第18話:家づくり
犬たちの朝は早い。朝の散歩から帰って来たらしい地鳴りで目が覚めた。
猫たちとおかき、しらたまが日向ぼっこしているのが見える。
「おはよー。おかきこれ開けて」
結界を解いてもらう。
おぉ!力がみなぎっている気がする!今なら家づくりできそう!
目を閉じてかつて住んでいた古民家をイメージする。
それでこの家は自分で呼吸もするんだ…ついでに全館暖房できるようにパイプも巡らせておこう…
『そこ』にある…
『そこ』にある…
『そこ』にある…!!
そっと目を開くと、目の前に思った通りの家ができていた。
できたー!なんかもうすでに懐かしいー!
目が覚めたらしいシャフ君が寄って来た。
「これ…みんな入れなくないっすか…?サイズ的に…」
ハッ!なんてこった!
「きなこたちって…元のサイズになれる?おかきはそのままで良さそうだけど…」
「なれるよ!」
きなこの言葉と同時に、みんながスルスル小さくなって元の大きさになった。
「みんな好きなサイズで過ごしてね。あと私がもふもふしたい時は大きくなってね」
とりあえずみんなを撫でまわし、私は出来立てだけど年季の入った家に入る。
「へぇ…こういうところに住んでたのねぇ」
ムーン、ドンは初めて入る家に興味津々だ。私が最終的に住んでいた家を見ることなく、ムーンとドンは逝ってしまったからだ。たぬきがよく歩いていた立派な天井の梁もそのままある。
全員が揃ってここにいるなんて奇跡だ。
そして!変わった点と言えばコンセントを大量に増やしたこと!
「シャフ君、そのPCのコンセントを刺してみたまえ…」
シャフ君は大人しく従う。
「おぉ!!使える!!どうやって!?」
「ふふん。この家はね、自分で呼吸するんだよ。私たちはここで呼吸することで神力を体内に貯めるでしょ?
だから家も呼吸して貯めるってイメージしたんだ」
私が得意げに答えると、シャフ君が「何かもう想像力っていうか、妄想力がすごいっすね」と褒めてるのか貶してるのかわからないコメントをくれた。
私は再度神力を使ってコタツと一時凌ぎのエアコンを作る。おかきと一部の魚たちにとっては25度はないと寒いのだ。
あとはネットだよねぇ…上下水道やガスも、どうしたらいいんだろう。
あれ?そういえば私トイレ全く行ってないな…神はトイレ要らない!?アイドルか。
お腹も減らない。口寂しくはあるが…
「シャフ君、トイレっている?」
「神力で動いてるから出すもんがねぇっす。たぶん。」
ほーん…じゃあトイレ要らんか。
あの食べた謎の果物は私の中でどうなったんだろうか。消化器官とかないのかな…へそもないし、構造が人間と違うんだろうな。まぁ、どうでもいいか!
これだけのもふもふたちが集まると、家の管理が大変だ。専属の眷属を作らねばなるまい。
私は昨日ムーンが集めてくれていたという落魂を床の上にバラバラと出す。
レベル10が3つある。
まずは2つ手に取る…
んー!!
頭が良くて力もあって、家事炊事全部できて家の管理とか模様替えとか、家のみんなの世話もできる強いもふもふ!!
パァッと光ると、思い描いた通りの2人ができた。白狼の獣人、女の子と男の子だ。
「かわよー!」
人間の顔や身体についた、お耳も尻尾ももふもふしてる…
「名前はハクちゃんと、ロウくんにしよう!
この家の掃除、洗濯、炊事、模様替え等々、動物たち含め、私たちとこの家のお世話をおねがいします。
人手が足りなかったら増やすから言って。別に毎日働かなくてもいいよ。必要な分だけ働いてくれれば」
ハクちゃんとロウくんは、「了解です」と言って、さっそく家の探検とみんなに挨拶をして回っていた。
「シャフ君、あの2人は君より賢いし強いから逆らわないことだぞ。そうしないと我々の安寧な引きこもり生活が崩れるからね…」
「うす…」
さてさて…
「おかきー!ちょっと来て!」
「なにぃ?」
そう言いながらとことこ歩いてくる。
かわいいなぁ…
私は床下収納を開け、おかかと覗き込んだ。
「ここに結界張って欲しくて。こっちからは入れられるけど、絶対中からは出られないような結界ってできるかな?」
「んーやってみるぅ」
そう言うと、上からは蓋が押せるけど、下からは押せない構造の結界ができた。
天才か?おかきは天才なんだな?
私は1番どす黒い色の落魂のうちの1つを手に取る。
んんんんんぅんんー!できた!スライム!そしてさようなら!
速攻で床下収納の結界に落とす。
生前見たマンガやアニメでは、禍々しいスライムは何でも溶かしたり体内に取り込んでしまう描写があった。だからその能力を邪悪な落魂に与え、ゴミ処理係をやってもらおうと考えたのだ。
これで人間界から何を買い食いしても証拠は残らない。
あとはお風呂だなぁ…スイとエンを呼んだらお湯製造に関して何か手伝ってもらえないだろうか…
いや、ダイチに温泉が沸くスポットでも聞くか…?そもそもマグマとかあるのかな…
まぁいいや、明日にでも全員呼ぼう…
私はコタツの机に頬をつけて考えているうちに、うとうとと眠ってしまった。
「夕方だよ。ネットの話しにいくんでしょ?」
たぬきが起こしてくれた。肉球でほっぺを踏まれている。ありがとうございます。
さ!ネットだネットだー!!




