04.露天風呂さえ取り寄せちゃう
57.
ミサカさんの友達、ヒキニートさんのところへやってきた僕とオタクさん。
「セーバー殿、そろそろ我らをここへ招いた、理由を教えてほしいでござるよ」
宴が終わったあと、オタクさんがセーバーさん(ロリエルフ)に尋ねる。
が……。
「くぅ~……むにゃぁ~……もうたべられにゃーい……」
こ、このロリヒキニート……寝てる!
おなかを出して……寝てるー!
「すみません、皆さん……」
「ヘルメスさん!」
セーバーさんの使い魔、メイドのヘルメスさん。
ヘルメスさんがセーバーさんのおなかに、毛布を掛けてあげる。
「どうやらマスターは、満腹で眠くなってしまわれたようです」
『おなかがいっぱいになって寝るなんてとか……赤ちゃんみたいだのぅ! のうケースケっ!』
スペさん……君も結構やるよ?
おなかいっぱい、からのぐーすか寝るやつ。
まあでも今言うととても恥ずかしい思いするだろうからなぁ。黙っとこ。
僕は友達を思える、優しい男なんだぜ?
(※↑なお魔族は経験値にする模様です)
「てか……寝る前にお風呂入らないとじゃないですか? ポテチの油とかで、手とか口周りとか汚れてますし」
「うー……あー……【清拭】ぃ~……」
瞬間、ぱぁ……! とセーバーさんの体が光る。
手や口についた油が、一瞬で消えた。
「わ、なんですかこれ?」
「これは【清拭】という魔法です。体の汚れを一瞬で綺麗にする魔法」
おお、すごぉい!
便利だなぁ、その魔法!
「さすがエルフ。魔法得意なんですね。ロリっこだけど」
見た目10にも届かない、幼女エルフだけど、中身は凄腕の魔法使いみたいだ。
そりゃまあ、ミサカさんの仲間だもんね。
すごい魔法使いに決まってる!
「清拭なんて便利魔法があれば、風呂いらずでござるなぁ」
「ええ、ですが……マスターはほんとうはお風呂大好きなんです」
はえ、そうなんだ……。
「でもじゃあなんで風呂入らないの?」
「味気ない、とおっしゃってました」
「味気ない?」
「はい、マスターは温泉が、特に露天風呂が好きなのです」
「温泉……ふぅん……」
意外や意外。
てっきりヒキニートさん、ヒキニートだから、お風呂も嫌いかと思ってたんだけど。
温泉は好きなんだねえ。
「温泉ってこっちの世界にないの?」
「あります。が、マスターは【一身上の理由で】外に出れないので」
あ、出たそれ。
この人どうして、外に出れないんだろう……?
教えてほしかったのに、寝ちゃうし……。はぁ……。
「室内で温泉なんて無理でござるしなぁ~……」
「いちおう、シャワールームはあります。お二人はそちらをお使いください」
シャワーはあるんだ。
ヘルメスさんが使ってるのかな?
セーバーさんは使わなさそう。清拭があるし。
しかし……ふぅん、露天風呂かぁ。
「ヒキニートさん、露天風呂……入りたいのかな?」
「そうですね……かなり入りたいかと」
……ヒキニートさんが他人だったら、そっかぁ、で終わるところの話だった。
でもこのロリエルフは、ミサカさんの友達で、元仲間。
あんまりないがしろにしたくなかった。
あとで、ミサカさんに嫌われたくないし……。
だから、まあ。
「露天風呂……入れてあげようかな。起きたときにあったら、喜ぶでしょ」
「啓介殿……さすがに、露天風呂は無理でござらんか……? コンビニ飯はまだしも」
そうかな?
どうだろう。
いや……行ける気がするぞ……!
「やってみよう!」
だめでもまあ別に、上手くいかなくてもいいかな。
『頑張ったけど無理だったっていう姿勢が、大事だって』姉ちゃんも言っていたし。
『なんじゃ、ケースケっ? またなにか楽しいことをするのかぁ~?』
スペさんがぴょんっ、と僕の頭に乗って、てしてしと顔をたたく。やめれ。
「露天風呂……作っちゃいます!」
『風呂を作る? 魔法で作るのかの? 水と火の魔法で』
「ふふふ……スペさん。それはただのお湯ですよ。僕が作るのは温泉……!」
『ほぅ……どうするのじゃ? ケースケよ』
考えてみれば、そんなに難しいことではない。
ゼロから作る必要はないんだ。
「取り寄せカバン! 発動!」
取り寄せカバンスキル。
地球にあるモノを、こちらに取り寄せるスキルだ。
僕はカバンの蓋をがばっ、と開けておく。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!!!
「啓介殿のカバンが振動しだした! 何か出てくる……こ、これは……!? 危ない、ヘルメス殿! セーバー殿!」
僕の前に立っていたオタクさんが、ヘルメスさんを突き飛ばし、床に転がる。
ドバァ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!
『ケースケのカバンから、水がすごい勢いで出てきたのじゃ!』
水?
ふふふ、違う違う……!
これは……。
「ごぼぼぼぼぼおぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
カバンから噴出した大量の【お湯】を、ヒキニートさんが顔面からもろに受けていた。
ヒキニートさんは目を覚ますと、体をその場に伏せて、水流から脱出する。
「ぶはっ! 死ぬわ……!」
「生きてるじゃないですか」
「ぐぬ……まあそうだけどっ。てかこれ、まさか、これ!」
ヒキニートさんは気づいたようだ。
「そう、温泉の源泉を、地球から取り寄せました!」
ふろむ、箱根!
カバンの蓋をいったん閉める。
「あーあ……ぐしょぬれ……」
床に散らばっていた書類やらゴミやらが、温泉のお湯でぐしょぐしょにぬれていた。
ヘルメスさんがすかさず片付けようとする。
「大丈夫! 蠅王宝箱!」
カバンの蓋を開ける。
ゴォオオオオオオオオオオオオオオオ!
「ぎゃひー! 吸い込まれ……ない?」
「水分だけを収納します!」
「! そ、そんな器用な真似が……できるのかい?」
「できるようになりました!」
床や本の水分だけを、蠅王宝箱で吸い込む。
そうすることで、書類や本などは元通りになっていたし、床もぬれてない状態に!
「すごいでござる啓介殿! これがあれば、乾燥機いらずでござる~!」
オタクさんがほめてくれる~。うれし~!
「あのさぁ……できればぼくの水分も、吸ってほしいんだけどぉ……」
ロリエルフことヒキニートさんが言う。
彼女の長い髪、そしてダボダボのシャツが、びしょ濡れになっていた。
「ついでですから、温泉に入っていったらどうでしょう?」
「はぁ? どこにあるの、温泉? まさかさっきの水流?」
「いえいえ。僕に考えが……あります!」
アイハブ、あいでぃーあ!
ややあって。
僕らは■庭の中にいた!
「すごいです、ケースケ様……カバンの中のはずなのに、空がある。まるで、外にいるみたいです……!」
■庭。勇魔の鞄がもつ、空間構築スキルだ。
カバンの中に異空間を作り、そこで生活できるってもの。
「カバンの中に、こんな立派な2階建てハウスがあるなんて!」
と、ヒキニートさんが驚いてる。
ちなみに、前に来たときは、1階建てのぼろ小屋だった。
でもスキルの熟練度を上げたおかげか、■庭のなかの様子も変わっていた。
ぼろ小屋から、2階建てのハウスに。
そして……家には庭があった。
セーバーさんに協力してもらい、魔法で湯船を作る。
「あとは……温泉を取り寄せる!」
■庭内で取り寄せカバンを発動させる。
すると、空間から、さっきやったみたいに、結構な量のお湯が流れ出てきた。
ドドドドドドドッ……!
「露天風呂だぁ! うひょひょぉ~~~~~~~~~~!」
ヒキニートさんは服を脱いですっぽんぽんになると、だいぶ!
ばしゃーん!
「ふぅうううううううううううううううう♡ きもちぃええええ~………………ごくらくやぁ~………………♡」
ヒキニートさん、露天風呂に入り……とろけた表情になる。
「まさか……うぐ……ぐす……箱根の温泉に……入れる日が来るなんてぇ~……♡ ふわぁああ……♡」
泣きながら気持ちよくなっていた。
なんか感情の起伏が激しい人だ。
まあでも、ミサカさんの友達を、喜ばせることが出来てよかった。
ミサカさんも喜んでくれるだろうなぁ。
と、そのときだった。
「お、おお、おぉおおおおおおお!?」
「え? なに……?」
「な、なんか体が……へん……くっ、はぁあああああああん!」
ヒキニートさんが気色の悪い声をあげる。
(※↑ヘルメス・洗馬は女子です)
ヒキニートさんの体が……。
「「体が、光ってる!?」」
僕もオタクさんも驚く中、ヒキニートさんが黄金に輝きだした!
「え、なにこの光……?」
『ふむ……これは進化の光じゃ!』
頭の上……じゃなくて、湯船に浸かっているスペさんが言う(いつの間に湯船に……)。
「進化の光って?」
『魔物が進化する際に発する光のことじゃ!』
「進化……って、え? まさか……ヒキニートさんが!?」
ヒキニートが進化して、ニートになる、とかっ?
光が収まると……。
「んん……なんか、目線が高いなぁ……って、どうしたの二人とも?」
「あわわ……」「はわわあ……」
僕とオタクさんは、思わず顔を背けた!
「え? なに? 何照れてるの二人とも……?」
「ま、前かくしてください! 乳房が……たゆんたゆんすぎます!」
「はぁ……乳房が……って、えええええええええええええええええええ!?」
遅まきながら、ヒキニートさんが驚く。
無理もない。だって……ヒキニートさんは、ロリエルフだったのに……。
「なにこの、爆乳美女ぉおおおおおおおおおおおおお!?」
そう、ロリエルフから、大人のエルフに進化していたのだ!
しかも……おっぱいおっきぃ!
スペさんのダンジョンで出会ったエルフ、エルシィさんみたいに!
「そうだ……この現象、見たことあるぞっ。エルシィさんも、なんか進化してた!」
「なんと! そんなことが起きてるのでござるか!?」
オタクさんに説明する。
「うん。なんか、エルフは魔力をたくさん吸収すると、進化するとか……」
オクタさんが首をかしげている。
正直僕もロジックは理解してない!
「エルフ等亜人は、どちらかというと魔物に近いんだ。だから、魔物と同様、魔力を一気にたくさん吸収すると、進化するのさ」
まっぱの爆乳エルフが、なんか冷静に分析してる!
「なるほど、この温泉のお湯は地球から取り寄せカバンEXで取り寄せたモノ。このスキルには転生者特典が付与される。よって、ただの温泉が、進化する温泉、へと進化したってことか……」
「やめてよ、隠してよ前ぇ!」
女友達の裸みたとかいったら……ミサカさんに悪いよぉ!
エッチマンって言われちゃう!
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少しでも、
「面白そう!」
「続きが気になる!」
「ケースケやっぱやべぇ!」
と思っていただけましたら、
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