表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国野望  作者: 丸に九枚笹
第三章
46/191

第三章 40話 三好勢の挙兵と近衛家

1550年8月15日


又兵衛「若、三好長慶殿が兵を集めています。」


松若丸「又兵衛か、入れ。」


又兵衛「ハッ。失礼します。」


松若丸「采女は越水城か?」


又兵衛「はい。采女殿は詳しい探りを入れています。三好長慶殿自ら出陣して上洛するようです。兵の数は五千程です。前回集めた兵が郷里へ勝手に帰ってしまい、それに怒った長慶殿が見せしめに何人か処刑したことにより、今回は上手く兵が集まらないようです。しかし、五千の兵は十日ほどで上洛してくるでしょう。」


松若丸「狙いは当然、義輝様か。よし、言上しよう。又兵衛も来てくれ。」


又兵衛「ハッ。」




この十日余りで、俺は義輝様の信頼を完全に勝ち取った。


あの後、まず幕臣の皆さんに贈り物をして回り、幕臣の皆さんからとても好印象を持って頂いた。

それもあり、評定に参加させてもらった。その時に晴元が嘘の情報を言っているのに対して、又兵衛と采女が集めてくれた早くて的確な情報を何度も話し、それが役に立ったので義輝様や幕臣の皆さんからはだんだん信頼してもらえるようになった。晴元からは嫌われているが。


そして、義輝様から剣術の試合をしようと言われ、木刀で何度か立ち会った。義輝様は鹿島新當流、俺は新陰流。もちろんお互い相手を怪我させようというつもりではないが、真剣に立ち会った。結果は勝ったり負けたり。これによって更に義輝様との距離が近づいた。試合を見ていた幕臣達はさらに俺を見込んでくれたようだ。晴元は顔を蒼くしていた。


年が近いということもあり、義輝様は本気で俺を家臣に欲しいと言い出した。さすがにそれはお断りしているが、断り続けるのもどうなのか迷ってはいる。でも何か恩返しはしようと思っている。


幕臣の細川藤孝殿とも親交を深めることができた。この人もすごい人だった。





買収してある義輝様の小姓を通し、義輝様に会った。


義輝「松若丸、いかがした?」


松若丸「ハッ。配下の又兵衛、采女が得た情報によると三好長慶殿が近日中に兵を率いて上洛してきます。」


義輝「何!長慶自らか!軍議を開く!」





そして集まった幕臣の皆さん。


義輝「集まってもらったのは三好長慶自ら兵を率いて近く上洛するという情報が入ったからだ。それについて話し合って欲しい。」


晴元「そのような話、誠でございますか?三好勢は先日、我らで大打撃を与えたではありませぬか。信用できる話なのですか?」


俺をチラッと見る晴元。うざい。


義輝「確かな情報だ。先日、三好に打撃を与えたのは松若丸たちだ。晴元は何もしておらぬではないか。今回も余は松若丸を信じる。嘘だと思うならそなたは帰ってもよい。」


晴元「何を仰いますか!この晴元にそのようなことを!後悔しても知りませんぞ!」


あーあ、本当に帰っちゃったよ。いいのかな?

まあ、いても話進まなくするだけだからな。邪魔か。



軍議では、こちらの兵が五百、相手が五千、攻めるのは無理。守るのも無理。

和睦の使者を出すにしても、弟の十河一存殿を討ち取った事実があるので難しい。俺のせいだ。

話し合った結果、朝廷に献金して戦を調停してもらうという案でいくことに。


知らなかったのだが、前関白左大臣近衛稙家様がこの城にいるらしい。

前将軍義晴様の正室が稙家様の妹であり、義輝様の正室が稙家様の娘だそうだ。知らなかった。

稙家様が、朝廷に働きかけてくれるということになった。

そこで俺も稙家様と一緒に内裏に行くことに決まった。

献金するのは大峰の金だ。


もともと朝廷には献金するつもりだったし、いい機会だとしよう。

ここまで足利将軍家と近付くつもりはなかったし、朝廷の献金は大峰家としてしたかったのだが、ここまで来たら仕方ない。


甚兵衛にお願いして、また品物と金子を用意してもらった。五万貫。

これは、俺が使った分だけ、商品の売り上げから引いてもらうことになっている。

そろそろ、めちゃめちゃ余裕があるという段階でもなくなってきたんじゃないか。ただ、領内は豊かだし、土木工事もしているし、浅川園からの商品は増産が続いているし、鉱山の産出量も増えているから多分大丈夫だろう。

一応、父上にそろそろ手紙でも出して、了承を得ておいた方がいいかな。許してくれるとは思うけど。


よし、戸隠衆にお願いして手紙を届けてもらおう。

信濃を出てからの経緯と、改めて新しく家臣にした者たちをお願いすることと、現状と、資金の使用許可をお願いすることを書いて戸隠衆にお願いした。2、3日で届けてくれるらしい。すごい。




1550年8月17日


近衛稙家様と俺、それから細川藤孝殿も一緒に内裏へ。

戸隠衆に献上品を運んでもらい、近衛様から足利家と俺の名前で献上してもらい、足利家からの和議の依頼をしてもらった。俺は元服すらしていないし、無位無官のため、外で待っていた。

待っている間に藤孝殿と話し、友好を深めることができた。これだけでも来てよかった。


近衛様はなかなか出てこない。上手くいかなかったのか。





それから待つこと二刻。藤孝殿との会話もそろそろ話題がなくなってきた頃に稙家様が出てきた。


稙家「待たせてしまって悪かったの。」


松若丸「いえ、ご苦労様でした。首尾はいかがでしたでしょうか?」


稙家「力及ばず申し訳ない。松若丸殿の献金はお上も大層お慶びでした。しかし、和議のことは。」


藤孝「左様でしたか。」


稙家「現関白の二条晴良が反対でな。その二条晴良の母親が九条稙通の妹で、九条稙通の娘が十河一存の正室になっておってな。その繋がりで、二条、九条は三好に近い。」


え?それって俺のせいじゃん。完全に。


稙家「お上は松若丸殿と会いたいとまで仰せられたが、今の朝議は力のある三好に友好的なのだ。」


藤孝「それは仕方ないですね。戻りましょう。」


マジそれ俺のせいじゃん。申し訳ない。


そして、勝手に近衛家が公家の中で一番力持ってて最強なんだと安易に考えててごめんなさい。『検索』で関白一覧って見たら、近衛、二条、九条、一条、鷹司なんかの家が順番でなっているらしい。よく考えたらそりゃそうか。


とりあえず城に戻って義輝様には稙家様から報告してもらった。

さて、どうするか。

戦うか。

義輝様と話し、とりあえずの時間稼ぎとして、戸隠衆に三好勢の後方撹乱をしてもらうことにした。

越水城を出た三好勢は今、武庫川の辺りらしい。

越水城で家臣が謀叛を企んでいる、軍の中に内通者がいる、など、とりあえず一日でも二日でも来るのが遅れたならそれでいい。


そのうちに何かいい案を考えよう。


その日はそれで終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ