01.成層圏まで、ひとっ飛びする
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
僕の名前は佐久平 啓介!
高校入学を目前に控えたある日、僕は異世界に召喚される。
しかし、勇者の固有武器、聖武具がカバンだったため、外れだと思われダンジョンに廃棄!
そこから、僕はダンジョンを出る過程で、大魔王スペルヴィアさんと、大勇者ミサカ・アイさんと出会う。
ミサカさんは僕と同じ元地球人の転生者。
しかも呪いにかかっていた。
不憫に思った僕は、ミサカさんの呪いを解くと決意。
ダンジョンを出た僕は、あちこちに出向き、呪い解除のため聖武具のレベル上げをしていく……。
前回は妖精郷って場所で、経験値どもをたくさん倒し、さらに七大魔王のひとり、色欲の魔王ルクスリアさんと契約!
ミサカさんの呪いを1つ解除することに成功。
そして次なる目的地は……僕と同じ地球人、ヒキニートことヘルメスさんのすみか。
どうやら僕と、同じく召喚勇者であり友達の、オタクさんに用事があるらしい。
はてさて。
ヒキニートさんは、僕らにどんな用事があるんだろうか……?
★
暗黒竜ジャガーノートさんの背に乗って飛ぶこと、しばし。
海のど真ん中に、小島を発見。
『あそこっす。あそこにセーバーさんがいるっす』
ジャガーさんが小島を見ながら言う。
そんなに大きくない島……だけど。
「なに、あの……空に伸びてる、おっきな……棒?」
小島から上にまっすぐ伸びる、なにか棒のようなものが見えてきた。
隣に座る、イケメン……オタクさん(昔は太っててめがねをかけてたけど、いろいろ苦労があって今はイケメンになってる)が目を細める。
「やや! あれは……塔ですぞ!」
「塔……? よくわかりますね」
「弓の勇者のスキルでござる。視力を強化できるのでござるよ!」
「おお! すっごーい! かっこいい!」
スナイパーだ!
わ……かっこいいなぁ、すごいなぁ!
ジャガーさんは小島に上陸。
そして、僕の目の前には、仰ぎ見るほどの巨大な塔があった。
「でっかいですねー」
『これケースケよ』
足下から、女性の声がする。
白い子犬がいた。
この人は犬に見えるけど、その実、フェンリルという伝説の獣。
そしてその正体は、七大魔王が一人、高慢の魔王スペルヴィアさんだ。
スペさんとはマブダチで、いろいろあって、僕と一緒に旅をしてる。
『我が落っこちちゃったじゃないかっ』
スペさんは僕の頭の上に乗っかっていた。
僕が上を見たから、ころんと落ちてしまったのだろう。
「ごめんねスペさん」
『くくく、我は大魔王。我に許しを請いたいならば、相応の供物を捧げてもらわねばのぅ……』
ちょっと偉そうにしてるスペさん。
でもわかってる。これはおねだりだ。
「もー、しょうがないなぁスペさんはぁ」
僕は自分が肩からかけてるカバンに、手を突っ込む。
これはただのカバンではない。
聖武具。
勇者がこちらの世界に来るときに、天から与えられる、特別な武器。
このカバンは、最初【勇者の鞄】という名前だった。
でも今はいろいろあって、【高慢なる勇魔の鞄】って名前になっている。
カバンに手を突っ込んで……僕はそれを取り出す。
「じゃーん、チョココロネ~」
勇魔の鞄のスキルのひとつ、【取り寄せバッグ】。
お金を支払うことで、向こう……つまり、地球のアイテムを取り寄せることが可能となる。
僕が取り出したのは、1個100円ちょいの、やっすいチョココロネだ。
けど……。
『おほぉ~~~~~~~~~~~~~~~~~~♡ うまそうな菓子パンぅううううううううううううううううううううう!』
ぴょんぴょんぴょんっ、と足下でスペさんがジャンプする。
はっぴーはっぴーな猫さんみたいな動きしてて、可愛い。
『くれ! くれ! くれぇい!』
「くれぇ? ちょっと頼み方がなってないなぁ」
『ああん! ケースケのいけずぅ』
「うそうそ。はいどうぞ」
僕はしゃがみ込んで、チョココロネを渡す。
スペさんは両手でつかみ、はぐはぐと食べる。
『うまぁあああああああああああい! チョココロネうまぁああああああい! チョコとこの甘いパンの絶妙なハーモニー! あまりの甘さに、脳が! 溶けりゅぅううううううううううう♡』
スペさんは今日も食いしん坊なのであった。
で……だ。
「杖の勇者殿。これからどうすればよいのでござるか?」
オタクさんがそう言う。
「杖の……勇者……? オタクさん、誰のこと?」
『ぼくだよ! ぼく! 杖の勇者! ヘルメス・セーバー!』
「ああ、ヒキニートさんのことか」
『ぼくいちおうすごい人物なんだよ!?』
自分ですごいとか言っちゃってるしぃ~。
あんまりすごい人って感じないんだよなぁ。
『くっ……まあいいや。君たちにはぼくの下に来てもらいたいんだよ』
「え、そっちが来てくださいよ」
用事があるのはそっちなんだからさ。
「ケースケ殿、セーバー殿は外に出れない理由があるのでござろう。外に出れるなら、我らを呼び出さないでござるよ」
「そっかー! じゃあしょうがないですね!」
オタクさんがそう言うんじゃね!
『弓の言うことはきくのに、どうして杖の言うことは聞いてくれないんだろ……』
『当然じゃろ。ケースケにとって、オタクは大事な友達じゃからな。ま! 我もその大事な友達カテゴリーに入ってるがの!』
友達マウントとってるスペさんだった。
かわいい。
「じゃあ、この塔を上るんですね」
『あ、いや……』
「僕ちょっと上の様子見てきますね」
「『え!?』」
はやく用事済ませて、旅を再開したいもんね。
僕は、ミサカさんの呪いを解くっていう目的がある。
ヒキニートさんのとこにきたのは、寄り道もいいところなのだ。
だから、さっさと用事を済ませたい!
「あ、あの……ケースケ殿。今、セーバー殿がなにか……」
「蠅王宝箱!」
僕は勇魔の鞄のスキル、蠅王宝箱を発動。
『無生物を吸い込むスキルを使って……いったい何するんだい……? って、え? 風が……吹いてる……?』
ひゅごぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
『星のピンクボールみたいに、鞄が周囲の空気を吸ってるぅ!?』
「そして……吐き出す!」
僕は鞄いっぱいに詰めた空気を、下に向かって吐き出す!
バビュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!
鞄のふたを下に向け、取り込んだ空気を発射!
僕はその反作用で、上空へと飛んでいく……!
ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!
すごい速度で飛んでいく、僕!
途中……。
「スキル、空歩、縮地!」
たんたんたんっ! と空気の足場を作り、連続ジャンプ!
地上でロケットスタートした勢いを殺すことなく、僕は塔を上っていく……。
で!
「ついたー! って、あれ?」
塔の頂上についた……はずなんだけど。
「なにもなーい」
塔の頂上は、お盆のようになっていた。
円形の床が広がっているだけで、そこには何もない。
「あれれ? どうなってんだろ……?」
ヒキニートさんが嘘ついたの?
もー! しょうもない嘘ついて、もー!
経験値にしちゃうぞっ!
(※↑本人はしゃれのつもりです)
とりあえず、下に降りようっと。
ていっ。
ひゅぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん。
とんっ。
「ただいまー……! って、あれ? 皆さん、どうしたんですか?」
オタクさん、ヘルメスさん、ジャガーさんが目を点にしてる。
あれれ? なんでだろう?
(※↑成層圏にまで伸びてる塔のてっぺんから、華麗に着地して、怪我一つおってないので驚いてる)
『くく、さすが勇者と魔王、二つの相容れぬ力をその身に宿した、世界唯一の存在、勇魔よ。この程度の高さでは、怪我一つせぬか。すごいのぅ! ケースケは!』
スペさんだけが、腕を組んで、後方彼女面で何か言っていた。
『君さぁ……やっぱり規格外だよね……?』
ヒキニートさんが、ヘルメスさんの口を通して会話してきた。
「キカクガイ? どういうことです?」
『おかしいって意味!』
「おかしい? なにが?」
『君の! 身体能力が! おかしいってことだよ!』
「? ああ、貧弱すぎるってこと?」
『すごすぎるって意味以外に何があるんだよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』
だんだんだん! とヒキニートさんが地団駄を踏んで、そう叫ぶのだった。
【★大切なお知らせ】
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