22.反転魔族ワルージョ
僕らの前に、反転魔族になったワルージョが現れた!
「あれなら経験値とっていいよねっ!」
「啓介君。首とることで興奮を覚えてる……こわぁ……」「……首狩りすぎておかしくなってしまったんだろうな」
ヒキニートさんとシズカさんがなんか言ってるけど、無視!
だって目の前に特大の経験値があるんだよ?
なら取らないとね!
僕が動き出す前に……。
「ひゃっはー! ワルージョぉ! てめえは許さねえ……!」
「むぅううん! よくも我らの純情をもてあそんだなぁ……!」
銃と鞭の勇者さんたちがぶち切れてる。
まあそりゃそうか、ワルージョに操られてたんだもんね。好きでもないワルージョのことを好きになるようにさせられてたら、そりゃ怒るよ。
『なーんだもうおまえたち、私の支配がとけちゃったのねえ……!』
ワルージョはにんまりと笑っている。
え、なんで笑ってんだろう。だってこいつ、自分が悪いことしてたってことがバレたんだよね?
普通ちょっと申し訳ないとか、まずい! とか、そういうリアクションするはずなのに。
『まあ、もうどうでもいいわぁ~。もうあなたたち要らないしぃ』
「要らない……? どういうことでござるかっ!」
オタクさんの問いかけに、ワルージョが答える。
『だぁって、こいつら負けたんでしょぉ?』
こいつらには、僕らを殺せって命令がインプットされていた。
僕らが生きて、しかもガチムチさんたちが生きてるってことは、つまり敗北し支配を解かれた。とワルージョは判断したんだろう。
『負け犬なんて私の駒には必要ないのよぉ~ん!』
「駒……駒とはなんでござるか! 彼らは人、勇者でござる! 弱者を守る正義の存在! 彼らを悪行のための駒として使っていたことも許せないのに! 駒としか見てないなんて……!」
オタクさんが義憤にかられてるっ。
か、かっこいい!
「オタク君が一番主人公してるよね」
「……どっかの首狩り悪魔と違ってな」
しゃらっぷ二人とも!
今いいシーンなんだからっ。
『利用できる物を利用して、なーにが悪いのですぅ? というかぁ、人間を超えた力を持つ勇者のくせに、あっさり駒として利用されちゃった、そいつらがお馬鹿さんなのでは~?』
まあ僕も正直同意見だよ。
聖武具はめちゃくちゃすごい武器だ。
こんなか弱い僕でさえ、魔物と戦う力を授けてくれる。
そんな強い力を持ってるくせに、シズカさんたちは女に騙されて、利用されてしまったのだ。
まあ騙した側もよくないと思うけど、自分たちを平然と拉致するような女にあっさり心を開いてるほうも、悪いと思う。
『それに~。騙したことを非難してるようですけどねぇ! あなた方を拉致するような女に、あっさり騙されてるほうがわるいんですわぁ!!』
わー、意見がかぶっちゃった。全然うれしくない。
「黙れ! ワルージョ! おまえは間違っているでござる!」
オタクさんがそう言ったので、
「そうだ! ワルージョ、おまえは間違ってる……!」
と僕もそう思いますってことにする!
ヒキニートさんとシズカさんに白い目で見られた。なんだよぅ。
「……ほんと啓介って、ギリギリのところで正義側にたってるよな」
「正直彼が勇者であるの、ほんと疑問なんだけどねぼくは」
もー!
「うるさいですよ! 真面目な話してる最中に茶々入れて。良い子にしてないと、経験値にしちゃいますよ!」
「「こわ……」」
どこが怖いんだろう。
経験値にされても、良い子にすればすぐに復活させてあげるのに。
話が脱線しちゃったや。
『私は悪いとは思ってませんわ。私は正しい! すべて正しい!』
ワルージョがそんな態度を取ってるもんだから、ヒャッハーさんたちぶち切れてしまう。
「殺す!」
「むぅん! ぶち殺してやるぅうう!」
ヒャッハーさんは二丁拳銃をぬき、ガチムチさんは鞭を振り回す。
ズガガガガンッ!
スパァアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!
二人の勇者がワルージョに攻撃を加えた。
だが……。
『弱い弱い、弱すぎますわぁあああああああああ!』
ワルージョの右手にはガチムチさんの手が握られている。
左手を開くと、ぽろぽろ……と弾丸が落ちた。
「……勇者の攻撃を完全に見切ってやがる」
「すごい……あの女、かなり強化されてるね……」
ヒキニートさんたちが驚いてる。
え? 何驚いてるんだろう……?
「あんなひょろい鞭と、遅い弾丸なんて、普通に手で受けとめられますよね?」
「「黙れ、妖怪」」
むぅ、僕は妖怪じゃないもんっ。
ひどいなぁ。経験値にしちゃうぞ?
『良い機会です。見せてあげましょう。本物の、【力】というものをぉ!』
ワルージョの体から黒いオーラがズズズ……と湧き上がる。
黒いオーラが彼女の体を通して、鞭に伝わっていく。
「!? わ、我が輩の勇者の鞭が、黒く染まっていく!?」
「! ムッチくん! 手を離すんだ! 今すぐ!」
ムッチくんが慌てて手を離す。
ガチムチさんの鞭が完全に真っ黒に染まってしまった。
あれ?
もしかして……。
「黒い聖武具! まさか……ワルージョ、今の君は……聖武具を黒い聖武具に変えられるのか!?」
ヒキニートさんが驚いている。
黒い聖武具ってあの剣の人が持っていたあれか。
黒い聖武具となった鞭をワルージョが持つ。
「百烈鞭!」
すさまじい勢いで鞭が振るわれる。
ガチムチさんの技だ!
僕らは攻撃を回避する。
「くそ! ワルージョは触れると聖武具を、黒い聖武具にして、我が物にしてしまうようだ!」
「……そんな。じゃあ、聖武具で攻撃できないじゃないか……!」
確かに、聖武具で攻撃したらワルージョのになっちゃうもんね。
「拙者に任せてほしいでござる! 弓なら……」
「だ、駄目でっせ弓の勇者さん! お、おれっさまの銃が! 奪われてしまいました!」
ワルージョの隣に、ヒャッハーさんの銃が浮かんでいる。
遠距離で攻撃しても、ワルージョのものになってしまうのか……!
「くそ……ワルージョ強すぎる! どうやってたおせばいいんだ!」
ヒキニートさんが額に汗をかいている。
うーん、めんどくさそうな敵だなぁ。
どうやって倒そう。
『久遠封縛の呪いが解けるまで、あと10分です』
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