第三章 41話 残りの日数と今できること
1550年8月25日
一人部屋で考えている。
戸隠衆の活躍により、三好長慶勢は一度軍勢とともに越水城に戻り、本当に家臣を三人も粛清した。
予想以上の効果を得た。
しかし、効果はそこまでで、再び出陣した三好勢は京へ向かって進み出した。
それでも十日間の猶予を得ることができた。
前回、内裏に行ってから八日間。
軍議はあるのだが、晴元がわけわからんことを言って一向に進まない。
俺は今できることをやろうと動いている。
俺たちは足利家の家臣ではないので逃げてもいいのだが。そんなことはしない。
今やれること。
一つ目は、和睦の使者に賛成してもらうために、二条様、九条様へ接触し賄賂を送ること。
二つ目は、募兵。
三つ目は、調練。
まず一つ目は、二条様、九条様のもとに毎日通っているのだが、門番に留守だと門前払いにされているため、上手くいっていない。
そして二つ目は、人は来るのだが、食い詰め浪人や、明らかに博打で金がなくなって金だけもらいに来ましたって者や、老人や子供といった、兵としてはどうにもできないような者ばかりが来て、これも上手くいっていない。
最後に三つ目は、今いる傭兵の足軽たちを鍛えようとしたのだが、話にならない。これらも金だけもらいに来た者たちと変わらなかった。
いかに我が大峰家が優れていて自分が恵まれていたかがわかる。
また、この数日京を歩いているが、状況は聞いていたよりひどい。
老若男女問わず物乞いや行き倒れが多い。戦の跡なのか、焼け跡や空き地が多い。その中や、街の至る所でも死骸や白骨化したものが見える。
治安も悪く、ならず者や博徒、野盗ではないかと見える者たちが我が物顔に歩いている。
足軽たちが自分の家臣だったら、命じて何とかするが今の俺には何もできない。
正直、幕臣の中でも戦えるのは義輝様と、藤孝殿だけだろう。
頼れるのは、この二人と俺の家臣だけ。大峰銃も南部馬も数が足りない。
これでどうにか戦略を立てなくてはならない。
大岩衆、戸隠衆、出浦衆、蜂須賀党を使って、ゲリラ戦法を取るか。
途中で襲うより、京に着いてから仕掛けた方がいいだろうな。
とにかく、二条様、九条様に働きかけることだ。
それでもダメだったら戦おう。
戦うとなったら、義輝様にお願いして六角家に援軍をお願いしてもらおう。
管領にするとか言って。今の管領はいらないだろ。
戦に備えて、千でも軍を連れてきたらよかった。
まさか戦になるとは思ってなかったし。
でも大峰領は今色々と人手がいるからな。
その色々やっている間だけと思って来たわけだし。
それでも父上に三百だけお願いしてみるか。
今から戸隠衆に頑張って大峰に行ってもらって二日、そこから準備に一日。
それから、大峰から直江津に出て、八善屋の船で三国湊まで送ってもらって、南下して来たらどれくらいかかるだろう?二十日くらいはかかるか。無理だな。間に合わない。十日前に戸隠衆に行ってもらうようにお願いしておけばよかった。まあそれでも間に合わないか。手紙を読んですぐに出発して間に合ったかどうかだ。
やめよう。たら、れば、を考えてもいいことなんかない。
今は自分ができることを考えて最善を尽くすだけだ。
こんなときこそ能力使うか。
松若丸「千凛丸、竹千代と辰千代を呼んで。呼んで来たら千凛丸も入って。」
千凛丸「はい。」
二人がやってきた。




