなモノを入れれば、たくさん経験値が手に入る。

 あの黒い聖武具、ぜーんぶ僕のカバンに入れたら……。


 ミサカさん、帰ってきてくれるかも!


『ふふふ……ケースケよ。大丈夫じゃ。もう経験値は稼がずとも』

「え? それってどういう……?」


 僕がスペさんと話してると、ワルージョが言う。


『くたばれ魔王ぅううううううううううううううううううう! 我が聖武具で、貴様を滅ぼしてやりますわぁああああああああああああ!』


 ワルージョが吠える。

 いやもうそっちどうでもいいんですけど。今のスペさんの発言気になるんですけど。


「すごい、なんか聖武具使ってるワルージョが勇者で、悪い大魔王に立ち向かってるみたいだ!」

「……大魔王っていうか魔神だな」


「ぼくらはどちらを応援すれば良いんだろ?」

「……啓介が勝っても、バケモノが野に放たれることは確定してるし……」


「「うーん」」


 だから、君らどっちの味方なの?

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― 新着の感想 ―
[一言] >『ふふふ……ケースケよ。大丈夫じゃ。もう経験値は稼がずとも』 前回、解呪が最終段階に入ったみたいに書かれてましたなそういえば。 >いやもうそっちどうでもいいんですけど。今のスペさんの発言…
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